民主党・県政クラブ県議団
「2012年度 第1回管内・管外視察」報告 その1

2021-06-10

4月16日(月)〜17日(火)、民主党・県政クラブ県議団として、新年度(2012年度)初となる管内・管外視察を行いました。
以下に、視察報告を致します。

1.視察日時

2012年4月16日(月)〜17日(火)

2.視察先

(1)4月16日(月)

  ①『最先端有機光エレクトロニクス研究センター」(「OPERA」)
   :九州大学伊都キャンパス内
  ②『次世代燃料電池産学連携研究センター』:九州大学伊都キャンパス内
  ③『水素エネルギー製品研究試験センター』(「HyTReC」):糸島市工業団地内
  ④『社会システム実証センター』、『三次元半導体研究センター』:糸島市工業団地内

(2)4月17日(火)

  ⑤唐津市

3.視察報告

(1)4月16日(月)

国際競争が激しい半導体ならびに電気製品分野において、わが国がその国際競争に勝ち残 るためには、世界的な最先端技術を開発し、製品開発につなげていかなければなりません。その最先端の研究開発が、ここ福岡県において、九州大学や連携する企業によって繰り広げられています。福岡県は、わが国の最先端技術の牽引的地位にあります。

加えて、「3・11大震災」以後の、新エネルギー開発の推進は、本県にとっても大きな課題です。
こうした課題を踏まえ、以下の施設を視察しました。

①『最先端有機光エレクトロニクス研究センター」(「OPERA」)

12-04-16 九大内:最先端有機光EL研究センター視察_2.jpgここは、有機ELや有機薄膜太陽電池の先端研究を行っている施設です。
我が国における薄膜積層型の有機ELの研究は1980年代後半からスタートし、現在までに、蛍光材料、リン光発光材料を中心とした材料・デバイス(=比較的単純な特定の機能を持った機器、装置、道具のこと)の開発によって、大きな成功を収めてきました。しかし、世界的な技術開発により、現在では世界をリードしているのは韓国のサムスンであり、日本の各電機メーカーは苦境に立たされています。

今回訪れたセンターは、従来の蛍光EL機構、リン光EL機構を超える「第三のEL機構」を提案し、日本独自の発光材料の創製に取り組んでいます。

最先端有機光エレクトロニクス研究センター.png現在行われている研究では、従来、原理的概念に留まっていた全く新しい材料と、それによる新発光メカニズムによるデバイス化を狙うもので、既知の材料の延長による単なる構造や製法の改良とは、一線を画す産業的インパクトをもたらすことが期待されています。

また、現在の有機ELデバイスの構成は数十ナノメートルの膜厚の有機超薄膜ガラスの積層構造であり、このことが低コストでの製造技術確立を困難にし、デバイスの耐久性の不足の原因の一つとなっています。そのため、固体デバイスからの決別を図り、液体有機半導体を用いることによる全く新しい概念の有機ELの開発に取り組まれています。したがって、固体束縛条件からの脱出への挑戦は、学術上の興味に留まらず、産業上も大きなパラダイムシフトを引き起こすと予想されます。

更に、従来の有機ELデバイスには分子の配向性を制御しない有機薄膜が用いられてきましたが、分子固有の光学的・電子的異方性を積極活用した単結晶や分子配向性アモルファス膜を用いた有機ELデバイスの実現は、発光効率の向上やディスプレイ技術の高度化に寄与する点で大きな意義があります。また、分子固有の旋光性を利用した円偏光を制御するデバイスや革新的な有機半導体材料を低コストで工業化するためのプロセス開発にも積極的に取り組まれています。

同センターで取り上げられている次世代有機ELデバイスの完成までには5年の年月が必要とされますが、このようなスーパー有機ELデバイスへの挑戦が実践されるなかで生み出される幾多の新しい発見や手法は、新しい学理の確立に繋がるとともに、即座に現在の有機ELデバイス研究開発の現場に活用、産業技術の発展に寄与すると期待されています。

本研究の産業としの最終出口は、超省電力型大型有機EL照明・ディスプレイへの本格展開を図り、材料からデバイス、生産設備産業まで有機デバイスを中心とした一兆円産業への貢献を果たすとされています。

そして、次世代有機ELデバイスの研究開発を中心とする有機半導体材料・デバイスの学理を確立し、有機光エレクトロニクスに関する世界一の研究拠点を国内に形成することも視野に入れ、これらの研究成果を通して、有機ELを起点とした次世代有機半導体デバイス(有機太陽電池、有機トランジスタ、有機半導体レーザー、有機メモリー等)への展開を切り拓くものとされています。

有機EL素子の研究を通じ、有機半導体材料・デバイスの学理を確立し、分子素子やバイオエレクトロニクス等の来たるべき次世代有機デバイスへの展開へ繋げることを目的とされています。

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