Ⅲ.『まなびの共同体』とは

「学びの共同体研究会」(http://japan.school-lc.com/)によると、『まなびの共同体』とは「21世紀型の学校のビジョンであり、哲学であり、活動システムである。」としています。

その学校ビジョンとは、「学びの共同体の学校改革は、学校を子どもたちが学び合う場所にするだけでなく、教師たちも専門家として学び育ち合う場所とし、親や市民も改革に参加し協力して学び合う学校づくりを推進する。その目的は、一人残らず子どもの学びの権利を実現し、一人残らず教師の専門家としての成長を保障し、大多数の親や市民が信頼し協力し合う学校を実現して、民主主義社会を準備する」というものです。

このビジョンのもと、学びの共同体の学校改革として「公共性の哲学、民主主義の哲学、卓越性の追求」という三つの哲学を基礎に、これらの哲学を実現する基礎を「(生徒、教師の)聴き合う関係」による対話的コミュニケーションに求めています。

教室における協同的学び、職員室における同僚性の構築、保護者や市民の学習参加の実践を追伸しており、この改革は国内の学校はもとより、アジア諸国を中心に国際的な連帯によって推進されています。

具体的には、『まなびの共同体』とは、子ども一人ひとりの学ぶ権利を保障し、子どもたちが互いに学びあい、教師たちも学びあいの専門家として成長し、ひいては学校全体の学力向上を図るという取り組みです。

『まなびの共同体』は、従来の、いわゆるスクール形式による、教師が子どもを教える(教育、指導)という、〝伝統的な授業形式〟、すなわち一斉授業ではありません。

「共同的な学び」を基軸とし、子ども自身の「活動」、子どもたち自身の「共同」を中心に授業は展開されていきます。

それは、自分から高い目標に挑戦すること、たえず自分を高めようと意欲することであり、また子どもたち同士がおたがいに「わからないところ」を訊きあったり、いろいろな考え方を理解したりすることです。

授業の基本技法は「教えてあげる」ではなく、「互いに学び合う」ことです。つまり、「判った人は、判らない人に教えて」ではなく、「判らなかったら隣の人に訊くんだよ」を大切にします。すなわち、「ねえ、ここどうするの?」が学び合う関係づくりの第一歩となっています。

「できない子、授業についていけない子どもほど孤立化する」という反省から、「どの子どもも一人にしない」というのがこの『まなびの共同体』の基本です。そのため、「一人残らず安心して学べる教室をつくる」、「どの瞬間も一人にしない」ことを常に心がけています。

小学校の低学年では「コの字型」の教室配置で聴き合う関係を育て、授業ごとに7〜8回のペア学習とします。そして、高学年になると3〜4人のグループ分けをし、子どもたちが互いに意見を交わしながら自分たちで答えを導き出すという形式となります。また、中学年以上は、これも4〜5名のグループで学び合います

一人残らず最後まで夢中になって学ぶ授業をデザインすること、これこそ『まなびの共同体』の真髄です。


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