レポート

2021-06-10

魅力満載、見どころ満載 「原中的中央区の歩き方」

[その2]:「博多(はかた)」と「福岡(ふくおか)」

福岡市の陸の玄関口は「博多駅」ですが、空の玄関口は「福岡空港」です。県外から来られた方や、海外からの観光客の方々からも、よく「博多」と「福岡」の違いについて尋ねられます。〝はかた〟と〝ふくおか〟の違い、実は、そこには大変面白い歴史があります。

「博多(はかた)」という地名は、すでに奈良時代の八世紀には登場します。これに対し、「福岡(ふくおか)」は、1600年の関ケ原合戦の功により筑前国主となった黒田如水(孝高)とその子長政が、福崎(現在の赤坂付近)の地に新しく城と城下町をつくり「福岡」と改めたことによります。

関ヶ原合戦の戦いで功を成した如水親子は、豊前中津藩(12万石)から筑前へと入城し、52万石の石高を与えられました。

当初は、名島城(福岡市東区名島)へ入城したのですが、城地が余りに海辺に片寄りすぎているため、幕府の許可を得て、博多湾に望む博多の近隣地である福崎(現、福岡市中央区)の台地に場所を定め、新城の建築に取り掛かりました。そして、1601(慶長6)年から6年の歳月をかけ、福岡城が完成しました。このとき、地名も黒田氏の出身地である備前福岡にちなみ、「福岡(ふくおか)」と改めたのです。

ちなみに、福岡城には天守閣はありません。天守閣が築かれなかった理由としては、「幕府への遠慮」、「天守の必要な時代ではないという如水の考え」などが言われていますが、今日、江戸城築城のために福岡城の本丸の建材を幕府に貢いだことが本当の理由とされています。いずれにせよ、いまも天守閣はありません。

福岡城の築城以後、那珂川を挟んで、西の城下町は「福岡(ふくおか)」、東の商人の町は「博多(はかた)」となりました。

余談ですが、福岡市が誕生した翌年の1890年、当時の福岡市議会で市名を「博多市」に変更する建議が出されましたが、議長裁定の一票差で「博多市」は否決され、引き続き「福岡市」となったのは有名なエピソードです。(※2)

※2 福岡市教育委員会文化財部文化財整備課「福岡の歴史」より
http://bunkazai.city.fukuoka.lg.jp/history/

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