Ⅰ.日程(2013年)

1.11月18日(月)

  • (1)太宰府市「福岡県保健環境研究所」
  • (2)大野城市「大野城市立大野城中学校」
  • (3)大野城市「水城跡」
  • (4)筑紫野市「産業廃棄物最終処分場」

2.11月19日(火)

  • (1)筑紫野市「福岡県農業総合試験場」
  • (2)太宰府市「九州国立博物館」

Ⅱ.視察報告:11月18日(月)

1.太宰府市「福岡県保健環境研究所」(一部、県のHPより引用)

最初に視察したのは、太宰府市にある「福岡県保健環境研究所」です。
この施設は、県民の健康と環境を守るため調査研究や試験検査、研修・情報提供などを行うための県の研究施設です。

(1)研究所の説明

①研究所の概要
「福岡県保健環境研究所」は、県民の健康と快適な環境を守るため、保健・環境行政を科学的・技術的側面から支える試験・研究機関として、新たな課題解決に向けた調査研究、試験検査及び教育・研修、情報発信の業務を行い県の保健・環境行政に貢献しています。

②主な研究

  • 感染症の発生拡大防止及び食品の安全性確保に関する研究
  • ダイオキシン類、有害化学物質による健康被害の防止及び環境汚染の防止とその対策に関する研究
  • 地域保健情報の解析、評価及び活用に関する研究
  • 大気環境の保全に関する研究
  • 水環境の保全に関する研究
  • 廃棄物の適正処理と有効利用に関する研究
  • 自然環境と生物多様性の保全に関する研究

   などを行っています。

③試験検査
保健・環境行政を推進するための科学的裏づけとなるデータや解析結果を提供する行政検査と住民等からの依頼による一般検査を行っています。

  • 行政検査・・・食中毒・インフルエンザ検査、ダイオキシン類検査、食品残留農薬分析(ポジテイブリスト制度)、廃棄物関係調査等
  • 一般検査・・・飲料水細菌検査、生物同定検査、温泉分析検査等

   を行っています。

④研修・情報提供

  • 保健・環境に関する科学的な専門機関として、保健福祉環境事務所職員や大学生、専門高生、国内・海外研修生を受け入れています。また、講演会等への講師派遣も行っています。
  • 保健・環境問題解決のため、広く県民に対してホームページ、保環研ニュース、年報、成果発表会、保健・環境フェアなどで情報提供しています。

(2)視察報告

①所長挨拶
視察では、まず、平田輝昭所長の挨拶の後、研究所側から所の概要や研究内容などについてヒアリングを受けました。
その後、質疑応答に入りました。

ヒアリングの様子.jpgヒアリングの様子

平田所長(左から2番目)、研究所所員.jpg平田所長(左から2番目)、研究所所員

平田所長は、「近年、保健衛生分野では、社会の急速な高齢化、技術革新、生活習慣の変化などに伴う疾病構造の変化、食中毒原因の変遷、化学物質による健康被害の増加などが生じ、さらには著しい国際化に伴うエイズなどの新しい感染症の脅威など、過去には遭遇しなかった新しい問題が次々と発生しています。

また、環境分野では、過去の工場排水による水質汚染に代表されるような、産業活動による公害については、かなりの改善がなされましたが、今日では、私たちの生活水準の向上によって生じた種々の新しい問題が発生しています。すなわち、生活排水、廃棄物、自動車排ガスやダイオキシンなど有害化学物質による身近な都市・生活型の地域環境汚染問題が起こっています。特に、近年ではPM2.5については県民の関心は非常に高い。

更には、炭酸ガス排出増加による地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨など地球規模での環境破壊が重要課題となり、環境問題は質的に大きく変化し、かつ複雑・多様化してきています。

こうした保険環境分野における社会的な課題に応えるために、当研究所があります。これからも県民生活を守るための活動と研究を進めていきます。」と話をされました。

②研究所員の説明
現在、研究所の組織は3部10課となっている。本研究所は研究者60余名をかかえ、調査研究、行政上必要な試験検査や教育研修・情報提供を行っている。
組織は以下のとおり。


 
総務課

・庶務、財務会計に関すること。


 
企画情報管理課

・保健環境研究所における試験検査、分析測定及び調査研究等の総

 

 合企画、調整及び連絡に関すること。

 

・保健衛生及び環境保全に係る試験研究の成果の管理に関すること。

 

・保健衛生及び環境保全に係る研修等に関すること。

 

・地域がん登録に係る業務及び各種疾病、環境汚染等による不健康

 

 要因の人体に及ぼす影響について疫学的調査研究に関すること。

 

・テレメーターによる大気汚染等の測定、解析及び調査研究に関す

 

 ること。

 

・その他の保健衛生及び環境保全に関する情報の解析及び調査研究

 

 に関すること。


 
計測技術課

・高度精密分析機器による試験及び調査研究に関すること。

 

・化学物質の試験及び調査研究に関する事務のうち、他部に属さな 

 

 いこと。


 
病理細菌課

・細菌性疾患及び病原細菌の細菌学的及び血清学的検査及び調査研

 

 究に関すること。

 

・食品、水及び環境の細菌学的検査及び調査研究に関すること。

 

・消毒薬、殺菌剤及び細菌性剤等の効力試験、無菌試験及び病理毒

 

 性試験に関すること。


 
ウイルス課

・リッチケア性及びウイルス性疾患並びに病原ウイルスのウイルス

 

 学的及び血清学的検査及び調査研究に関すること。

 

・人畜共通感染症のウイルス学的検査及び調査研究に関すること。


 
生活化学課

・食品、医薬品、衛生材料及び生体試料等の理化学的試験及び調査 

 

 研究に関すること。


 
大気課

・大気汚染及び悪臭の分析測定及び調査研究に関すること。

 

・放射能による食品及び環境の汚染の調査研究に関すること。

 

・騒音振動の分析測定及び調査研究に関すること。


 
水質課

 ・工場排水及び公共用水等の水質基準に係る試験、分析測定及び調

 

 査研究に関すること。

 

・上水、井水、下水、し尿浄化槽排水及び清掃処理施設排水等の水

 

 質試験及び調査研究に関すること。

 

・地下水及び土壌の汚染等に係る試験、分析測定及び調査研究に関

 

 すること。

 

・温泉試験に関すること。


 
廃棄物課

・廃棄物の試験、分析及び処理方法等の調査研究に関すること。


 
環境生物課

・衛生動物の同定、生態、分布及び駆除の調査研究に関すること。

 

・環境汚染の動植物に及ぼす影響及び環境指標動植物の調査研究に

 

 関すること。

 

・自然保護に係る動植物の分布及び生態の調査研究に関すること。


 
感染症情報センター

・感染症発生動向、病原体情報の調査及び情報発信に関すること。

研究所の活動としては、具体的には、県民の保健の現状や地域の環境状況情報を集め、解析し、異常なことが起こっていないか常に監視をしている。

また、感染症や食中毒発生時には、県庁や、保健福祉環境事務所(保健所)など関係機関と協力し、原因究明や被害拡大防止に力を注いでいる。

更に、環境中の水や大気、産業廃棄物、生物などの動向を常に監視し、県民が安心できる環境を目指して、活動を続けている。

東北震災による福島原子力発電所の事故以降、放射能の環境中への影響を測定するため、当研究所にモニタリングポストを設置し、測定結果は、常時、福岡県および当研究所のホームページにより公表している。

③研究所内視察

放射線モニタリングポスト.jpg放射線モニタリングポスト環境放射線モニタ.jpg環境放射線モニタ放射能分析装置.jpg放射能分析装置

重金属分析器.jpg重金属分析器

イオンクラマトグラフ.jpgイオンクラマトグラフ

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