県議会質問

公契約条例の制定について

① そこで知事に一問目の質問です。
県として、今般、こうした社会情勢に鑑み、最低制限価格を更に引き上げる考えはないのか、お聞きします。

続けます。こうした過度な低価格受注により公共工事の品質確保に懸念が生じているということなどから、平成17年4月から「公共工事の品質確保の促進に関する法律」、いわゆる「品確法」が施行されました。

本県でも、この「品確法」に基づき、平成19年10月1日から5,000万円以上の工事を対象に「総合評価方式一般競争入札」を導入しています。

この「総合評価方式」は、価格と技術力を評価し、総合的に優れた業者を落札業者とする制度であり、適正価格、品質確保ならびに業者の技術性のアップをはかるものとされています。

しかしながら、「総合評価方式」の制度上の問題点も指摘せざるをえません。

本県の「総合評価方式」は「最低制限価格」を公表しています。最低制限の表記は、談合防止、ダンピング防止、贈収賄防止との理由からとされていますが、結果的に、業者が示す入札金額が「最低制限価格」に張り付いてしまっており、はじめに「最低制限価格」ありきという現実になっています。

事実、今年度の「総合評価方式一般入札」では、「最低制限価格」ではない価格で落札したのは1割程度で、9割は「最低制限価格」での落札となっています。

② そこで知事に2点目の質問です。
県が総合評価方式を行った理由として、価格と技術力を評価するとなっていますが、実際は、入札を希望する業者は「最低制限価格」で応札し、それが常態化して、最低価格でなければ落札できないという実態となっています。こうした現実について知事はどのようにご認識されているか、お聞きします。

続けます。
本来、入札は、予定価格と最低制限価格の範囲内で、適正価格に加え、技術評価点が高い業者が落札するというのが制度の趣旨、本来の姿だと思うのですが、実際は、落札希望金額が最低制限価格に張り付いているというのが現実であります。発注側の県は最低制限価格であっても利幅はあると説明されますが、「安かろうが、よかろう」いう発想になってはいけないと思います。

また、いうように、「総合評価方式」は価格に加え、技術評価点の点数で落札業者が決まっていますが、この評価をきめる項目には当該業務に従事する労働者等の労働環境の整備、公共工事及び公共サービスの質の向上、地域経済及び地域社会の活性化に寄与ことへの評価などはなく、制度の限界性を指摘せざるをえません。

現在も公的な契約を規制している法・条例は存在し、「地方自治法・規則」や「契約に関する条例」に反映されています。しかしながら、法等の範囲が契約の当事者中心で、公共事業に関わる労働者についての条例等の規定はほとんどありません。

公共事業の発注者は、設計段階では、労務単価が算定されているにも関わらず、それが賃金・労働条件、福利厚生の費用等へ反映されておらず、入札の低価格化のあおりを受けて、人件費が削られているという実態があります。

公共工事や委託事業に関わる労働者は、先ほども述べたとおり全国で約500万人にのぼります。国と自治体が率先して、これらの労働者に「働くルール」を確立すれば、日本の労働者全体の改善に大きな波及効果を与えます。公共事業を住民生活密着型に転換し、地域の中小業者に優先して仕事が回る仕組みをつくれば、地域経済の再生、自治体の税収増にもつながります。

「総合評価方式」の趣旨である適正価格で良好な品質の工事を行うための条件整備に加え、制度のいいところを伸ばし、さらに労働者保護、福利厚生などを加味してよりよい制度にする、それが「公契約条例」の主旨であります。

現在、「公契約条例」を制定しているのは全国で7自治体あり、早期制定を求める意見書は全国市長会をはじめとして、自治体議会においても880議会で採択 (2012.6.15現在)されており、福岡県内では、福岡市、大牟田市、行橋市でも採択されています。

「公契約条例」制定自治体の先駆けとなっているのが千葉県野田市、神奈川県川崎市です。

時間の関係上、詳しく内容を述べることは避けますが、この2つの「公契約条例」は、従来から追求されてきた政策目的型入札改革とは一線を画し、ILO94号条約と同様に、雇用・労働条件の確保を目指したものであります。

例えば地方公共団体の公共工事の発注において、その工事を受注した事業者は、この工事に従事する自社従業員に、条例で定める最低賃金額以上の賃金を支払う義務を負うほか、下請け・孫請け企業もその工事に従事する従業員に対して条例で定める最低賃金額以上の賃金を支払う義務を負うこととなります。

これは、ダンピングによる労務単価の下落が下請けに与える影響や公共工事での一般競争入札の安値受注といったことを防止する意味合いも込められています。

すなわち、「公契約条例」は労働者保護のための制度であることに加え、自治体が発注する仕事は地元企業を優先する地元経営者の活用促進、建設業における元請・下請関係の適正化、下請け・孫請け業者の地域限定、並びに技能労働者の育成強化、建設労働安全対策の充実といったルールが込められており、「住民よし、企業よし、行政よし」という「三方良しの公共事業改革」であります。

現在、国会では公共工事新契約法の立法化にむけた議論が始まっています。
そして、本年3月4日には、国土交通省・財務省・総務省の3省は、公共工事の入札契約適正化に向けた方策を探るため、実務者ワーキングチームを立ち上げることを表明しました。

これは、労務単価や入札契約方式のあり方などの課題に対して、運用改善で対応できる事項と法改正が必要になる事項とを整理し、対応策を構築していくというものです。

ワーキングチームは必要に応じ、建設業団体や都道府県に対するヒアリングも行い方策を探る考えを示しています。

今回、国交省が示した公共工事の入札契約における課題は、①適正な予定価格のあり方、②入札・契約方式のあり方、③発注者側の体制のあり方の、3分野計15項目に上っており、中でも、労務単価のあり方、低入札調査基準価格・最低制限価格の水準確保は3省とも課題意識を高く持っています。

また、「入札契約適正化指針」は、自治体に対する国の指導力に強制力がなく、建設業界からは入札契約改善が自治体まで浸透しない問題として指摘されています。その点でも実務者ワーキングチームの示す方策に注目が集まっています。

③ そこで、知事に3点目の質問です。
このように、国においても労務単価のあり方、低入札調査基準価格・最低制限価格の水準確保について、見直しを進める動きが出ています。こうした国の動向に対し、知事の認識をお聞きします。

以上、3点について質問致します。知事の真摯なご答弁をお願いいたします。