Ⅱ 視察報告
【7月31日】
3.「チンギスハーンテーマパーク」
「バガヌール鉱山」に向かう途中、首都ウランバートルより約50キロほど離れたと国道沿いに、「チンギスハーンテーマパーク」というのがありました。
車窓から眺めただけなのですが、銀色に輝くチンギスハーンの騎馬像は、とてつもなく巨大な像でした。
この地は、チンギスハーンが金の鞭を拾ったと言われている場所だそうです。そうしたゆえんのある地にチンギスハーンの巨大な像と博物館が建立されています。
銀色に輝くチンギスハーンの騎馬像は、地上40メートルもの大きさであり、チンギスハーン像の中では、世界最大級だそうです。しかも、ただ眺めるだけではなく、中に入って上まで登ることができるそうです。
エレベーターで馬の鞍の辺りまで登り、そこからは外に出て、たてがみの部分を階段で登ると展望台もあるそうで、モンゴルの大草原を一望することができるそうです。
なんとも大陸的発想の建造物でした。
【参考資料】
1.モンゴルの簡単な歴史
- 【1206年】
- モンゴル高原の諸部族を統一したテムジンが、チンギスハーンとしてモンゴル帝国建国
- 【1271年】
- フビライ・ハーンが国号を大元と定める
- 【1691年】
- モンゴルの殆どが清朝の支配下となる
- 【1911年】
- 辛亥革命を機に独立宣言、221年に及んだ清朝支配から脱却
- 【1919年】
- 中国運閥が再び支配権を掌握、中国の一省となる
- 【1920年】
- モンゴル人民党結成、ソビエト・ロシアに援助要請。
- 【1921年】
- ボグド・ハーンを元首とする立憲君主国・モンゴル国を建国(モンゴル革命)
- 【1924年】
- ボグド・ハーンの死と共に人民共和国となり、世界で2番目の社会主義であるモンゴル人民共和国建国(事実上のソ連統治)
- 【1939年】
- 「ハルハ河の戦い」(ノモンハン事件)
- 【1946年】
- 中国(国民党政権)がモンゴル人民共和国を国家として承認
- 【1986年】
- 第19回人民革命党大会で経済体制改革の基本万針が決定
- 【1987年】
- 経済体制改革に着手
- 【1990年】
- 社会主義の枠内で複数政党制を導入、オチルバト初代大統領選出
- 【1991年】
- コメコン解散 IFM、世銀、ADBに加盟
- 【1992年】
- 新憲法施行、正式国名をモンゴル国として、社会主義を放棄。第1回総選挙で人民革命党大勝。
- 【1993年】
- 初の大統領直接選挙が実施され、野党連合権薦のオチルバト再選。
2.モンゴル国会の歴史
1924年、政権は立憲君主国から共和制に移行、「モンゴル人民共和国」が成立。ソ連の指導の下で世界二番目の社会主義国家として歩み始めます。しかし、それまでの生活からの急激な変化は、僧侶や牧民たちの反乱を招きました。
また、1939年半ばには、モンゴル東部国境(ハルハ河)に於いて日本軍の侵入があり、ソ連軍と共にこれを防ぎました(ノモンハン事件)。
第2次大戦後は計画経済の下で工業化も促進され、牧畜ではモンゴル版コルホーズ(国営農場)である「ネグデル」として、全面 的集団化がなされました。1962年にはコメコン加盟により、一層ソ連・東欧一辺倒となっていったのです。
ソ連は軍事・教育・文化等で顧問団を派遣しモンゴルは従属状態に置かれたのです。そうした混乱期を過ぎ、モンゴルには社会主義が浸透しつつありましたが、ソ連でペレストロイカが始まると、モンゴルにおいても、1986年から開放化政策が開始され、1990年、80年にわたる近代史の中で始めて自由選挙を経験しました。さまざまな政党が公認され選挙法が制定され、7月には総選挙が行われたのです。
この総選挙後、修正憲法により、大統領制のほか思想・信教の自由などの基本的人権の保障条項が盛り込まれました。
翌1991年、人民革命党は一党独裁を放棄、複数政党制による民主政治へと移行しました。
さまざまな政党が公認され、選挙法が制定され、7月には 総選挙が行われました。修正憲法により、大統領制のほか信教の自由などの基本的人権の保障条項が盛り込まれました。同時にチンギスハーン崇拝や仏教も復 活、経済面でも市場経済が導入されて西側諸国との関係も強化されました。
1992年、国名を「モンゴル国」と改め、資本主義国家となったのですが、貧富の差の拡大、資金不足によるアジアトップレベルを誇っていた教育の混乱、ソ連経済崩壊に伴う物資の不足といった問題が新たに発生することになりました。
1996年6月の選挙では、75年間にわたってモンゴルを支配した人民革命党が初めて野党となり、民族民主党と社会民主党からなる民主連合政権が誕生しましたが、1997年5月の大統領選挙では人民革命党推薦のバガバンディが選出されました。
2000年7月、民主連合に対する腐敗批判が高まり、人民革命党が再び政権をとりました。
2004年6月の総選挙で、野党連合が躍進、人民主党は過半数割れ、2004年8月大連立政権を樹立しました。しかし、まもなく民主連合は解散し、2005年5月に行われた大統領選挙では人民革命党からの推薦を受けたエンフバヤルが当選しました。
政治的に脱社会主義を果たしたことにより、経済面でも、それまでの社会主義計画経済から市場経済へ急転換した結果、モンゴル社会には様々な混乱が発生しました。
今日では、東側諸国だけでなく、近隣の諸国はもちろん、アメリカなどの西側諸国とも友好関係を深めており、特に日本からは多方面において援助を受けています。
(「モンゴルの歴史と文化」:チンギスハーン旅行会社HPより引用)
3.「国連ハビタット」とは
今日、世界が急速に都市化していくにつれ、都市化や居住問題はますます重要性を増しています。
第1回国連人間居住会議がバンクーバーで開催された2年後の1978年、国連ハビタット(国際連合人間居住計画)は国連総会によってケニアのナイロビに設立されました。ハビタットは、都市化と居住の問題に取り組む国連機関です。
ハビタットの使命は、政策提言、能力開発、国際・地域・国家・地方といったレベルでのパートナーシップ構築をとおして、社会的、環境的に持続可能なまちや都市づくりを促進することです。
ハビタットは、各国政府、地方自治体、NGO、民間のほか、他の国連機関とともに活動を行っています。その活動方針は、2年毎に開催される人間居住委員会によって定められます。人間居住員会は、地域毎に選ばれた58の国連加盟国で構成されています。
4.「JICA」とは
JICAは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。
「すべての人々が恩恵を受けるダイナ ミックな開発」というビジョンを掲げ、多様な援助手法のうち最適な手法を使い、地域別・国別アプローチと課題別アプローチを組み合わせて、開発途上国が抱 える課題解決を支援していきます。
2008年10月1日、JICAは日本の国際協力を包括的に実施する機関として新たなスタートを切り、これを機に、新たな体制、組織、活動が示されました。
(1)JICAが担う重点課題として
①グローバル化に伴う課題への対応
グローバル化の進展は、経済発展を促し、人々に新たな機会をもたらすというプラスの側面がある一方、富の偏在化や国境を越えた気候変動、感染症、テロ、経 済危機の拡大といったマイナスの側面があります。それらは、世界の資源に依存する日本を含む国際社会の安定と繁栄を脅かし、開発途上国ではより深刻な脅威 となっています。新JICAは、グローバル化に伴って途上国が直面する多様な課題の解決に、日本の経験や技術も活用しながら、国際社会と連携して総合的に 取り組んでいます。
②公正な成長と貧困削減
開発途上国の貧困層は、経済危機や紛争、災害などの影響に脆弱で、貧困が悪化するリスクにさらされています。また、貧富の格差の拡大は、社会の不安定要因 になっています。人々が貧困から抜け出し、健康で文化的な生活を営めるようになることは途上国の発展のみならず、国際社会の安定にも不可欠です。貧困削減 のためには、貧困層に配慮した公正な成長を通じた雇用機会の拡大や教育・保健などの公共サービスの強化が必要です。新JICAは、途上国の人材育成・能力 開発、政策・制度の改善、社会・経済インフラの整備を支援し、公正な成長とそれを通じた持続的な貧困削減を図っています。
③ガバナンスの改善
国家のガバナンスとは、国の資源を効率的かつ国民の意思を反映できる形で、投入・配分・管理できるような社会のあり方を意味し、その改善は開発途上国の安 定的な発展に重要です。しかし途上国では法・司法制度や行政機構が脆弱なため、限定的な住民参加や不十分な行政サービスの提供などの問題を抱えています。 新JICAは、国家としての基本的な制度の改善と、人々のニーズに基づいて公共サービスを効果的に提供する制度の改善、それらの制 度を適切に運用するため の組織作り・人材育成を支援しています。
④人間の安全保障の実現
「人間の安全保障」が目指すのは、人々を貧困や紛争、災害などの脅威から守り、一人ひとりの人間が可能性を実現する機会と選択肢を手にし、自ら脅威に対処 できるようになること。そのためにJICAは、開発途上国の政府が持続的に人々を脅威から「保護」し、人々のニーズに的確に応える行政サービスが提供する 体制や能力を獲得できるよう支援するとともに、人々自らが問題を解決し自立して生活を改善していけるよう、地域社会や人々の「能力強化」に努めるなど、包 括的な協力を展開しています。
(2)主な業務内容
①開発途上国への技術協力
- 研修員受入
- 専門家派遣
- 機材供与
- 技術協力センター設置・運営
- 開発計画に関する基礎的調査
②有償資金協力
- 円借款
- 海外投融資
③無償資金協力
- ※外交政策の遂行上の必要から外務省が自ら実施するものを除く。
④国民等の協力活動の促進
⑤海外移住者・日系人への支援
⑥技術協力のための人材の養成及び確保
⑦調査および研究
⑧緊急援助のための機材・物資の備蓄・供与
⑨国際緊急援助隊の派遣
(3)海外のJICA拠点
①アジア
・アフガニスタン事務所 ・インド事務所 ・インドネシア事務所
・ウズベキスタン事務所 ・カンボジア事務所 ・キルギス共和国事務所
・スリランカ事務所 ・タイ事務所 ・タジキスタン支所
・中華人民共和国事務所 ・ネパール事務所 ・パキスタン事務所
・バングラデシュ事務所 ・東ティモール事務所 ・フィリピン事務所
・ブータン事務所 ・ベトナム事務所 ・マレーシア事務所
・ミャンマー事務所 ・モルディブ支所 ・モンゴル事務所
・ラオス事務所
②大洋州
③北米・中南米
④アフリカ
⑤中東
⑥欧州
A