「ミャンマー連邦共和国」視察報告 その16

②「福岡県バンコク事務所」

ミャンマー・タイ_36.pngバンコク事務所 諸富博所長視察四日目、今回、最後に訪問したのは「福岡県バンコク事務所」でした。

2006年2月、福岡県とタイ・バンコク都間で「友好提携」を締結したのを契機に、県は2010年10月に「福岡県バンコク事務所」を開設しました。

福岡県の海外事務所は、「バンコク事務所」のほかに、「香港事務所」、「上海事務所」、「フランクフルト事務所」、「サンフランシスコ事務所」、「ソウル交流プロモーター」があります。
ミャンマー・タイ_37.png事務所が入っているビル
これらの海外事務所の設置目的は、

  • 1)経済情報等の収集・提供
    • 現地の経済状況等の最新情報を収集し、福岡県内企業への情報提供。
  • 2)県内企業の海外ビジネス支援
    • 12-07-12 バンコク:県バンコク事務所.jpgバンコク事務所前にて貿易投資に関する情報を提供するとともに、県内企業が現地で行う海外企業との交流活動等のビジネス活動の支援。
  • 3)外資系企業の県内誘致
    • 外資系企業を誘致するため、県のPRを行うとともに、県内企業とのマッチング事業及び福岡県に進出する外資系企業に対するワン・ストップサービス等の提供。
  • 4)県産品の販路拡大
    • 農産物を始めとして、県産品の海外への販路拡大を支援しています。
  • 5)外国人観光客の誘致
    • 旅行見本市への出展などを行い、外国人観光客の本県への誘致に努めています。

[諸富所長からの現地活動報告]

現地事務所として、政府機関等との連携を図っている。そして、以下の内容ついて事業活動を行っている。

  • 県の各部局と各国関係機関との連携については、
    • 商工部関係では、「タイ工業省工業振興局」、「インドネシヤ商工会議所」、「ベトナム商工会議所」との連携。
    • 新社会推進部国際交流局関係では、バンコク都との友好都市交流事業、ベトナム・ハノイ市との友好都市交流事業、インド・デリー準州との友好都市交流事業。
    • 環境部関係では、「タイ天然自然環境省公害規制局」との「JICA草の根事業」、「国際環境人材育成プログラム」の実施。
  • 次に、県内企業支援では、
    • 県内企業の事業化調査支援
    • 県内企業の資材・OEM製品調達情報収集
    • 商談アレンジ
    • 販路拡大のための企業情報・転じ情報提供
  • 次に、県産品の販路拡大については、
    • 「セントラル・フード・リレール社」での日本食フェアへの出店(2012年9月実施)
    • 和食レストランへの食材の売り込み(日本酒、調味料など)
    • 展示会での八女茶、県内食品のPR
  • 国際交流事業としては、
    • 「チェラロンコーン大学付属高校」と「福岡女学院中学・高校」との交流支援
    • 「スーパーサイエンスハイスクール」とタイの高校との交流支援
    • 県内大学のタイでのインターン実施に関する情報提供・調整
  • 観光PRでは、
    • 「九州観光推進機構」と連携した観光PR
    • 日本大使館関連イベントでのPR
    • 「FACo(福岡アジアコレクション)」へのタイファッション雑誌の取材調整
  • 上記の他に、
    • 経済産業省「グローバル人材育成事業」(2012年度〜)の推進
  • 政治、経済情勢については、
    • 外資系進出企業は、中国→タイ→カンボジアと移ってきている。それは、人件費の高騰と関係がある。
    • いずれミャンマーにも多くの外資系企業が進出していくと思うが、現在では輸送とロジステックス(調達)の問題で、まだ見合わせている。
    • 2015年は、アジアのターニングポイントになる。
  • 2011年のタイ大洪水の被害とその後の情勢
    • 洪水被害を受けた7工業団地の被災企業数は839社。そのうち、事業再開したのは605社(完全再開296社、部分再開309社)、未再開173社、事業閉鎖61社となっている。このうち、県内企業で被災したのは5社で、いずれも再開している。
    • 被災した工業団地では、防水堤防の建設が行われているが、工事の進捗率は4〜6割程度。
  • タイの最低賃金制の導入と企業動向
    • 最低賃金300バーツを掲げた「プエタイ党」が2011年7月に勝利し、インラック政権が発足。政権公約として最賃引き上げを行うとしているが、2015年まで上げないとしている。
    • タイの労働者の平均賃金は200バーツくらいだった。それが300バーツに上がると、企業は大幅な人件費の増加につながる。それは、企業の減益を意味する。
    • 今後、カンボジア、ミャンマーに労働集約型企業が移っていくことが予想される。
    • 労賃の値上がりは、縫製、製造業にとっては利益率を下げることになるが、研究開発企業は有能な人材が集まる可能性も高く、伸びシロがある。

以上の報告を受けた後、質疑応答に入りました。

[質疑応答]

(会派)

「お隣のミャンマーは、いまから伸びる国。バンコク事務所はミャンマーとも地理的に近い。
ミャンマーへの日系企業・県内企業の進出、県民交流の橋渡しを進めるべきではないか。」

(諸富所長)

「ミャンマーは先進諸国から注目されている。私も、そう思っている。日系企業、県内企業の
ミャンマー進出に向けてお手伝いをしたい。」

(会派)

「今回のミャンマー視察において、ある日本人企業家と出会った。彼は、ミャンマーの将来を
見越し、ミャンマーに移り住んで、地元で事業展開を進めているとともに、日系企業の進出
支援などを行っている。すでに、医療法人の現地進出をアドバイスするなど、実績も上げて
いる。バンコク事務所として、こうした方とコンタクトを取って、ミャンマーにもアプロー
チできる体制をとったらどうか。」

(諸富所長)

「早速、当人と連絡を取り、私の方からヤンゴンに出かけていく。今後、関係を築きたい。」

以上のようなやり取りを行い、バンコク事務所を後にしました。

なお、当日の夜は、「タイ・バンコク福岡県人会」の皆様との夕食交流会を開催しました。
参加者は以下のとおりでした。

  • 会長岡本貞明(ヤクルト・タイランド社長)
  • 幹事南比呂志(Rhom Integrated System Thailand社長)
  • 幹事川畑太(タイ博報堂社長)
  • 幹事宮崎真吉(タイ清水建設M&E Manager)
  • 幹事野田千晴(Dusit International Assistant Director)
  • 幹事宮島翠(タイ・セコム)
  • 幹事貞方泰徳(福岡銀行バンコク駐在員事務所所長)
  • 幹事諸富博(福岡県バンコク事務所所長)

【資料参照】
○日本国外務省アジア大洋州局(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/myanmar/)
○日本貿易振興機構(JETRO)(http://www.jetro.go.jp/world/asia/mm/)
○一般社団法人九州ミャンマー友好協会(http://www.kyumyanmar.org/about_myanmar.html)
○Wikipedia (http://ja.wikipedia.org/wiki/)
○TOYO BATTERY(http://www.toyobatterymyanmar.com/)
○ミンガラドン工業団地(http://mingaladon.com/japanese/index.htm)
○FMI(http://www.spa-myanmar.com/)
○パンライン国際病院(http://www.facebook.com/punhlainghospital.yangon)
○ティラワ国際港」(http://www.hph.com.hk/globalbusiness/business.aspx?gid=110)
○国連ハビタット(http://www.fukuoka.unhabitat.org/)

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