Ⅱ.視察報告

3.11月15日

(1)石川県議会「防災・減災対策について」ヒアリング・意見交換

視察三日目は、まず石川県議会を訪れました。

県議会では、宮崎良則県議会事務局長、川口正人危機対策課長が出席され、石川県の危機管理体制の説明と、「自主防災組織の支援策」について説明を受けました。

①「能登半島地震」
石川県は、2007(平成19)年3月25日午前9時41分58秒、石川県輪島市西南西沖40kmの日本海を震源とする、いわゆる「能登半島地震」に見舞われました。

この地震により、輪島市内では女性一人が死亡、石川県・富山県を中心に負傷者が279人出ました。その他、震源を中心に家屋倒壊・道路崩落や、電気・ガス・水道などのライフラインの寸断が発生し、震源地に近い沿岸部や富山県の氷見漁港などでは液状化現象が発生しています。

交通の被害も大きく、JR西日本金沢支社管内のうち、小浜線を除く全路線がストップし、北陸本線で終日、運転が見合わされました。また、北陸地方のその他の私鉄、第三セクター鉄道も地震発生直後に運転の見合わせ。能登空港は滑走路に22か所の亀裂が見つかって閉鎖されました。

このように、「能登半島地震」では石川県内をはじめ、北陸地方に大きな災害が出ました。被害総額は350億円にも上っています。

②石川県の危機管理対策について
この震災を受け、石川県は「危機管理監室危機対策課」を中心に、従来からの危機管理体制を大幅に強化しています。

そして、今回、説明の柱となったのが「自主防災組織への支援策について」と、「石川県民一斉防災訓練(シャイクアウトいしかわ)の概要」でした。

石川県は人口116万人(県庁所在地は金沢市で、人口46万人)、世帯数45万2千世帯、市町数は19市町(10市9町)であり、町会数(いわゆる町内会)は約4,000です。

石川県は、この町会数(いわゆる町内会)約4,000すべてに自主防災組織をつくるべく、県挙げてサポート体制を組んでいます。

現在(2013年4月1日現在)、自主防災組織の組織率は78.7%、組織数は1,672に上っています。

組織率向上に向けた取り組み(結成支援)としては、○組織化啓発研修会の開催、○防災活動実践講座、○自主防災組織アドバイザー派遣制度、○自主防災組織リーダー育成研修会、○防災士の計画的育成、○自主防災組織リーダーフォローアップ研修、○自主防災組織知事表彰、○自主防災組織交流大会、○自主防災組織活動の手引き配布、○自主防災組織活動の事例集作成・配布などです。

石川県では、こうした活動を通じ、自主防災組織の組織率100%を目指し、引き続き結成支援を行っていくとのことでした。

引き続き、「県民一斉防災訓練(シャイクアウトいしかわ)」の説明を受けました。

シャイクアウト訓練とは、2008(平成20)年、米国カリフォルニア州で考案された、地震災害に対する新しい防災訓練のことで、発案者の造語で、直訳すれば「地震をぶっ飛ばせ」となりますが、日本語では「一斉防災訓練」と訳されています。

石川県では、本年(平成25)7月5日、はじめて実施されました。なお、この訓練は日本国政府も認めており、震災をはじめとする防災に対する住民の意識高揚と知識の向上を図る機会として評価されています。

そして、この「県民一斉防災訓練(シャイクアウト訓練)」は、北海道についで、石川県は全国2番目の実施となっています。

訓練の趣旨は、地震による人的被害の多くが、揺れによる家具等の倒壊や落下物による負傷と言われていることから、地震の被害から自分自身を守るための「しゃがむ」、「隠れる」、「じっとする」といった安全行動に焦点をあてた訓練となります。

訓練の対象は、子どもから高齢者、通勤・通学者まで幅広く参加されています。特徴的なのは、自宅、学校、老人ホーム、会社など、普段いる場所での訓練であり、身の回りの危険個所を確認するきっかけとなっています。

石川県では、万が一にも大きな地震が来たとしても、人的災害を最小に抑えることのできる体制をつくるべく、こうした活動を日常的に行っています。

③感想
地震をはじめ、自然災害はいつ、どこで、どのようなタイミングで襲ってくるか判りません。そのため、普段から災害に対する心構え、対策を心がけておくことが必要です。

今回、石川県の説明を受け、そのことを強く感じ取った次第です。福岡県としても、再度、災害防止対策のチェックを図る必要があると痛感しました。

大変有意義な視察となりました。

(2)石川県庁「災害対策本部」視察

最後に視察したのは、石川県庁6階にある「災害対策本部室」です。ここは、県内で発生した災害に対応するための部屋です。ちなみに、この部屋は新県庁(10年前)が建設されたときに設置されており、機器だけで11億円の予算が使われています。

大きな災害が発生した場合、いち早く知事を本部長とする「災害対策本部」が庁内に設置され、この部屋に「本部」が設置されます。そして、災害の状況を的確に把握し、災害を最小に抑えるととともに、人命救助、インフラ復旧などの対応と対策を実施します。

県庁16階の屋上にはテレビカメラが設置され、50km先の状況まで視覚確認できます。
また、県内の主要道路、河川、港湾、鉄道、繁華街などに設置されているテレビカメラを通じ、情報を的確かつ素早く入手し、そこで発生している被災状況を確認し、対応と対策を実施するようにできています。

災害は発生しないに越したことはありません。しかし、いつ何時、どのような自然災害などが起こるか判りません。そのとき、的確な対応をするためには、なにより正確な情報収集こそ大切になります。

今回の「石川県災害対策本部室」の視察では、こうした実情を知ることができ、とても有意義でした。

災害対策本部室にて_1.jpg災害対策本部室にて災害対策本部室にて_2.jpg災害対策本部室にて

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