民主党・県政クラブ県議団
「2012年度 第1回管内・管外視察」報告 その3

2021-06-10

③『水素エネルギー製品研究試験センター』(「HyTReC」)

12-04-16 糸島市:水素エネルギー製品研究試験センター視察.jpg昨今、温暖化問題やエネルギー資源枯渇問題の解決の切り札として、「水素エネルギー」が注目されています。 

「水素エネルギー」は、その利用段階で、地球温暖化の原因と言われるCO2(二酸化炭素)を発生しません。また、「水素エネルギー」は、化石燃料からも製造できますが、バイオマスや太陽光・風力といった再生可能エネルギーからも製造できることから、化石燃料に依存しない社会を構築するためのキーテクノロジーとして期待されています。

現在、水素エネルギーの実用化に向け、産業界において研究開発・製品開発が活発に進められています。

しかし、開発された製品の性能・信頼性を評価する第三者機関が国内に存在しないため、自社製品の性能・信頼性を客観的に証明することができず、中小・ベンチャー企業等が新規参入する際の妨げとなっていました。

今回視察した同センターは、このような中小・ベンチャー企業等の新規参入の阻害要因を解消するための機関として、福岡県が中心となり2009(平成21)年3月6日に設立しました。

当センターは、水素関連製品の性能や信頼性を評価する第三者機関として、中小・ベンチャー企業等の研究開発・製品試験を支援することにより、水素エネルギーの実用化、水素エネルギー新産業の育成が推進されています。

水素エネルギー製品研究試験センター.pngこのセンターは、福岡県の取り組みである「Hy-Lifeプロジェクト」の5本柱の一つ「水素エネルギー新産業の育成・集積」を推進するための中核的施設であり、主に次の事業が行われています。

1)水素エネルギー関連製品の製品試験事業

水素エネルギー関連製品の耐久性試験(環境、振動、圧力サイクルなど)や性能試験(耐圧、機密、ガス透過など)の委託試験

2)水素エネルギー関連製品の試験方法の研究開発事業

水素エネルギー関連製品の実使用環境を模擬した試験方法を開発し、国内外標準化、基準適正化に反映

3)水素エネルギー関連製品の開発

民間企業とのバルブ、継手等の製品や材料の共同研究開発

4)水素エネルギーに関する研究交流事業(セミナー開催・施設見学等)

水素エネルギーに関する技術セミナーや安全講習等の開催及び施設見学会の実施センターには、水素ガスを使用可能な試験設備が完備され、「試験室」12室(各試験室に前処理室あり)、「分析室6室」(試験室利用者は自由に利用することができる)、「共用工作室」(試験室利用者は自由に利用することができる)の構成となっています。

④−1『社会システム実証センター』

システムLSIを始めとする情報通信機器やデバイスの企画、設計、生産、試験、販売、運用、廃棄というライフサイクルの中で、運用フェーズを重視したビジネスモデルが重要な産業となり、新しい社会システムが生み出されています。

こうした種々の産業分野において、各企業が製品を利用する段階での価値の創造や投資の回収が鍵となります。

同センターは、このような社会・経済構造の変化に対応した技術開発の拠点として、新しい製品やデバイスを用いた社会実験を行い、製品やサービスの評価・改良を行うための施設です。

個人認証基盤を利用したサービス、無線通信技術を利用したシステム、新しい組込みシステムの設計技術等、21世紀の新しい社会情報基盤構築に必要な技術やサービスの開発・実用化・展開などに幅広く利用されることが想定されています。

具体的な例として、技術の商品化に取り組んでいる企業、大学研究機関を対象として、分野では半導体、電子機器、機械、ソフトウェア開発などです。

また、サービスの効率化や付加価値化、それらを目的とした情報化に取り組んでいる企業、自治体として、分野では大学教育機関、商業、流通業、飲食、交通、畜産、農業、製造業などが挙げられます。

④−2『三次元半導体研究センター』

三次元半導体研究センター.png半導体は情報社会の基盤であり、半導体産業の中でも高い付加価値を生み出し、世界をリードする先端的なシステム LSIの開発は各国がしのぎを削っています。

東アジアのなかでも福岡(九州)、京畿道(韓国)、北京、上海、新竹(台湾)、香港、シンガポール、バンガロール(インド)等をつなぐ、シリコンシーベルト地域は世界の半導体の5割以上を生産消費する地域で、今後も大きな成長が見込まれています。

今後システムLSI分野において日本の進む道は、微細化に依存しない多様化技術で有り、微細化に依存しないイノベーションが強く求められています。

この様な意味において、今後異種機能チップ集積化技術や三次元部品内蔵技術等の三次元実装技術によるシステム集積化・高付加価値製品化が進んで行くと予想され、その実現においては三次元実装技術が非常に重要な役割を担うと期待されています。

そこで、同センターでは、種々のLSI・IC等異なった機能を有するチップを積層して1つのパッケージにした三次元システム・イン・パッケージ技術や三次元にLSIチップや抵抗、キャパシター、インダクター等の受動素子を基板に内蔵した三次元部品内蔵基板技術の研究開発を推進し、三次元半導体実装技術を用いたもの作りによる新たな半導体市場の創出・高付加価値半導体製品の創出による半導体産業の国際競争力向上に貢献する施設として期待されています。

半導体関連製品の高密度化を図るため、複数の半導体チップを三次元に積層するために必要な研究開発、試作・評価を支援する、実装機器類、評価機器を整備した拠点施設です。
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