この一年間の県議会報告
2013年「5月臨時県議会」〜2014年「2月議会」 その2
2021-06-10
2013年「6月県議会」報告
1.議会の主な内容
6月定例県議会は6月7日に開会し、19日間の日程で、6月25日に閉会しました。先の「2月議会」で今年度予算が成立したことから、続く本6月議会は予算案の提案はありませんでした。
そのため、条例15件、専決処分2件、人事3件、その他1件の合計24件の審議が中心となるはずでしたが、「福岡県職員等の給与に関する条例の制定について」の議案が6月17日に追加提案されたことから、この提案までの対策と、代表質問での対応が議案の中心課題となりました。
この提案は、国から地方に対して、一方的な給与の削減要請であり、今年度の地方交付税及び義務教育費国庫負担金が計218億円削減する問題が生じます。そのため、議員の責任がより一層問われる議会となりました。
2.今議会、代表質問を行いました。
今議会の代表質問は、私が行いました。6月13日の登壇でした。
(1)代表質問の内容
①先の2月議会で、小川知事が「地方政府」という言葉を初めて使われ、新政権を受けての初の議会ということも踏まえ、「地方政府の責任と役割」を知事に質しました。
知事は、「内政に関することは、思い切って地方にまかせ、国と地方の役割を変えていくことが必要。国の事務・権限の地方移譲を進め、役割に応じて地方が自ら税財源のあり方を決定できるよう、地方分権を進めていくことが重要。」と、民主党・県政クラブと同じ考えの答弁を引き出すことが出来ました。
②県職員の賃金カット問題については、知事は「国の政策目的達成のため、一方的削減は二度と行わないこと」を全国知事会で特別採択した経緯を述べられ、「このままでは、本県の財政調整等三基金の残高が大幅に減少し、必要な行政サービスの提供が難しい状況に直面したことから、職員の給与減額という苦渋の判断に至った。」と、悩み抜かれた答弁でした。
この代表質問前夜、職員団体との交渉は収束し、結果、県職員の給与は7月から来年3月まで平均5.6%削減となり、ボーナスや時間外勤務手当てが対象外となりました。
③この経緯を踏まえ、議会最終日には、地方交付税法の機能を否定し、地方分権の流れに逆行する、今回の国による上意下達の進め方に、反対の意志を民主党・県政クラブ県議団で確認の下、給与条例を含む合計25件の議案が可決され、議会は閉会致しました。
(2) 知事、教育長の答弁
代表質問の項目と主な内容、並びに知事、教育長の答弁は、次の通りです。
【知事の基本姿勢について】
①地方政府の責任と役割について
- Q1.地方政府と県民幸福度日本一の実現
- A.経済のパイを大きくし、雇用の場の確保に全力をあげている。
- A.汗水流してがんばった人が報われ、幸せを実感できる社会をつくる。
- A.生活者の視点の一層の重視、県民に向き合う行政を心掛けている。
- A.県民生活の安定・安全・安心を向上させ、県を元気にする。
- Q2.地方政府の県政運営手法と自治権の行使
- A.県民の視点に立ち、地方自ら考え、決定する県政運営を進める。
- Q3.国と地方の関係
- A.地方が地域の実情にあった行政を自らの判断と責任の下で実施する。
- Q4.道州制
- A.国と地方双方の政府を再構築し、地方分権推進を明確にする。
②県独自課税について
- Q1.産業廃棄物税と森林環境税の事業効果
- A.廃棄物の不法投棄が3分の1に減少し、5年間で1万3千ヘクタールの間伐等、計画通りに進む。
- Q2.2税の継続と見直し
- A.産廃税は2015年、森林環境税は2018年、見直し検討を行う。
- Q3.新たな独自課税
- A.貴重な財源調達手段。経済への影響や住民の税負担状況を十分配慮する。
③財政的援助団体等(外郭団体)の問題について(翌日に新聞報道)
- Q1.随意契約問題
- A.競争入札の採用や直接委託の視点で点検作業を進める。
- Q2.補助金のあり方
- A.補充の目的、対象経費、補助率など見直しを行っている。
- Q3.県職員の派遣のあり方
- A.団体が担う事業の公益性、支援の必要性を検証・検討を行う。
- Q4.再委託問題
- A.再委託が有するリスクを踏まえ、慎重に承認手続きをとる。
- Q5.県有地の無償貸与問題
- A.補助金交付要綱を抜本的に見直す。土地貸付料は対象経費から除く。
- Q6.財政的援助団体と人的援助団体の今後
- A.点検作業を7月中にとりまとめ、秋には見直しの内容を決定する。
【九州新幹線の経済波及効果について(視察をもとに質問)】
- Q1.2年間の新駅(新船小屋駅・新大牟田駅)の実績と、JRへの要望活動
- A.1年目、久留米駅1日2、700人想定通り。筑後船小屋駅1日750人、新大牟田駅1日800人と想定を下回っている。(2年目調査なしを再質)
- Q2.筑後船小屋駅と九州芸文館の共通チケット販売やPR
- A.JR料金セットのプラン、イベントのポスターと割引切符を併せてPRを企画している。
- Q3.新駅を中心とした街づくりの経済波及効果と地域活性化
- A.新駅が持つ筑後地域の魅力を、関西圏などにアピールする。
- Q4.新大牟田駅への路線バスの接続問題
- A.今後、大牟田市と連携し、県バス対策協議会等で協議する。
【産業廃棄物最終処分場に係る環境問題について(解決を見るまで会派で質問を続ける)】
- Q1.これまでの産廃行政のあり方
- A.早期発見、早期対応が重要と痛感、より監視指導を的確実施する。
- Q2.飯塚市内住地区の最終処分場の経営状況と、措置命令が困難な場合の責任
- A.措置命令が履行されるよう、業者に最大限指導する。
- Q3.処分場の廃棄物全量撤去
- A.全量撤去しなくても、生活環境の保全がなされる。(認識の差を再質)
【教育問題について】
①「オール・イングリッシュ」授業について(視察をもとに質問)
- Q1.中学校と高校双方への導入までの対応と共通理解
- A.中・高の英語教員合同の研修会など、共通理解を図っている。
- Q2.中・高連携による中学校の英語力対策
- A.少人数指導など、生徒の実態に応じ教育活動を推進する。
- Q3.教える側の人的支援と、英語力向上の英語圏への短期留学などの研修
- A.複数の英語教員による事業など、必要に応じ対応する。
- A.海外研修の実施など、体系的研修制度の充実に取り組む。
- Q4.英語力向上のための環境整備(プロジェクター、電子黒板などの教室配置)
- A.各学校の整備状況を速やかに把握する。(7月上旬、各学校実態調査)
- A.英語特別教室の設置のため、余裕教室の転用で対応する。
- Q5.大学受験とオール・イングリッシュ授業の矛盾解消
- A.必ずしも不利ではない。国が大学入試を検討中。必要に応じ意見を述べる。
②体罰問題について(私学の陳情に基づく質問)
- Q1.体罰件数の高い今回の調査結果
- A.最終報告で昨年度235件の体罰が発生していた。学校・児童生徒・保護者の信頼関係を損なう問題と厳しく受け止めている。
- Q2.体罰の定義づけと、体罰禁止の通知の徹底
- A.体罰と懲戒の事例を通し、適切理解促進を図る。研修会で周知徹底を図る。
- Q3.体罰のない学校づくり
- A.体罰によらない指導の重要性を理解しておく。指導マニュアルを活用する。
- Q4.言葉による暴力の位置づけと、その解消
- A.国は体罰の定義に位置づけはない。県は、言葉による暴力も含め、体罰根絶に取り組む。
- Q5.私学の体罰の実態把握
- A.調査の制度を上げ5月17日までに集約後、全国集計結果を公表する。
- Q6.私学の学校運営の調査と指導
- A.昨年度、33校で89件の体罰が発生。組織的な体罰防止の指導体制を要請している。
- Q7.私学の学校運営の指導
- A.財務状況の報告、学校改革の取り組み状況等ヒアリングの実施、設置基準違反の場合、法令順守の指導を徹底している。
3.一般質問(質問者と項目)
- ①岩元一儀議員
- ・飲酒運転撲滅について
- ・防災、減災対策について
- ②田辺一城議員
- ・地域防災・減災体制の強化について
- ・帰宅困難者対策
- ・南海トラフ巨大地震の広域避難計画
- ・安定ヨウ素剤の確実な配布体制
- ・地球温暖化対策推進の次期計画
- ③畑中茂広議員
- ・地方自治体の自立について
- ・全国体力テストについて
- ④大橋克己議員
- ・出向く商店街事業と買い物弱者対策
- ・院内学級について
- ⑤原竹岩海議員
- ・マイナンバー制度につい
- ・県立高校の再編、整備について
- ⑥仁戸田元氣議員
- ・生活困窮者自立支援と貧困の連鎖の防止
- ・本県の経済動向について
- ⑦井上博隆議員
- ・障がい者の雇用拡大について
- ⑧堤かなめ議員
- ・女性の活躍推進について
- ・本県の基本姿勢
- ・農林水産部における取り組み
- ・商工部における取り組み
- ・女性の活躍推進のための環境整備
- ・病児・病後児保育の拡充
- ・ファミリー・サポートセンター
4.意見書採択
意見書の関係では、県政クラブから「寡婦(夫)控除制度の法律改正を早期に実現することを求める意見書」を提出し、採択することができました。
採択された意見書は下記のとおりです。
- 農林水産業における燃油高騰対策に関する意見書
- 寡婦(夫)控除制度の法律改正を早期に実現することを求める意見書(民主県政)
- 柔道整復師法に係る広告制限の改正を求める意見書(厚生労働環境委員会)
- 私学助成の拡充に関する意見書(文教委員会)
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