Ⅱ.視察報告
2.1月24日(金)
③ ANA貨物事業概要と沖縄貨物ハブについて
次に視察したのは、ANA沖縄貨物ハブでした。
ご案内頂いたのは、以下の方です。
- ・全日本空輸株式会社 貨物事業室 沖縄販売部長 貨物事業室付部長(沖縄事業推進担当) 谷村 昌樹
貨物ターミナル貨物ターミナルは、日中は比較的閑散としていますが、夕方から深夜、早朝にかけては雰囲気は一変し、活況を帯びるそうです。
大型コンテナ貨物飛行機が駐機場にずらりと並び、次々に大型コンテナが運び出されると、手際良く荷物の積み替えが行われ、再び貨物飛行機に積み込まれるといった作業が、明け方まで続くそうです。
深夜、早朝の通関その作業は、何度見ても圧倒されるそうです。
そして、那覇空港の強みを最大限に活かしているのが深夜、早朝の「通関」です。
通関事務所つまり、日本発着の貨物を那覇空港で通関することにより、出発地・到着地におけるリードタイムを短縮しています。
歓迎のTVモニターまた、羽田空港で通関することにより、首都圏のみならず日本国内の各都市からの出荷についても従来より遅い出荷が可能となっています。
更に、関西空港で通関することにより、関西圏のニーズにも対応することが可能となっています。
貨物エリアを視察した後は、貨物事務所でANA沖縄貨物ハブ・貨物便ネットワークについて、詳細な説明を受けました。
ご説明頂いたのは前述の谷村 昌樹ANA貨物事業室付部長様でした。
ANA沖縄貨物ハブとは、那覇空港を基点に日本とアジアの主要都市を結ぶANAの貨物便ネットワークのことです。
日本を含むアジアの各主要都市から、那覇空港に一旦集荷された貨物を、独自の「沖縄ハブ&スポーク方式」により、短時間で効率的に積み替え、アジアの各主要都市に輸送されます。
具体的には、「那覇空港」を基点に、貨物専用機(B767F)をアジア主要都市へ深夜運航 し、「羽田空港経由」して日本各地との接続をスピーディーに 行い、「アジアの主要都市から主要都市へ」アジア域内の接続もスピーディーに 行う事業のことです。
B767−300フレイターで日本を含むアジア主要都市を22時〜24時台に出発し、「沖縄貨物ハブ」を経由し翌朝早朝には各目的地に到着します。
「日本⇔アジア間」のみならず、「アジア⇔アジア間」の輸送にも対応することができ、海外発の商品力の強化を可能にしています。
また、域内で事業展開をしている製造業等の荷主のサプライチェーン・マネジメントへのニーズにも高いレベルで応えています。
ANAの貨物便ネットワークはエクスプレスの航空輸送に最適とされています。
すなわち、日本国内の主要地方都市との間も、同業他社よりも「遅い集荷」、「早い配達」が可能であり、高まる地方発着の輸送ニーズにも的確に対応しています。
那覇空港の最後の視察場所は、LCCターミナルでした。
現在、那覇空港には、ふたつのLCCがフライトしています。
一つはANA系LCC「ピーチ・アビエーション」で、もうひとつは「バニラエア」(旧エアアジア・ジャパン)です。
那覇空港では、2012年10月18日に国内初のLCC専用ターミナルとして供用が開始されています。
もともとはANAの貨物ターミナルだった場所を、一部旅客用に改装したもので、LCC会社の経費の削減と、貨物倉庫の有効活用が図られています。
国内線(関西、石垣、福岡[予定])。2014年2月10日より国際線(台湾・台北)もLCCターミナルでの搭乗を開始。7月19日より、那覇空港を関西国際空港に次ぐ第二の拠点としての展開を予定。
国内線(成田)
このLCC専用ターミナルは貨物上屋を改装した、平屋造りのシンプルな構造で、上屋前にあるスポットを活用した「徒歩」による搭乗・降機ベルトコンベアを利用しフライト表ない手荷物取り扱いなどが特徴です。
貨物倉庫をうまく活用し、無料Wi-Fiや映像ダウンロードサービスの提供などにより、低コストながらも利用者サービス充実を目指しているとのことでしたが、従来の国内線ターミナルとは、イメージも、使い勝手も大きく違っていました。
国際線・国内線ともに、荷物引き取り場所は1か所で、空港でよく見られる国際線搭乗口「手荷物用ベルトコンベアー」はありません。
谷村さんいわく、「LCCを利用される方は、もともと手荷物が少なくて小さい。従って、ベルトコンベアーなど必要なく、その分、経費節減となって、航空料金を安くすることもできる。」とのことでした。
こうした発想に、まさに〝目からうろこ〟状態でした。荷物受取場所
LCC専用ターミナルへの乗り入れは、国内線ターミナルからのシャトルバス(無料)か、指定レンタカー会社の送迎バスのみとなっています。
シャトルバスは国内線ターミナル1Fの4番バス乗り場から出ており、LCC便の出発時刻2時間半前から、約10分間隔で運行しているそう。
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