Ⅱ.福岡県議会「宮城県中部震災被災地視察」報告

(4)宮城県名取市 仙台湾南部 名取海岸海岸岸壁復旧工事

最後に訪れたのは、仙台市若林区荒浜海岸でした。
荒浜海岸は、太平洋沿岸に面した延長35km(宮城県多賀城市から、南の相馬市まで)の海岸線の中頃にあり、震災前は白砂青松の美しい海岸であったということです。

現地に立ってみると、そこには太平洋の大海原が広がっており、津波とは無縁さを感じさせる風光明美なところでした。海岸沿いには、津波でなぎ倒された松林が痛々し姿を見せていますが、津波がなければ「羽衣伝説」で有名な三保海岸(静岡市)とも負けず劣らず、素晴らしい海岸線であったと思います。

また、この海岸線は、津波で仙台空港が被災したとき、よく映像で流された海岸地区です。津波は、海岸の堤防を越え、松林をなぎ倒し、仙台空港まで押し寄せました。そして、津波はその後、海岸線から内陸地5kmまで押し寄せています。

全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_18.png海岸入り口には国交省の看板が建てられていました。
全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_19.png津波でなぎ倒された松林
全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_20.png海岸から松林の奥には仙台空港が見えます。津波は、ここを通って仙台空港に押し寄せました。


名取市の仙台湾南部名取海岸岸壁復旧工事は、東北地方整備局仙台河川国道事務所が所管し、延長は3,010m(総延長20km、7区間)となっています。

工法は、堤防盛土の上を栗石で固め、更にその上をコンクリートで被覆するというものです。天端高7.2m、天端幅4.0mの強固なものとなっています。

現地事務所では、「1,000年に一度の地震、津波に耐えられるようなものを造りたい」と話をされていました。

全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_21.png全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_22.png全国都道府県議会議員野球大会_宮城視察報告_23.png

 3.まとめ

今回の宮城県中部震災被災地視察は、「全国都道府県議会議員野球大会」の初日の結果待ちということでした。結果として、福岡県議会チームは1回戦で敗退したため、あらかじめ仮日程としてた被災地視察となりました。

しかし、事前の仮日程のお陰で、当日の視察は大変有意義なものとなりました。私は、これまで2度、宮城県内の被災地視察を行いましたが、いずれも県北部(松島町、石巻市、女川町)であり、県中部、県南部はまだ訪れておりませんでした。

今回、宮城県中部(東松島市、名取市)を視察しましたが、いずれの地区も被災の状況は深刻で、震災発生から1年以上経った今日でも、いまだ震災・津波の傷跡を多く見ることになりました。

東北の被災3県以外では、やもすれば福島原発の放射能被害がクローズアップされたり、原発の安全性や再稼働をめぐっての議論は華々しく世論はにぎわい、マスコミでも取り上げられていますが、震災・津波被害の現状、その後の復旧、被災者の生活など、段々と震災のことが忘れがちになっているのではないか。

そうした、自戒も含め、今回の視察は大変意義のあるものでした。

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