Ⅰ.視察日程

1.日程

2012年10月24日(水)〜26日(金)

2.視察先

(1)1日目:10月24日
① 岩手県立「磐井病院」(岩手県一関市狐禅寺字大平17番地)

(2)2日目:10月25日
① グループホーム「うぐいすの里 こもれびの家」(宮城県栗原市鶯沢南郷広面46番地)
② 震災廃棄物選別処理施設(宮城県石巻市雲雀野町)

(3)3日目:10月26日
① 「蔵王すずしろ」(宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉字七日原1-729)
② 仙台港南部海岸堤防建設現場(宮城県名取市 名取海岸閖上・北釜地区)

 Ⅱ.視察報告

1.岩手県立「磐井病院」

厚生労働委員会_岩手_宮城視察01.png磐井病院

厚生労働委員会_岩手_宮城視察02.png病院玄関

岩手県立「磐井病院」は、岩手県一関市にある県立の総合病院病院です。1949年(S24)、岩手県立病院の理念である「県下にあまねく良質な医療の均てんを」という精神のもとに、両磐地区とその周辺の地域の医療を担当する広域中核病院として設立されました。

(1)病院の沿革

  • 1932年(S7) 産業組合立一関実費診療所として開院。
  • 1950年(S25) 県営移管され、県立磐井病院となる。
  • 1966年(S45) 一関駅前から山目字前田に新築移転。
  • 1992年(H4) 現在の5病棟体制、305床となる。
  • 2006年(H18) 現在の地に新築移転、20診療科、315床、磐井病院として開院。
  • 2007年(H19) 病院機能評価受審を完了し、ISO14001の受審を完了。
  • 2009年(H21) DPC対象病院として運営。
  • 2010年(H22) 呼吸器内科の医師の退職に伴い、呼吸器科が休診となる。

(2)診療科
小児科、眼科、心療内科、消化器科、外科、麻酔科、神経内科、呼吸器科、循環器科、皮膚科、画像診断科、耳鼻咽喉科、緩和医療科、心臓血管科、整形外科、形成外科、脳神経外科、泌尿器科、産婦人科、放射線治療科、歯科口腔外科の21科。

ただし、現在、呼吸器内科については医師確保ができないことから、長期休診となっています。なお、眼科、耳鼻咽喉科、病理科についても常勤医がいないため、圏内の開業医、岩手医科大学、東北大学、仙台社会保険病院などから嘱託医が診療に来られています。

(3)診療圏人口
岩手県一関市と平泉市を主な医療圏域とし、宮城県北部までカバーしています。これら診療圏域の人口は約17万人。

(4)患者状況
2011年(H23)の病院受診状況は、外来患者数11万2,101人、入院患者数は7万9,575人です。

(5)病床数・平均在院日数
病床数は315床、平均在院日数は11.9日。

(6)救急外来
2011(H23)年度の救急外来を受信された患者数は、標榜時間内2,125人、標榜時間外12,804人。うち、救急車での来院数は2,983人となっています。

(7)死亡退院患者数
2011(H23)年度の死亡退院患者数は437人で、死亡比率は0.06となっています。

(8)院長のお話
視察にあたり、ご多忙のなか加藤博孝院長より病院の説明を頂きました。内容は以下のとおり。

「開院以来、当地域の皆様の健康の砦として努力を続けてきた。2012年4月、病院長に就任した。
当院は、「緩和ケア病棟」を有する「地域がん拠点病院」であり、更に「地域周産期拠点病院となっている。また、岩手県南・宮城県北の拠点病院となっている。当院の役割である、救急医療・がん診療・周産期医療・入院医療だけでなく他の診療においても、病院全職員510名が一丸となって診療の質を高めていきたいと考えている。

地域の保健医療活動はひとつの医療機関だけではできない。当地区の他の医療機関、保健福祉機関、行政と密接に連携し、宮城県北も含めた両磐地区の医療圏の皆様の健康のために努力していきたい。

また、当院の重要な役割として『教育』がある。初期研修医11名が働きながら学んでおり、また、看護学生、薬学部の学生が当院で実習している。この方たちは将来の日本の医療を担う大切な人材である。

岩手県は、深刻な医師不足にある。当院でも、現在、呼吸器内科については医師確保ができないことから、長期休診となっている。眼科、耳鼻咽喉科、病理科についても常勤医がいないため、圏内の開業医、岩手医科大学、東北大学、仙台社会保険病院などに医師の派遣をお願いしている。本県だけでなく、東北地方はどこも同じ悩みがある。

本院の特徴として「緩和ケア」があるが、在宅緩和ができてない。これは、在宅主治医の確保が難しいことにある。圏内でも5名の医師しかいない。重ねて、医師不足は深刻である。

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