Ⅱ.福岡県議会「宮城県中部震災被災地視察」報告

(3)宮城県名取市 閖上地区

東北大地震による、名取市への津波到達時刻は15時52分、本震発生後1時間6分後でした。
名取市での最大浸水高は9.09m、海岸からの最大浸水距離は約5km(河川では、名取川約8km、増田川約7.6km)となっています。

今回の震災で名取市では、死者・行方不明者911人、半壊以上の建物5,000棟以上の甚大な被害を受けています。死者・行方不明者は、全て津波の被害であり、沿岸部では家屋の全壊が多数を占め、今回訪れた閖上地区では、海から1㎞以内の木造住宅は、ほぼ全て流失しています。また、津波による火災も発生しており、津波とその後の火災によって閖上・下増田地区の沿岸部は、壊滅的な被害を受けています。

全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_13.jpg上下2枚の写真は、いづれも津波がひいた直後、日和山から写されたものです。(名取市提供)
全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_14.jpg被災家屋は13,991棟にも上っており、まさに壊滅状態です。(名取市提供)


津波の高さ(浸水深・浸水高・遡上高)は、閖上にある「日和山」(標高6.3m、海岸から約700mの距離)で、丘の頂上から2.10m上まで浸水した痕跡が残っていたそうです。また、閖上漁港付近の建造物2階窓枠にも漂流物があり、そこの浸水高は9.09mであったとの調査報告があり、前述のとおり名取市での最大浸水高は9.09mとなっています。

私たちは、閖上にある「日和山」(全国で3番目に低い山)の山頂にのぼり、全域を見渡しました。360度、見渡す限り原野のような風景になっており、ここに多くの市民が生活されていたということは、にわかには信じられるものではありませんでした。本当に声を失ってしまいました。

現在、名取市はこの閖上地区の復興計画については、①海岸堤防の高さ7.2m(1次防御ライン)、②貞山堀河川堤防沿いの市道整備高さ6.0m(2次防御ライン)、③宅地嵩上げ5.0mとしており、現地再建を決めています。

しかし、現地復興を不安視する住民も多く、現地再建を決めた後の住民説明会では、住民側から「浸水区域外に移りたい」と集団移転を望む声が相次いだそうです。意向調査でも、同地区にとどまりたいとするのは4割だったということです。

したがって、市は希望者には地区外への集団移転を認める選択肢も検討しているとのことです。A

全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_15.png閖上地区が一望できる「日和山」
全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_16.png山頂にある被災慰霊碑
全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_17.png今後、この地区は盛土され、住宅地として再整備される予定です。