Ⅳ.視察報告

1.3月29日(金)

(3) 「海上保安庁第十一管区海上保安本部」視察訪問

海上保安庁.png海上保安庁次の視察先は「海上保安庁第十一管区海上保安本部 石垣海上保安部」でした。

十一管区の任務は、主に沖縄地方の東シナ海、太平洋ならびに沖縄県を管轄範囲とする、海上保安庁の管区海上保安本部の一つです。

管区管内には「尖閣諸島」があるため、他管区からの巡視船の応援を受けながら、常に「尖閣諸島」周辺海域に巡視船を展開させており、海上自衛隊のP-3C哨戒機とも連携して警備業務にあたっています。
海上保安庁第十一管区海上保安本部.png庁舎案内
特に、2012年9月の日本政府による「尖閣諸島」国有化以降、中国の海洋調査船が「尖閣諸島」の領海侵犯を週に数度の頻度で繰り返しています。

また、中国監視船は悪天候時を除いて 連日、周辺海域を航行しており、領海侵入も延べ24日間に上っているそうです。10隻以上が航行した当初に比べ、最近は5隻程度に減っているものの、3月7日から8日未明にかけて、4隻が約13時間も領海内に居座ったとのことであり、さらに中国海軍の艦船が「尖閣諸島」周辺海域で度々軍事演習を行ったり、中国軍の航空機が度々尖閣諸島に接近するなど、緊張関係が続いています。

第十一管区は、こうした中国や台湾などの海洋上の動きに対応するため、ヘリコプター搭載巡視船を「尖閣諸島」周辺海域に常駐化したり、全国で最初に新型の大型巡視船を配備したり、大型巡視船を増隻するなど、本部機能を増強しています。

そして、海上保安庁は本年3月11日、600人規模の専従チーム「尖閣専従部隊」を新設することを公表しました。
最前線となる那覇市の石垣海上保安部を中心に、新たに12隻の巡視船を配備して人員も増やすなど、今後3年間で体制作りを進め、領海侵入を 繰り返す中国監視船との“長期戦”に備えるとしています。

海上保安庁によると、現在、全国から巡視船を集めて尖閣周辺の警備にあたっているものの、海難救助など通常業務への支障を懸念し、また中国側とのにらみ合いが今後も続くと予測し、専従チームを編成するということです。

2.3月30日(土)

(1) 「海上保安庁第十一管区海上保安本部 石垣保安本部」管内船艇視察
翌30日、私たちは「海上保安庁第十一管区海上保安本部 石垣保安本部」管内配備船艇を視察しました。

今回は、接岸されていた巡視船「はてまる」(1300トン)、巡視船「みずき」(195トン)、巡視艇「なつづき」(100トン)の3隻の巡視船を見ることができました。

巡視船「はてまる」は、「尖閣諸島」の警備を展開するヘリコプターや巡視艇に対し、補給や乗員の休息などの支援を提供するための「拠点機能強化型巡視船」として開発されたものです。

光学式射撃式装置と連接させた遠隔操作式のMk 44 ブッシュマスター II 30mm機関砲を備え、30ノット(1ノットは時速1.852 km)以上とされる高速力による、優れた警備能力を備えているそうです。

そして、巡視船「みずき」は、韓国・朝鮮系の密漁船に対応するために「捕捉機能強化型」に指定され、出力を増強、35ノットで巡航できる、いわば高速船ということです。

目標追尾型遠隔操縦機能付き20mm多銃身機関砲と防弾ガラスも装備されています。

なお、この巡視船「みずき」は、2010年9月7日の「尖閣諸島中国漁船衝突事件」、2012年7月の「魚釣島台湾海岸巡防署巡視船衝突事件」で、中国漁船や台湾の巡視船に衝突されており、その映像がテレビでも流れました。

こうした度重なる衝突事件を受け、巡視船「みずき」の船首部分には左右ともに衝撃緩衝材が取り付けられていました。

巡視船「はてまる」1300トン.png巡視船「はてまる」1300トン巡視船「みずき」195トン.png巡視船「みずき」195トン巡視艇「なつづき」100トン.png巡視艇「なつづき」100トン

テレビ等、マスコミ報道でした見聞できなかった巡視船でしたが、こうして直にその姿を見ましたが、特に巡視船「みずき」の船首に取り付けられていた衝撃緩衝材を見るにつけ、尖閣周辺海域の緊張感、保安庁職員のご苦労などを垣間見ることができました。

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