Ⅱ.視察報告
2.2月3日:JX日鉱日石石油「喜入石油備蓄基地」
(4)喜入基地の取り扱い油種
性状 油種名(産油国) 軽質原油 アラビアンエクストラライト(サウジアラビア)、マーバン(アラブ首長国連邦)など 中質原油 アラビアンライト(サウジアラビア)、オマーン(オマーン)など 重質原油 アラビアンミディアム、ラビブレンド(ガボン)、クウェート(クウェート)など 南方原油 スマトランライト(インドネシア)など コンデンセート デオドライズドコンデンセート(カタール)など
(5)主な設備
①敷地
外周道路が5.5km、敷地面積1,918,000㎡(約58万1千坪)を有しています。この面積は東京ドームの約40倍です。
16万KL級原油タンク24基、10万KL級原油タンク30基、5万KL級原油タンク3基、合計57基(貯油能力735万KL)の原油タンクを擁する世界最大級の原油中継備蓄基地です。
②コントロールハウス
基地の頭脳ともいうべきところです。
最新のコンピュータやプロジェクターを駆使して原油の受入、払出、バルブの操作など集中管理、制御を行っています。
また、原油タンクのレベル、温度およびミキサーの運転状況が瞬時にディスプレイに表示され、異常に異常に対しても迅速な対応ができます。
④ローディングアーム
ローディングアームはタンカーと陸上配管を接続する重要な装置です。遠隔操作で安全かつ迅速に接続することができます。
⑤シーバース(桟橋)
大型タンカーがらくらく接岸できます。
- 15万トンドルフィン(2基) 3.3〜15万トン級タンカー着桟可能 水深18m
- 45万トンドルフィン(1基) 3.3〜45万トン級タンカー着桟可能 水深28m
- 50万トンドルフィン(1基) 4.7〜50万トン級タンカー着桟可能 水深33m
- 1万トンドルフィン(1基) 0.2〜1万トン級タンカー着桟可能 水深10m
⑥タグボート
タグボートは、大型タンカーを安全に着桟、離桟させるために曳船として活躍します。
なお、タグボートは、曳船だけでなく強力な消防艇の役割も兼ねています。
タグボート(全3艇、防災艇兼用)
- 3,200馬力、放水能力:11,000リットル/分×1艇
- 4,400馬力、放水能力:12,000リットル/分×2艇
⑦オイルフェンス
タンカーの周囲にオイルフェンスを展張し、万一の時には、海上に原油が拡散するのを防ぎます。
タンカーが着桟すると海底に沈めてあるオイルフェンスに空気を送りオイルフェンスを浮上させます。
⑧パイプライン
国内最大級の60インチ(152cm)パイプです。小柄な人ならゆうにパイプ内を立って歩けるほどの太さです。
⑨排水処理施設
ごくわずかな油も見のがさない排水処理設備です。この設備により環境保全対策は万全とされています。
- バラストタンク
- タンカー船槽のクリーニング水やタンカーが空荷時にバランスを取るために荷油タンクに張り込んだ海水(これをバラスト水という)等、油を含んだ水を入れるタンク。
- APIオイルセパレーター
- 横流式の浮上槽で、油滴を水との比重差により浮上分離させるもの。
- サンドフィルター
- オイルセパレーターの後処理として浮遊物質や油分を除去するもの。
- 活性炭吸着塔
- 活性炭により色、匂いなどを吸着除去するもの。
- ガードベースン
- 排水の海域放流前の最終滞留
⑩タンカー排出ガス処理設備
原油をタンカーに積込む時にタンカーから排出されるガス中には、“臭い”の原因となる物質やプロパンガスに近い成分が含まれています。 喜入基地では、国内初となる「タンカー排出ガス処理設備」を設置し、この“臭い”を除去するとともに、エネルギーを回収し、有効活用を図っています。
【特徴】
- 日本初となる原油タンカーからの排出ガス処理設備
- 臭気対策、VOC対策(揮発性有機化合物)、エネルギー回収の3つの機能
- 原油にガスを回収させるユニークなプロセス
【性能】
- 処理ガス能力 20,000m3/時(タンカー同時2隻対応)
- 回収エネルギー 約1万トン/年(LPG換算)
- 臭気分解率 98%以上
- VOC除去率 98%以上
(※JX日鉱日石石油基地株式会社ホームページ参照)
A