Ⅱ 視察報告

【7月31日】

1.「バガヌール石炭鉱山」フォームの始まり

7/31の視察先は「バガヌール石炭鉱山会社」でした。

(1)対応者

バガヌール石炭鉱山会社  ガンバット部長・技術部長
バガヌール石炭鉱山会社  ウランチメグ研修部長 人事部

(2)報告

①「バガヌール石炭鉱山会社」の概要
「バガヌール石炭鉱山会社」は、旧ソ連の統治時代の1978年に会社が設立され、石炭採掘を開始しました。初期投資は旧ソ連政府が資本を出し、採掘技術、設備機器、採掘機材、トラック等石炭運搬機材などを投資しました。

しかし、ソ連の崩壊に伴い、資金援助が途絶し、採炭・剥土機器の老朽化、技術者不足などにより、生産率が大幅に低下しました。

モンゴル国内では、社会生活の安定と経済の発展支援のため、品質の高い石炭の増産が求められていましたが、実際には石炭生産能力が低く、基幹エネルギーである電力・熱の安定供給に支障をきたすまでになっていました。また、国内の民間セクターは脆弱であり、かつ同国経済が不安定であったため、海外投資などを活用した民間資金による炭鉱開発は困難な状況にありました。

そこで、モンゴル国は日本に対し、日本の円借款を求めるとともに、世界銀行の融資を受け、設備投資を進めました。結果、今日のような国内最大の石炭採掘会社になっています。

具体的な日本の円借款額は、事業を二つの計画に分け、フェーズ1では58億2千万(借款契約調印1997年〜貸付終了2002年5月)、フェーズ2では42億21千万(借款契約調印1998年〜貸付終了2005年3月)となっています。

本体契約は、モンゴル国と鴻池組、伊藤忠商事が締結し、コンサルタント契約は太平洋炭鉱・日本エネルギー経済研究所となっています。

1990年の独立・民主化後は、モンゴル政府からの資金援助(現在の株式比率は国75:会社側25)を受け、独立した会社として運営されています。日本からは、トラックなどが納入されていました。

ここの石炭埋蔵量は約6億トンと測量されていますが、周辺にも未採掘の石炭層があるそうです。鉱区の広さは、12km×4kmという広大さで、巨大な掘削機も遠目にはミニチュアカーのようでした。

石炭は露天掘りで、露天掘りの規模では国内1位となります。表土の部分が削られ、現在、石炭層までの深さは120mほどもあります。巨大なすり鉢をイメージすると分かり易いかもしれません。

年間の採掘量は360万トン〜380万トンです。採掘された石炭は、全て国内で消費され、ほとんどが火力発電の燃料となります。

(一部、「バガヌール鉱山株式会社」ホームページより引用)

②ガンバット部長の説明

  • 私は、日本に行ったことがある。福岡、大阪、東京です。福岡では、苅田火力発電所に行った。また、日本には原子力発電所もあるが、国民の反対が多いように思う。
  • 日本では、多くの個所を視察した。神奈川県横浜市磯子にある「磯子火力発電所」を見たが、大規模だった。世界でも1、2位をあらそう大変素晴らしい施設だと思う。この火力発電所は煙が出ない。
  • モンゴルの鉱山は1978年から発掘されている。石炭は、ほとんどが火力発電に使われている。
  • ここの鉱山の校区は、12km×4kmの広さがある。埋蔵量は約6億トンある。露天掘りで、1年間に360万t〜380万tの採掘能力がある。
  • 1年間で20〜25mほど掘っている。現在、地表から120mの深さまで掘り進んでいる。露天掘りの規模としては、モンゴルでも1番。
  • いま、ここでは日本製の機械や車両が使われている。
  • 現在、1,100名の労働者が働いている。
  • 将来の目標は、石炭採掘能力を上げること。そして、将来は液化石炭、コークス炭などの石炭関連商品の開発と販売に取り掛かりたい。今年から、そのための工場を作っている。
  • 炭層の厚さは8〜28mもある。今掘っている周辺にも石炭層がある可能性がある。将来的には掘っていくことになる。
  • ここには火力発電所はない。石炭は、ウランバートルまで鉄路で運んでいる。
  • ここで採掘された石炭は、すべて国内で消費される。ほとんどは火力発電用である。
  • 石炭の値段が下がっている。1tで13〜15ドル。高いときは22ドルを超えていた。
  • 石炭関連商品作りのためのプラントを建設したい。日本企業との提携を考えている。

ガンバット部長(左)より説明を受ける.jpgガンバット部長(左)より説明を受ける

石炭採掘現場(露天掘り).jpg石炭採掘現場(露天掘り)

2.「ツーリスト・キャンプ場」フォームの始まり

「バガヌール石炭鉱山会社」の帰り、「ツーリスト・キャンプ場」に立ち寄り、昼食をとりました。

モンゴル国では、遊牧民の移動式住居「ゲル」をモチーフとした観光宿泊施設(ツーリストゲル)と、隣接する別棟のセンターハウス(レストラン、トイレ、シャワーなど)の施設を総称して「ツーリスト・キャンプ場」というそうです。

この「ツーリスト・キャンプ場」は、各地にあるそうです。今回、私たちが立ち寄ったのはウランバートルから2時間半のところにありました。

舗装された国道から、未舗装の砂利道を30分ほど走ると、目的の「ツーリスト・キャンプ場」がありました。

ツーリストゲル内には2〜4台のベット(宿泊客の数に合わせる)とちょっとした家財道具、椅子などがあります。中央にはストーブが置いてあります。

キャンプ場の全景.jpgキャンプ場の全景
宿泊用ゲル.jpg宿泊用ゲル

ゲルの中.jpgゲルの中

天井にはトーノと呼ばれる天窓があり、フェルトと木と馬のシッポのロープで組み立てられています。ベットにはシーツ、枕、毛布、掛け布団があり、寒くなるとストーブが焚かれるそうですが、日本人には真冬は厳しいでしょうね。   

すぐ近くには川が流れ.jpg

モンゴル料理.jpg

ここで出される料理は、いわゆるモンゴル料理で、羊の肉がメインでした。

すぐ近くには川が流れ、大草原のなか、雄大な自然中を堪能しました。


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