Ⅲ.視察報告

1.8月7日(水)

(2)田川市『田川市石炭・歴史博物館』

視察の2か所目は、田川市『田川市石炭・歴史博物館』でした。
当日は、市側より、伊藤信勝市長、松岡副市長、香月隆一議長、吉岡副議長、田川市世界遺産推進室財津室長、阿蘇館長が出席されました。

田川市「石炭・歴史資料館」.jpg田川市「石炭・歴史資料館」田川市『石炭・歴史博物館』は、1983(昭和58)年に前進となる「田川市石炭資料館」として開館し、当初から博物館への移行を見据えた活動が行なわれてきました。そして、2005(平成17)年10月に名称が『田川市石炭・歴史博物館』と改められました。

現在、博物館が所蔵する資料は総数約2万点に及び、うち約1万5千点が石炭関連資料となり、明治から昭和までのものを体系的に収集されています。

また、石炭資料のほかに、日本最古級の馬形埴輪や甲冑形埴輪、セスドノ古墳から出土した多種多様な古墳時代の武器・武具・馬具、さらに、天台寺跡(上伊田廃寺)から出土した日本一華麗な文様とされる新羅系瓦など、全国的に著名な考古・歴史資料も収蔵・展示されています。

また、同館では、年月とともに消えつつある「炭鉱関連遺産・資料」や「炭坑の語り部」の記録を残す取り組みが進められています。

なお、現在、博物館の〝目玉〟となっているのは山本作兵衛氏の絵画です。2011年(平成23年)5月に「ユネスコ」の『世界記憶遺産』に登録された山本作兵衛氏の炭坑記録画及び記録文書697点のうち、記録画585点、日記等記録文書42点については、博物館が所蔵し、その一部が展示(一部レプリカ)されています。

博物館1階フロア.jpg博物館1階フロアしかしながら、山本作兵衛氏の炭坑記録画及び記録文書については、その歴史的価値は極めて高いものの、近年、経年疲労が激しく、崩落、破損の危機に瀕しており、早急に抜本的な保存が求められています。

伊藤市長は当日の説明会において、山本作兵衛氏の炭坑記録画及び記録文書については、財政力の弱い田川市だけでの保存・保管を行うことは難しく、県の支援をお願いされました。

伊藤市長はまた、山本作兵衛氏の炭坑記録画及び記録文書の保存・保管をはじめ、展示についても現在の博物館では限界があり、新しい博物館の建設を願われていました。

山本作兵衛氏の原画展では多くの集客力を見せています。したがって、『田川市石炭・歴史博物館』・山本作兵衛氏の炭坑記録画及び記録文書は、田川市のみなわず、広く筑豊地域にとって魅力的な観光資源です。

飯塚市の『嘉穂劇場』や『旧伊藤伝右衛門邸』をはじめ、直方市、鞍手郡、田川郡内の観光資源、農産物、自然を活かしたグリーンツーリズムなど、それぞれの特色をタイアップさせた取り組みが求められると思います。

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