Ⅳ.視察報告

今回の国頭村の視察では、まず国頭村教育委員会のレクチャーと意見交換の後、国頭村立「辺土名小学校」と「国頭中学校」を視察しました。

1.国頭村教育委員会との意見交換会

国頭村教育委員会のレクチャーと意見交換は、「国頭村民ふれあいセンター」2階の会議室で行われました。

小川副村長.png小川副村長国頭村からは、小川副村長。国頭村教育委員からは、園原教育長、宮城辺土名小学校教頭、渡慶次指導主事が参加されました。
まず、国頭村を代表し、小川副村長が挨拶され、歓迎の言葉を述べられました。

宮城辺土名小学校教頭.png宮城辺土名小学校教頭その後、宮城辺土名小学校教頭より国頭村の『まなびの共同体』の取り組み、現状と課題などについて話がありました。
このなかで、「全国学力調査では、平成21年度の資料にもある通り、沖縄県は全国で最下位。その沖縄県の中でも国頭村は最下位。つまり、国頭村の学力は全国で最下位でした。これを何とか打破したい、子どもたちの学力を上げたいということで、平成23年度から『まなびの共同体』を取り入れることにした。

結果は、すぐに表れて、平成24年の全国学力状況調査では、国頭村は沖縄県の平均を上回り、ほぼ全国平均まで学力は向上した。」と報告されました。

佐藤学さんを招いての公開講座.png佐藤学さんを招いての公開講座

2012年の学力調査結果.png2012年の学力調査結果

そして、「子どもたちの学力向上というけど、学力向上のための制度や教育では、結果として子どもたちは伸びないし、育たない。学力向上とは、子どもたちの生きる力を育まなければ意味がない。

『まなびの共同体』は、日本では佐藤学さんがはじめた学習方式だが、国頭村の子どもたちの学習力、学力を向上させるにはこれしかないと思い、佐藤さんに頼みこんで国頭村にも来て頂き、指導してもらった。

『まなびの共同体』は、教えるのではなく、支え合う。言い合うのではなく、聞き合う。そうした気遣いの心が育まれることで、一人ひとりの自習力が着いてくる。こうした取り組み、努力の結果、国頭村の教育の今がある。」このように熱く述べられました。

そして、宮城教頭の話で心に残る言葉がありました。それは、「自立と孤独とは違う。一人ひとりの学習力、自習力を高めるといいながら、子どもたちを孤立させては駄目。それがいままでの教育だった。『まなびの共同体』をやることで、自立とは共同であるということに気付いた。」ということでした。

園原教育長.png園原教育長続いて、園原教育長より挨拶があり、「わざわざ国頭村まで視察に来て頂いて有り難い。」と述べられた後、「国頭村の小中学校とも、『まなびの共同体』を始める前までは子どもたちの学力は低かったが、いまでは沖縄県内はもとより、全国平均のところまで学力が上がってきた。
宮城先生の熱心な取り組みがあったことは言うまでもないが、村として『まなびの共同体』に懸けたといっても過言ではなく、結果がついて来ているので嬉しく思っている。」と話されました。

国頭村教育委員会.png国頭村教育委員会今回、国頭村教育委員会の皆様にお話しを伺いましたが、みなさん一様に「『まなびの共同体』をはじめて良かった」という想いを述べられていました。
それは、園原教育長のお話にもあったように、結果として学校が変わる、子どもたちの学力向上につながる、そしてなにより、子どもたちがの生きる力が育まれてきたからだと思いました。


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