Ⅲ.視察報告

2.8月8日(木)

(1)北九州市門司区『九州鉄道記念館』

「九州鉄道」とは、1888(明治21)年、九州最初の鉄道会社として設立されました。
当初、福岡市博多区に仮本社が置かれていましたが、1891(明治24)年4月に「門司駅」(現在の門司港駅)が開業した直後、門司の地に本社が移転しされました。

「九州鉄道」はその後、「筑豊鉄道」、「豊州鉄道」などとの合併や買収等によって、九州北東部の鉄道網をほぼ独占的に支配するという体制となり、日本有数の大企業となっています。「鉄道国有法」(1906年(明治39年)3月31日公布)の実施に伴って、1907(明治40)年7月に国有化されるまで門司港から九州各地へと九州の鉄道網を形成しています。

記念館本館「旧九州鉄道」本社ビル.jpg記念館本館「旧九州鉄道」本社ビルなお、この本館は2007年(平成19年)11月30日、「近代化産業遺産」に認定されています。

記念館は、本館、車両展示場、ミニ鉄道公園の3つのエリアで構成されています。

本館には、九州鉄道の客車チブ37号をはじめ、鉄道模型(ジオラマ)やヘッドマークの展示、門司港〜門司間の疑似運転体験ができる「運転シミュレーター」、「キッズルーム」などがあります。

特に、「運転シミュレーター」は来館者に人気が高く、休日などには利用者が列をなすそうです。

子どもたちに人気の「ミニ鉄道」.jpg子どもたちに人気の「ミニ鉄道」また、日本の鉄道博物館では全国初となる「ミニ鉄道公園」では、レール上を走る模型鉄道車両(787系・813系・883系・885系・キハ72系)に乗車し、運転することができ、子どもたちの人気の的だそうです。ちなみに、入場料は大人300円・子供150円で、SUGOCAを利用または提示する場合、門司港駅からの乗車が有効となる乗車券類を提示した場合は2割引となっています。

そして、記念館入口を入ってすぐのところには、鉄道車両が9両、展示されています。

C591蒸気機関車.jpgC591蒸気機関車クハ481 603号「にちりん」.jpgクハ481 603号「にちりん」クハネ 581 8号「月光」.jpgクハネ 581 8号「月光」
ブルートレイン.jpgブルートレイン各車両の案内板.jpg各車両の案内板キハ07 41号.jpgキハ07 41号

また、館の隣に車両基地(門司港運転区)があります。車両展示場は営業線と接続されていませんが、車両展示場の隣に留置線があり、この留置線を利用して鉄道車両の展示が実施されることもあるそうです。

車両の前頭部展示(本物).jpg車両の前頭部展示(本物)2013年、開館10周年リニューアルに際し、中央ゲート横に前頭部展示コーナー(3両)があり、運転席が当時のままで展示されています。

ただ、この前頭部展示コーナーで運転席部分を展示したところ、たちどころに部品盗難にあい、館長いわく「マニアの悪癖にはまいっている。盗まれた部品の一部は、すぐにインターネットで売りに出されている。また、展示車両も同様に、吊り輪、灰皿、部品など、とにかく展示したとたん、片っぱしから盗まれ、修復が大変だった。部品盗難には頭を悩ませている。」とのことでした。

今回、初めて『九州鉄道記念館』を訪れましたが、展示品も充実しており、鉄道マニアでなくても十分楽しめる施設でした。子ども連れのご家族が多く来館されていましたが、子どもたちも目を輝かせて展示品に見入ってました。

記念館は、北九州市の観光スポットして誕生した「門司港レトロ地区」(1988年(昭和63年)から整備を開始、1995年(平成7年)3月にグランドオープン)の一画にあります。門司港レトロ観光に来られた方々も多く立ち寄られるそうで、今後は北九州市観光の目玉として、鉄道マニアだけではなく、多くの観光客に立ち寄ってほしいものです。
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