Ⅱ.視察報告
4.2月4日:鹿児島県議会(鹿児島鹿児島市)
二日目の最初の視察先は、鹿児島県議会でした。
(1) 鹿児島県議会
当日、以下の方々から説明を受けました。
①「鹿児島県の原子力防災対策について」
鹿児島県危機管理局原子力安全対策課
課長 四反田 昭二
②「鹿児島県の再生可能エネルギーの導入状況等について」
鹿児島県企画部エネルギー政策課
課長 塩田
③「鹿児島県の六次産業化の取り組みについて」
鹿児島県農政部農政課
技術主幹 光村 徹
(2) 「鹿児島県の原子力防災対策について」
今回、鹿児島県危機管理局原子力安全対策課より「鹿児島県の原子力防災対策」についてレクチャーを受けました。
内容については、「県地域防災計画原子力災害対策編修正」(2013年3月)に沿った説明でした。なお、詳細は以下のとおり、鹿児島県のホームページにアップされています。
http://www.pref.kagoshima.jp/aj01/bosai/sonae/keikaku/h24/h24gaiyou.html
①鹿児島県の地理的特性
鹿児島県は、東西約272km、南北約590kmに及ぶ広大な県域と、約2,643kmに及ぶ長い海岸線並びに28の有人離島を有しており、川内原子力発電所や5カ所の石油コンビナートが立地するとともに、鹿児島市に人口が集中する一方、中山間地域が多いという特性を有しています。
このような県の地理的、社会的特性により、離島からの避難の困難性ともあわせ、有事の際に的確かつ迅速な対応がより強く求められる地域とされています。
②離島における住民の避難のポイント
鹿児島県は、事態の特質や各離島の特性に応じた避難を的確かつ迅速に実施するため、平素から全島民の避難に必要な輸送力等を把握。また、各離島ごとの避難の基本パターンを明示しています。
③原子力発電所における対処のポイント
鹿児島県は、薩摩川内市に2基の原子力発電所が立地しており、「県地域防災計画」(原子力災害対策編)、「生活関連等施設に関する措置及び危険物質等の取扱所に関する措置」を踏まえ、武力攻撃等による原子力災害への備えから、応急対策等を的確かつ迅速に実施しています。また、国を通じて原子力事業者に対して原子炉の運転停止等適切な措置を講ずることを要請しています。
④鹿児島県の原子力防災対策
鹿児島県のこれまでの取り組みとして、
- 2011(平成23)年10月 「原子力災害隊区暫定計画」の策定
- 2012(平成24)年3月 「地域防災計画原子力災害対策編の修正」
- 2013(平成25)年3月 福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた「原子力災害対策指針」等、国の防災対策の見直しや、これまでの県の取り組みを踏まえて修正
⑤石油コンビナート等における対処のポイント
鹿児島県は、「県石油コンビナート等防災計画」、「生活関連等施設に関する措置及び危険物質等の取扱所に関する措置」を踏まえ、石油コンビナート等に係る災害への備えを的確かつ迅速に実施しています。
(3) 「鹿児島県の再生可能エネルギーの導入状況等について」
①鹿児島県では、地球温暖化対策は急務であることなどから、2010(平成22)年度に改定した「鹿児島県新エネルギー導入ビジョン」に基づき、鹿児島県の地域特性を生かした新エネルギーの一層の導入促進を図ることとしています。
②2020(平成32)年度における鹿児島県の新エネルギー導入目標は以下のとおり。
区分 導入実績 導入目標 国の目標 2005年度比 2005年度 (平成17年度) 2009年度 (平成21年度) 2020年度 (平成32年度) 2005 年度比 2009 年度比 太陽光発電 31,100kW 62,093kW 592,000kW 19.0倍 9.5倍 20倍 太陽熱利用 40,675kL 41,662kL 122,000kL 3.0倍 2.9倍 3倍 風力発電 85,505kW 154,415kW 229,000kW 2.7倍 1.5倍 5倍 バイオマス発電・熱利用 黒液 45,900kW 45,900kW - - - - その他 11,281kL 14,609kL 23,700kL 2.1倍 1.6倍 2倍 バイオマス燃料製造 101kL 189kL 3,000kL 29.7倍 15.9倍 - 中小規模水力発電 1,186kW 1,586kW 3,000kW 2.5倍 1.9倍 15倍 温度差熱利用 - - 導入実績を 数例作る - - - 地熱発電(バイナリー方式) - - - - -
③鹿児島県の再生可能エネルギー導入実績
再生可能エネルギー導入においては、鹿児島県は日照時間が長く、風況のよい場所が多いことから、太陽光発電や風力発電設備の設置件数等が多い。
区分 対象 件数・発電容量 全国順位 調査年月 太陽光発電 千世帯あたりの設置件数 24件 12位 H23.3現在 風力発電 発電容量 154千kW 3位 H22.3現在
(住宅用太陽光発電システム補助の予算額)
予算区分 平成21年度 平成22年度 平成23年度 国 421億円 546億円 349億円 県 302百万円 500百万円 (153百万円)
※( )書きは、太陽光発電設備などの省エネ設備の複合的導入を行う民間事業者や、住宅用太陽光発電システムを設置する県民に対する補助の予算額
④県有施設等での導入実績
グリーンニューディール基金を活用し,鹿児島県庁舎エコ化事業(2010〜2011年度事業費2億5300万円)で、太陽光発電システム(60k W)の整備、LED化、省エネ器具化等、鹿児島県省エネルギー化推進事業(2009年度事業費5,600万円)で、環境共生型モデル住宅の整備などに取り組んでいます。
また、民間施設等での太陽光発電、LED照明等の導入に対して補助を行、民間事業者の省エネ設備導入を促進するとともに、市町村においても省エネ化、再生可能エネルギー導入促進事業が進められています。
(4)「鹿児島県の六次産業化の取り組みについて」
6次産業化とは、農業者などが、加工や販売に取り組むことで、新たな付加価値を取り込んでいく取組のことです。
国が2010(平成22)年に制定した「六次産業化法」の前文においては、「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等を図るため、単独又は共同の事業として農林水産物等の生産及びその加工又は販売を一体的に行う事業活動であって、農林水産物等の価値を高め、又はその新たな価値を生み出すことを目指したもの」と定義されています。
①鹿児島県の6次産業化支援策
鹿児島県は6次産業化への取組を支援するための各種施策を実施しています。
- 「鹿児島6次産業化サポートセンター」の設置
- 「6次産業化推進員」の設置
- 「農産物加工推進員」の設置
- 6次産業化に関する研修会の開催
②鹿児島6次産業化サポートセンター
鹿児島県では、農林漁業者等の6次産業化を推進するため、「鹿児島6次産業化サポートセンター」を設置しています。
サポートセンターでは、6次産業化に取り組む農林漁業者を支援するため、以下の業務を実施しています。
- 6次産業化に関する支援制度への対応。
- 6次産業化に取り組む農林漁業者等の計画づくりや、計画の実現を支援する専門家である「プランナー」の派遣による個別支援。
- 6次産業化に関する各種研修会の開催。
※なお、相談やプランナー派遣は全て無料です。
③「6次産業化推進員」の業務
鹿児島県では、6次産業化に取り組む農業者等の掘り起こしや、6次産業化に関する制度などを周知するため、「6次産業化推進員」を設置して、以下の業務を実施しています。
- 農業者からの6次産業化や農商工等連携に関する制度・支援策に関する問い合わせ等への対応。
- 農業者からの農産物等の加工・販売に関する問い合わせ等への対応。
- 農業者からの6次産業化や農商工等連携にむすびつくシーズ情報の収集。
- 新たな6次産業化の掘り起こし。
④農産物加工推進員の業務
- オープンラボラトリーにおける農産物の加工技術や新商品の開発等の支援。
- 農産物の加工に関する情報の収集・発信。
- 6次産業化研修の企画立案。
- その他農産物加工の支援に関すること。
⑤鹿児島県の考える農商工連携
地域の特色ある農林水産物、美しい景観など、長い歴史の中で培ってきた貴重な資源を有効に活用するため、農林漁業者と商工業者がお互いの「技術」や「ノウハウ」を持ち寄り、新しい商品やサービスの開発・提供、販路の拡大などに取り組むとされています。
⑥鹿児島県の農商工等連携の支援策
鹿児島県は農林漁業者と食品事業者等の連携を促進するため、以下の施策を実施しています。
- 実需情報提供システムの運営。
- 商談会等によるマッチング支援。
- 中小企業等に対する支。
⑦実需情報提供システム
鹿児島県が、県内外の実需者(飲食店、加工業者、百貨店、量販店等から得た実需情報(農産物等の求めなど)を、県内の生産者に提供しています。
【図】情報提供の流れ
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