県議会質問

1.医療勤務環境改善支援センターについて

民主党・県政クラブ県議団の原中まさしであります。
発言通告に従い、一般質問を行います。 今回は「医療勤務環境改善支援センターについて」であります。

近年、全国の医療現場では、労働環境の悪化により、医師、看護職員、療法士をはじめとする医療従事者の離職、人員不足が大きな問題となっており、地域医療を守る病院の運営に支障をきたすこと状況が起こっています。

厚生労働省による「第七次看護職員需給見通しに関する検討会報告書」の報告では、来年平成26(2015)年でも、まだ1万5000人程度の不足が見込まれるとしています。

日本看護協会が2009年に行った「病院における看護職員需給状況調査」によると、看護師の離職率は11.9%で5年ぶりに改善の兆しを見せているものの、慢性的な看護師不足に悩む病院は多いのが現状です。

各病院は離職率の改善、職場環境の向上に取り組んでいますが、人材をいかに集めるかということよりも、いかにスタッフが止めない職場にするかが最重要課題になっていることがわかります。

こうした医療現場での、医療従事者の離職、人員不足を改善するため、全国の看護職員による「看護職員の離職防止と労働条件改善を求める署名」が行われ、昨年(2012)年9月、164万筆にのぼる署名が当時の小宮山厚生労働大臣に提出されました。

このような看護職員の要望を受け、厚生労働省は各都道府県に対し、医療機関における勤務環境改善委員会の設置、就労看護職員200万人態勢に向けての人材確保、離職防止対策、潜在看護職員復帰に向けた取り組みを開始しました。

そして、本年6月20日、厚生労働省はこの間、議論・検討を続けてきました「医療法等関連法の改正案」の概要を『社会保障審議会医療部会』に提示しています。

その中身は、急速な少子高齢化の進展、人口・世帯構造や疾病構造の変化、医療技術の高度化や国民の医療ニーズの変化など、医療を取り巻く環境変化への対応として「社会保障と税の一体改革」(平成24年2月17日閣議決定)に基づく病院・病床機能の分化および強化、在宅医療の充実、チーム医療の推進等によって、患者個々の状態にふさわしい、良質かつ適切な医療を効果的・効率的に提供する体制の構築を目指すというものであります。

また、本年10月4日の厚労省「第33回社会保障審議会医療部会」では、「医療機関の勤務環境改善について」報告があり、その中で医療機関の勤務環境改善システムの構築があげられ、医療スタッフ全体の離職防止や、医療の質の向上を図るため、国における指針の策定等、各医療機関がPDCAサイクル、すなわち医療機関の勤務環境改善を図るためのシステムを活用し、計画的に勤務環境改善に向けた取り組みを行うための仕組みとして、「勤務環境改善マネージメントシステム」を創設するとしています。

そして、先ほど来申し上げておりますとおり、医療現場での人材不足のため、日常業務で疲弊する医療スタッフの離職が問題視されたことで、医師や看護師等を含む、医療関連職種の勤務環境を改善することにより、医療安全の確保及び医療の質の向上を図ることが必要とする考え方から、医療法等において新たな機関として「医療勤務者環境改善支援センター」を設置することが明記されています。

なお、この「医療勤務環境改善支援センター」は、医療機関に対する総合的な支援体制を構築するため、都道府県が地域の関係団体と連携し、設置するものとされ、医療機関の勤務環境改善の支援措置を講ずるとともに、関連規程を整備よう努めなければなりません。

この「医療勤務環境改善支援センター」は、働きやすい環境整備に向けた各医療機関の取組を総合的・専門的にアドバイス(労務管理面、診療報酬面、経営や人事など多様なニーズに対応するコンサルティング)するワンストップの専門的支援機関です。

なお、国は、この「医療勤務環境改善支援センター」の設置にあたり、県が申請をおこなうことにより、労働基準局予算の400万円に加え、医政局からは上限200万円が補助されるようになっています。ただし、この医政局からの補助については、県の予算と同額の補助となっていますので、県はしっかりと200万円を予算化することが求められます。

そこで知事に、以下、3点についてお尋ねいたします。

まず1点目に、「医療勤務環境改善支援センター」の設置趣旨に鑑みますと、本県直営での事業運営が最も望ましいと考えますが、知事のお考えをお示しください。

2点目に、国は、厚生労働省の医政局予算と労働基準局予算でこの事業を実施するようにしていますが、本県では医療関係は保健医療介護部、労働関係は福祉労働部と、それぞれ部が分かれています。
そこで、「医療勤務環境改善支援センター」の所管となる部署はどこで、保健医療介護部と福祉労働部との連携をどのように図っていかれるのか、知事のお考えをお示しください。


[再質問]
知事のお答えでは、「医療勤務環境改善支援センター」は本県直営で事業を行うとのお答えでした。そこで1点、再質問させて頂きます。
「医療勤務環境改善支援センター」の主な仕事として、各医療機関が策定した「勤務環境改善計画」を基に、働きやすい環境整備に向けた各医療機関の取り組みを総合的・専門的にアドバイス(労務管理、診療報酬面、経営や人事など多様なニーズに対応するコンサルティング)することとなっています。

この場合、公立病院等を運営する市町村等の行政機関はもとより、医師会や歯科医師会、薬剤師会、病院協会、看護協会などの医療団体、更には労働団体などとの緊密な連携が必要になってくると思います。

そこで、「医療勤務環境改善支援センター」の運営を通じた本県とこれら団体との連携をどのように図られようとされるのか、知事のお考えをお示しください。