県議会質問

2013年3月19日 第5款:生活労働費

「自転車販売規制条例の制定について」

私は昨年の「2月県議会」において、「都心部における自転車交通問題について」一般質問致した。

その時の質問内容を少し振り返ると、

  1. 「財団法人 自転車産業振興協会」調査によると、平成23年の1年間に国内で製造、輸入された自転車の台数は1,055万2,500台に上り、対前年比約150万台の伸びとなっている。
  2. 福岡県内の自転車保有台数は約190万台で、全国9位に位置しており、県民2.7人に1台の割合の保有台数となっており、自転車の利用が最も多い年代である中学生から50代後半までの世代で言いますと、ほぼ、一人一台の割合となっている。
  3. 県内全体で自転車が関連する交通事故件数は7千件台で推移しており、44%が福岡市内で発生している。
  • 特に、博多区と中央区での発生が多く、なかでも「自転車と歩行者の交通事故」の区別発生状況でみると、福岡市中央区が突出しており、全体の42%を占めている。

こうした状況を踏まえ、私は今年度、平成24年度の予算に自転車の交通安全の取り組みについて政策提言をした。その結果、関係部署において各種予算立てをして頂き、事業の実施を見ているところである。

Q1:1問目の質問

今年度、本県における自転車事故の現状はどうなっているのか。

A1:生活安全課長
「本県における自転車事故の現状については、平成24年度の事故件数は7,088件、死者数18人、傷者数7,079人、対歩行者事故98件となっている。

10年前と比較すると、事故件数、死者数、傷者数のいずれも減少している。しかし、対歩行者事故については、増減を繰り返しながら、近年は100件前後で推移している。

事故の発生場所においては、福岡市、北九州市の両政令市で発生したものが自転車事故全体の60%を占めている。

また、年齢層別では10代の事故が最も多く、全体の28%を占めている。」

Q2:2問目の質問

それでは、この自転車事故件数の発生状況について、どのような所見をお持ちかお聞かせいただきたい。

A2:生活安全課長
「自転車の事故件数は、この10年間、減少傾向にある。このことは、自転車通行ルールに関する広報啓発、指導取締りの強化、児童生徒に対する交通安全教育、自転車歩行者の整備など、関係機関との取り組みの成果が表れていると考えている。

しかしながら、本県の平成24年の自転車事故件数は、交通事故全体の約16%を占めている。また、対歩行者事故も年により増減はあるものの、年間100件近く発生しており、取り組みが必要であると考えている。」

Q3:3問目の質問

この資料の中にもありますように、自転車と歩行者の事故発生は増加傾向にあるが、自転車が加害者となる事故での損害賠償保険金額もたいへん高額になっていると聞いている。この件について特徴的な事例があれば示していただきたい。

A3:生活安全課長
「示談や和解による損害賠償の事例については、統計資料がなく把握できない。裁判による損害賠償支払い命令の事例を紹介する。

無灯火で走行中の自転車が、歩行者と衝突し、被害者に歩行困難となる後遺障害を負わせた事故では、損害賠償額が約5,000万円(平成17年11月横浜地裁)。死亡させた事故では、損害賠償額が約3,000万円となっている(平成19年7月大阪地裁)。

また、信号無視の自転車が横断歩道を歩行中の歩行者と衝突し、死亡させた事故では、損害賠償額が約5,400万円となっている(平成19年4月東京地裁)」

Q4:4問目の質問

こうした自転車事故の事例、そして、損害賠償金額の増加などを踏まえ、県として来年度の自転車交通安全について、どのように取り組むのか。

A4:生活安全課長
「第9次福岡県交通安全計画に基づき、毎年度「交通安全実施計画」を策定し、関係各課が交通安全対策に取り組んでいる。

本年度は、自転車対策を強化するため、交通安全実施計画の中に、自転車対策の項を新たに設け、関係各課の取り組みを集約した。

来年度については、生活安全課が事務局となり、関係各課と対策会議を開催し、交通安全実施計画に基づき、取り組む。

具体的には、四季の交通安全県民運動の重要項目として、「時短者の安全利用」を掲げ、広報啓発を実施する。

また、10代の事故が最も多いことから、高校生向けのリーフレットを作成し、県内すべての高校1年生に配布する。

更に、小中高等学校の教員、市町村担当者、地域の交通指導員を対象に自転車安全教育指導者講習会を実施する。」

Q5:5問目の質問

今日、健康面、エコ志向、節約志向、スポーツ自転車のファッション性の高まりなどから、自転車利用者は急増しており、自転車ブームともいえる。

しかし、自転車利用者の交通マナー、交通法規などのルール順守は決して高いとは言えない。街中でも、いまだにピストバイク利用者を見かけるし、無灯火は恒常化している現状にある。

そして、先ほどより指摘している自転車対歩行者の事故での損害賠償金額の高騰などを考えると、この際、自転車を売るときに、ブレーキ、ライト、保険の3点を必ずセットして販売しなければならないという「自転車販売規制条例」を制定すべきだと考える。

このことについて、執行部の考えを聞きたい。

A5:生活安全課長
「本県の自転車事故の60%は両政令市で発生している。

北九州市は、昨年11月「自転車利用環境計画」を策定し、福岡市は「自転車の安全利用に関する条例」を本年4月1日から施行する。これらの取り組みは、自転車保険の加入促進や、ライト、ブレーキの点検整備が盛り込まれている。

昨年11月に、国土交通省及び警察庁が「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を策定した。県としても、今後、県警察、教育庁と連携して、自転車保険の加入促進やライト、ブレーキの点検整備について、自転車販売店の組合等に必要な働きかけを行う。

条例制定の必要性については、こうした取り組みの成果を検証する必要があると考える。」

Q6:6問目の質問

条例制定の必要性は認識されているということだと思う。

私は、前回、今回の質問をするにあたり、販売店店長会議、販売店組合、販売大手の事業所を訪問し、様々ご意見をお聞きした。いずれも「自転車販売条例」には賛同して頂いておる。

そこで、県としても、こうした「自転車販売協会」や販売店組合、販売店などから意見を聴取すべきだと考えるが、この点についてどう考えるか。

A6:生活安全課長
「来年度(平成25年度)の取り組みとして、自転車保険の加入促進等について、自転車販売店の組合等に必要な働きかけを行う。その際、条例に関する意見を聞く。」

Q7:7問目の質問

今日の自転車ブームを反映し、自転車販売店の数もウナギ登りである。自転車販売店を始めるにあたっては、特別な免許や資格は必要なく、いわば誰でも始められる。そのため、自転車安全整備士の資格を持たずに販売している販売店もある。

こうした自転車安全整備士のいない販売店では、自転車保険いわゆる「TSマーク」付帯保険に加入することはできない。

また、スポーツタイプ、マウンテンバイク、折りたたみ式の自転車については、ライト着用がオプションになっているものもあることから、販売の段階で付けないことも多く、そのまま無灯火で乗っているという状況にある。

このように、自転車安全整備士の資格を持たない販売店では「TSマーク」を付帯できない。販売店によってはブレーキ、ライトを付けずに販売している。最悪なのは、いまでもピストバイクを売っている販売店があるという事実である。

こうしたことから、ブレーキ、ライト、保険の3点を必ずセットして販売しなければならないという「自転車販売規制条例」を導入する必要があると政策提言しているわけである。

そこで、こうした問題も含め、本県の自転車交通安全対策に対する部長の決意を聞かせ頂きたい。

A7:新社会推進部長
「自転車交通安全対策の推進のためには、自転車事故の実態を踏まえ、県警察、教育庁などの関係機関としっかりと連携し、取り組んでいく。

今後とも、自転車軽自動車商協同組合や商工会議所連合会等で組織する「交通事故をなくす福岡県県民運動本部」の関係機関と連携して、自転車利用者の交通マナー向上のための広報啓発、自転車販売店への働きかけなどの対策に積極的に取り組む。」