民主党・県政クラブ県議団
「2012年度 第1回管内・管外視察」報告 その4

2021-06-10

(2)4月17日(火)

昨年の「3・11東北大震災」以後の原子力防災体制のあり方について、「玄海原子力発電所」と隣接している唐津市を訪れ、『唐津市地域防災計画における原子力災害対策』についてレクチャーを受け、その後、現状と課題について意見交換を行いました。

①唐津市

唐津市.png12-04-17 唐津市:市原子力防災対策視察.jpg佐賀県唐津市は、「玄海原子力発電所」の立地自治体である玄海町をぐるっと取り囲むように隣接している自治体です。なお唐津市役所は、玄海原発から直線距離で12kmの距離にあります。

唐津市では2011年3月に「唐津市地域防災計画」が策定されました。この計画は第1編(総則)から第5編(その他の災害対策)からなり、第4編に「特殊災害対策」として[原子力災害対策]が策定されています。

しかしながら、昨年3月11日の「東日本大地震」を受け、唐津市では、玄海原子力発電所において福島第一原子力発電所と同様の原子力災害が万が一発生した場合に備え、市地域防災計画の見直しをするまでの間の初動対応として、佐賀県において策定された「佐賀県原子力災害暫定行動計画」に基づき、2011年8月に「唐津市暫定避難計画」を作成しました。

そして、本年(2012年)3月には原子力災害対策を見直した修正版「唐津市地域防災計画」が策定されています。

この修正計画では、処理すべき事務または業務の大綱を定め、市民の生命、身体および財産を災害から保護することが主な内容となっています。

唐津市の原子力災害に対する対処体制は、以下のとおりです。

ステップ1:トラブル段階

災害のおそれが発生した場合「災害情報連絡室」を立ち上げる−防災課長が長となり、全庁内の課長を招集する。

ステップ2:10条段階(特定事象)

災害が発生した場合「災害警戒本部」を立ち上げる−総務部長が長となり、全部長・副部長を招集する。

ステップ3:15条段階(緊急事態発生)

災害の中身、規模によって「災害対策本部」を市として立ち上げる。

唐津市の市民への放射線防護の基本姿勢は「避難を第一義的とする」です。そのため、同市では原子力災害が発生(する可能性がある)した場合は、すぐさま正確な情報を、的確に市民に伝え、避難体制を整えるということに重きを置いています。

市民への正確かつ速やかな情報伝達手段として「唐津市災害対策情報システム」が構築され、市防災無線、市行政放送(TV)、災害情報メール配信といった市の機能の他に、「FMからつ」、ケーブルTV、NHK、民放テレビといった民間機関との連携も整えられています。

このように、唐津市では玄海原発の隣接市という地域事情を考慮し、どのようにしたら市民の生命を守ることができるかということを基本に、防災体制がつくられています。

4.感想

(1)一日目:九州大学伊都キャンパス、糸島市工業団地

これまで日本の〝お家芸〟ともいわれ、我が国の経済をけん引してきた電機産業分野ですが、今日、韓国、台湾、中国などの新興勢力の前に、大変厳しい戦いを余儀なくされています。特に、有機ELの技術においては、今回の視察では、国際競争に勝ち残るための新技術の開発、新エネルギー開発について、今後とも推進していかなければならないと思いました。

(2)二日目の唐津市との意見交換会

唐津市では、市が進める『原子力災害対策』は、まさに今後の地方自治体の原子力防災のあり方について指標にもなる内容であり、本県における原子力防災を含めた新たな防災計画にも活かせる内容のものだと思いました。
今後、福岡県においても原子力災害対策の対応について議論が進められ、政策づくりが進められることになります。唐津市の取り組みは大変参考になりました。
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