Ⅱ.視察報告

2.グループホーム「うぐいすの里こもれびの家」

厚生労働委員会_岩手_宮城視察03.pngうぐいすの里こもれびの家グループホーム「うぐいすの里こもれびの家」は、「社会福祉法人 宮城福祉会」が運営する共生型グループホームです。「社会福祉法人 宮城福祉会」が運営する施設は、宮城県内に35施設あり、このうち、保育所が3園あります。

今回の視察では、宮城福祉会の吉田孝志理事長より説明を受けました。

(1)共生型グループホームとは
共生型グループホームは、宮城県の職員提案を事業化したモデル事業であり、2004年(H16)1月、全国で初めて宮城県白石市で開始されました。現在、宮城県内をはじめ、東北地方で運営実施されています。

この共生型グループホームは、重度・重複障害児者、知的障害者及び認知症高齢者が、年齢や障害の程度を超えて、互いに役割をもちながら地域で自分らしい生活を安心して送る生活の場で全国で初めて、宮城県で開始されました。

共生型グループホームは、利用者によって異なる制度を適用して運営されます。認知症高齢者は「介護保険制度」、重症心身障害者や知的障害者は「障害者自立支援法」に基づく障害福祉サービスが適用されますが、共生型グループホームは、この2つの異なった制度を一つに活用することによって、多様なニーズに対するサービス提供を行い、利用者の地域生活を支えていこうとするものです。

しかしながら、異なる制度を適用しているために生じる問題もあります。例えば、居間や食堂、台所など、本来は1つあれば十分な設備であっても、それぞれの制度に基づいて設置しなければなりません。宮城県は、こうした重複する設備等に係る要件の緩和等を国に要望しています。

(2)「うぐいすの里こもれびの家」の概要
グループホーム「うぐいすの里こもれびの家」は、宮城県栗原市鶯沢南郷広面にあります。「障がいや病気にかかってもこれまで住み慣れた地域を遠く離れず、地元で生活を継続したい」という方々の願いに応えるため、重症心身障害者、知的障害者、認知症高齢者の方々が、同世代の人たちや、ケアスタッフと一緒に助け合いながら、共に暮らしていく生活支援施設です。

(3)ホームの特徴
全室、トイレ、洗面台、物入れを設備した個室です。タンスなど、使い慣れた家具を持ち込むことも可能です(数量、大きさ限定あり)。  

(4)施設
厚生労働委員会_岩手_宮城視察04.png施設は、二つのホームから成っています。
① 認知症高齢者のための居宅部分
② 重症心身障害者、知的障害者のための居宅部分

なお、この二つの居宅部分の中間に、共有施設として風呂、食堂、居間があります。


(5)利用者
① 認知症高齢者:定数18名

  • 介護保険制度における要介護認定を受けた、要支援2、要介護1〜5の方。

② 知的障害者、重症心身障害者:定数4名

  • 自立支援費制度にもとづき、居宅支給決定身体障がい者の方で、グループホームにおいて共同生活が可能な方。 

(6)利用料金
要支援2から要介護5の方まで、それぞれのサービス提供によって利用料金が変わりますが、約9万円/月〜約11万円弱/月となっています。

(7)考察
共生型グループホームは、東北地方の地域性を基に運営されている施設であり、全国的に展開されているわけではありません。したがって、福岡県でこの方式でホーム運営ということにはならないため、基本的な考え方、施設の運営方式などを学んできました。

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