フクネツ05.png左から、原中県議、永島社長、守谷県議、平田次長
永島社長にお話を伺いました。内容は以下のとおりです。

  • 日本の製造業分野では国内空洞化が進み、有力(大手)な国内企業は海外に工場をシフトし、その関係で、国内の中小零細企業は仕事が減り続けている。
  • 特に、リーマンショック以降、地場・中小零細企業は体力を消耗し尽くし、倒産・閉鎖に追い込まれた会社も多くある。我々の同業者は全国で25%(400社→300社)も減っている。
  • 現在、九州では10社しかなく、どの会社がいつまで、どのくらい持ちこたえられるのか判らない。特殊技術を持ったり、特色ある経営をやらないと生き残れない。
  • 近年、若干の景気の持ち直し傾向にあったものの、急激な円安による原材料の価格高騰、電気料金の値上げは、体力を消耗し続けている地場・中小零細企業をモロに襲い、今後、更に同業社が減る(倒産、閉鎖)のではないか。
  • 「モノづくり日本」と言われてきたが、その技術を支えてきた地場・中小零細企業がバタバタと倒れていくなか、技術の継承は難しくなっている。
  • 自動車産業はすそ野の広い産業で、その分野が元気になると地場・中小零細企業にも好影響が出てくるのだが、いまや自動車産業も海外に工場をシフトしようとしている。
  • 製造業の分野では寡占化が進んでおり、大手企業か、もしくは世界的競争力にも太刀打ちできる特殊技術をもっている地場・中小零細企業か、どちらかしか生き残らないだろう。中間がなくなっている。それは決していいことではない。
  • 材料費の値上げ、燃料費の高騰、電気料金の値上げと、トリプルパンチに見舞われている。

このような厳しい話をされました。その後、意見交換をしました。

【県内の製造業の現状は?】

  • 世界的にも名を馳せる特殊技術を持った地場・中小零細企業が県内に多くあるものの、製造業は国内空洞化が進み受注も発注も年々下がり続けている。私たちのような業種は勿論だが、製造業は各会社とも大変厳しい状況が続いている。体力が持つかどうかという瀬戸際にある。

【材料費、燃料費、電気料金の値上げでどのような影響が出るか?】

  • (株)フクネツは、平均して月1,000万円の電気料金を支払っている。今回の電気料金の値上げは1割程度になり、月100万以上の値上げとなる。これは従業員2名分の費用に相当する。企業として存続が極めて難しくなっている。
  • 合わせて、円安による燃料費の高騰も深刻で、4月以降、会社で使う燃料費は5%程度値上げしている。電気代、燃料代、材料費の値上げは会社経営を圧迫している。

【雇用にも影響が出るか?】

  • 材料費の値上げ、燃料費の高騰、電気料金の値上げと、トリプル値上げは、尽きるところ我々の役員報酬をカットしたり、従業員の賃金切り下げ、ボーナスカットにつながる。それでも足らない場合は人員整理、つまり解雇ということになる。
  • このままでいけば、人件費を削るか、リストラ(現在の従業員は89名)せざるを得ず、雇用を支えている地場・中小零細企業の経営ひっ迫は、県内雇用にも深刻な影響を与える。

【御社は体力的に大丈夫か?】

  • これ以上、材料費、燃料費が値上げ続くと、まったく利益が出ない。更に、電気料金については再値上げも言われている。電気料金の再値上となると持ち応えきれないと思う。

【現在の日本経済の状況をどう見ているか?】

  • 今日、円安、株高と、一見、日本経済、景気は回復にあるように見えるが、製造業の立場でいうと、地場・中小零細企業は円安による材料費や燃料費の高騰、電気料金の値上げというトリプルショックで悲鳴を上げている状況にある。

【県内の状況をどう見ているか?】

  • 福岡県は、北九州をみても判るように、製造業、モノづくりで飛躍してきた県である。県内には、全国に名だたる製造、加工業者が幾つもあるが、このままでは立ち行かなくなる。会社の倒産が進めば、技術を継承する者もいなくなり、それがまた国内空洞化につながるという悪循環にある。

【福岡県に対する要望などはあるか?】

  • 福岡県として、今日の円安、株高の日本経済の状況について、金融、サービス、製造など、それぞれの業界、業態ごとに実態を把握することが必要ではないか。
  • 特に、県内の製造業に係る地場・中小零細企業の実態を把握してほしい。そして、そこで必要な施策を施すようにしてほしい。さもなくば、今後、地場・中小零細企業の倒産が増えることが予想される。


今回の視察は、公益社団法人「福岡県高齢者能力活用センター」業務担当次長 平田利孝様のご紹介とお勧めにより実現しました。

今回訪問した「(株)フクネツ」は、県内のみならず、全国的にも名を馳せる加工・製造会社です。特殊技術・技能をもつ熟練技術者を多く抱え、日本のモノづくりを地方から支えている会社です。

しかし、近年の製造業を中心とした国内空洞化により、国内産業が大きく変動するなか、また、材料費や燃料費の高騰、電気料金の値上げなどにより、厳しい経営を強いられています。

このままでは、日本のモノづくりを地方から支えている優良企業がことごとく倒産、閉鎖という状況に追い込まれます。

永島社長がご指摘された県内製造企業者の事態把握など、福岡県として早急な対策が必要と感じました。

今後、県議会でしっかりと質して参ります。

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