県議会質問
民主党・県政クラブ県議団の原中まさしです。発言通告に従い、「福岡県歯科口腔保健推進計画および本県の医療費抑制について」質問致します。
口腔の健康は全身の健康の基礎であり、近年、とくに歯周病が生活習慣病等の発症に深く関与していることが指摘されています。
また、メタボリックシンドロームや成人病については、歯周病と糖尿病、咀嚼と肥満など、歯科口腔保健と全身の関係が着目され、メタボリックシンドロームならびに成人病対策に歯科口腔保健がきわめて重要であり、その対策に有効であることも指摘されています。
このようなことから、歯科口腔の健康は、県民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ極めて重要な役割を担っており、そのため、日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であるとして、本県では、この間、「福岡県8020運動」の推進、「福岡県歯科保健医療計画」の策定など、歯科口腔の健康対策に取り組んできました。
そして、平成 23 年 8 月10日、国の『歯科口腔保健の推進に関する法律』が施行されたことに伴い、本県においても歯科疾患の予防等による歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進するとして、昨年3月29日、『福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例』が制定されたところであります。
そこで、本条例の第一条にある「県として歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進し、もって県民保健の向上に寄与する」との目的に照らし、第7条に規定された『福岡県歯科口腔保健推進計画』が本年4月、新たに策定されました。
そこで、こうした本県における歯科口腔保健の取り組みを踏まえ、3項目について小川知事に質問致します。
1.ライフステージに合わせた歯科口腔保健の取り組みについて
まず最初に、ライフステージに合わせた歯科口腔保健の取り組みについてお尋ねします。
『福岡県歯科口腔保健推進計画』では、それぞれの年代、いわゆるライフステージに合わせた歯科保健施策を展開するとしています。
これらの施策を年齢別、いわゆるライフステージで分けると、乳幼児期、学齢期、青年期、成人期、高齢期という分類になります。
高齢期における8020を達成し、健康長寿を成し遂げるためにも、乳幼児期からの歯科口腔の健康づくりが必要であります。
そのため、乳幼児期から高齢期まで、それぞれの時期の特性に応じ、また、保健・医療・社会福祉・教育等様々な分野の関係機関と協力し、総合的かつ効果的に歯科口腔保健に関する施策の推進が必要となります。
具体的にその取り組みを見た場合、大きくは、市町村が取り組むべき事業、会社などの事業者が取り組むべき事業、県及び歯科医師会が取り組むべき事業と別れています。
このうち、市町村事業については「母子保健法」、「児童福祉法」、「学校保健安全法」、「健康増進法」、「介護保険法」、「高齢者医療確保法」に基づく事業となっています。そして、会社等の事業所については「労働安全衛生法」に基づく事業となっています。
ところが、これら法律に基づく健康診査ですが、医科については18項目に上るのに対し、歯科に関する健康診査については、必須はわずか5項目しかありません。
とりわけ、青年期、成人期における歯科口腔保健の健診や対策が薄くなっており、いわゆる「人生の真ん中に長いブランクがある」と指摘されています。
最近では若年層における歯周病の罹患率が高くなっており、20歳以降の青年期において、早期からの各節目年齢における歯周疾患検診の充実が求められています。
具体的には、高校卒業以降は法的な枠組みの中での歯科健診が未整備であるため、就職前後の人たちの口腔の健康の保持、増進に対する支援、対人関係においてより円滑なコミュニケーションの構築や口腔の健康管理意識の向上を図ることを目的として、就職前、新たに社会人となる方のための歯科健診が必要です。
就業者に対して「労働安全衛生法」に基づく健康診断が定められてから、20年が経過していますが、歯科健診は法的裏付けがなく、事業主の自主性に任されているのが現状です。
また、現在、40歳以上75歳未満の成人期に対する「特定健診・保健指導」の実施が義務化されていますが、糖尿病と歯周病との関連が指摘されているものの、歯周疾患検診を行っている自治体は県内では15自治体にとどまっています。
①そこで最初に、歯科健診の充実についてです。
「口腔の健康は全身の健康の基礎」ということに基づけば、各法律に基づく健康診査にもっと歯科口腔を含めるべきだと考えますが、普及しない大きな理由として、医科の各種健診と異なり法的な基盤が整理されていないことが挙げられます。
そこで、各法律に基づく健康診査において、歯科健診項目がかように少ない現状について、知事のご認識をお聞きかせ下さい。
知事答弁 骨子
問 成人期の歯科検診について
- 現在、母子保健法や学校保健安全法に基づき、就学期まで歯科検診を実施しているが、労働安全衛生法では歯科検診が義務付けられていないため、青年期から成人期にかけては歯科検診を受ける機会が少ない状況にある。
- このような中、平成23年8月「歯科口腔保健の推進に関する法律」が施行された。この法律では、乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期において、適切かつ効果的に歯科口腔保健を推進することとし、その施策の策定及び実施については、国、地方公共団体の責務として規定されている。
- これを受け、本県では、県民の歯科口腔保健を推進するため、昨年3月に「福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例」を制定し、この条例を実効あるものとするため、本年3月に「福岡県歯科口腔保健推進計画」を策定した。
- 今後、条例及び計画に基づき、県民の皆様に歯科検診を受診するよう勧奨するとともに、各世代に応じた歯科検診や歯科保健指導が受けられるよう、市町村・事業者へ働きかけてまいる。
② 次に、事業所における歯科健診の推進についてです。
乳幼児期においては市町村が、学齢期においては学校での歯科健診で、そして高齢期においては介護保険法に基づいて高齢者の歯科保健を診るような体制となっています。
こうした体制をみたとき、多くの方が学校健診以後、定期的な歯科健診を受ける機会がありません。歯科健診の空白期間といわれる就職前、青年期、成人期における歯科口腔健診を高めるため、福岡県として、事業所における歯科健診を高めるために、どのような取り組みをされているのかお聞かせください。
知事答弁 骨子
問 事業所における歯科検診の実施率を高めるための取組について
- 歯周病は、細菌の感染による慢性の炎症であり、糖尿病や心疾患などの生活習慣病との関連性が明らかになる中、事業所での歯科検診を進めることは、健康づくりのために大変有意義であると考えている。
- このため、県では、今年度から、保健福祉環境事務所において、管内の事業者を対象に、歯周疾患予防や歯科検診の必要性についての講習会を開催している。また、歯科検診および歯科保健指導を実施するモデル事業所を選定しており、その効果について他の事業者に広めていくこととしている。
③ 三点目に、
県内の各自治体に対し、「特定検診・保健指導」を効果的に行うためにも歯周疾患健診を導入するよう働きかけるべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせ下さい。
知事答弁 骨子
問 市町村における歯周疾患検診の実施について
- 健康増進法では、歯周病の予防による歯の喪失防止を目的に、市町村が歯周疾患検診の実施に努めるものとされでいる。
- 本県において実施している市町村は、平成25年度で15の市町となっている。このため、県としましては、市町村に対して、歯周疾患検診の意義について、市町村健康づくり担当者会議等を通して周知を図るとともに、導入について働きかけてまいる。
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