Ⅱ.視察報告

1.11月13日:「土岐プラズマリサーチパーク『核融合科学研究所』」(一部、施設HPより引用)

(3)研究装置概要

①大型ヘリカル装置

装置の縮小モデル.jpg装置の縮小モデル現物装置.jpg現物装置

「大型ヘリカル装置」(LHD) は、日本独自のアイデアに基づくヘリオトロン磁場を用いた世界最大の超伝導プラズマ閉じ込め実験装置です。これによって、定常高温高密度プラズマの閉じ込め研究を行い、将来のヘリカル型核融合炉を見通した様々な視点から学術研究を推進しています。

②シミュレーション科学研究

実験の様子をモニタリングする部屋 .jpg実験の様子をモニタリングする部屋 すでに、プラズマ発生実験は12万1,150回を超えています .jpgすでに、プラズマ発生実験は12万1,150回を超えています

核融合プラズマ閉じ込めの物理機構解明、その体系化及び数値試験炉の構築を目指して、大型計算機システムを活用した磁場閉じ込めプラズマ及び複雑性プラズマのシミュレーション研究を推進しています。

③核融合のための工学研究

装置模型.jpg装置模型装置概念図.jpg装置概念図

核融合炉を目指した大学の核融合工学研究の中核として、ブランケット及び超伝導コイルシステムの開発をはじめとした炉設計の高度化研究を進めるとともに、基礎となる学際領域の研究拡充を図ります。

(4)視察感想

『核融合科学研究所』入口.jpg『核融合科学研究所』入口

「土岐プラズマリサーチパーク」全景.jpg「土岐プラズマリサーチパーク」全景

東日本大震災による「福島第一原子力発電所」事故を受けて、私たちはエネルギー(の需要と供給)に関して関心を持つようになりました。しかし、関心を持つだけでは未来への責任を果たしたとは言えません。

原子力による電力を太陽光パネル、風力、地熱による発電で置き換えられるか、置き換えられるとしたらどういった方法で、どれくらいのお金をかけて、いつごろに代替エネルギーとなりえるのか。それまでは化石燃料に頼っておいていいのか・・。人類が存続していくためには化石燃料や原子力発電に代わる新エネルギーの研究開発が必要不可欠です。

今回、はじめて『核融合科学研究所』を視察しましたが、視察前は「核融合実験を行って、未来のエネルギーをつくりだそうとしている研究施設。」というくらいの認識でした。しかし、実際に現地に行き、現在の研究成果をみたとき、〝核融合発電〟は夢物語から、近い将来性、私たちのエネルギーを担う施設になりうるという確証に変わりました。

この『核融合科学研究所』が目指している〝核融合発電〟は、将来においてエネルギーを長期的・安定的に確保するとともに、地球温暖化などの地球環境問題を克服する可能性を有しており、究極の「グリーン・イノベーション」といえます。また、安全性などの点でも優れた特性も有しており、その実現は人類にとってとてつもない希望と展望を与えるものになると思います。

化石燃料に頼るのではなく、原子力に頼るのではなく、太陽光や風力といった自然エネルギーでもない、まさに近未来のエネルギーとして期待できるものです。

次世代(子や孫たち)へ安心で安全なエネルギーを残すことこそ、今を生きる私たちの責務といえます。

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