「ラオス人民民主共和国」視察報告 その2
Ⅲ.政治体制・内政
1.政体
人民民主共和制
2.元首
チュンマリー・サイニャソーン国家主席(ラオス人民革命党書記長)
3.議会
国民議会
- (1)議長名 パーニー・ヤートートゥ(党政治局員)
- (2)一院制 (132名)
4.政府
- (1)首相名 トンシン・タンマヴォン(党政治局員)
- (2)外相名 トンルン・シースリット(党政治局員,副首相兼任)
5.内政
- (1)「人民革命党」を指導党とするラオス政権は1975年の成立以来一貫してカイソーン党議長を中心とする指導体制が維持されたが、1992年11月カイソーン党議長の死去に伴い、「カムタイ党」議長(1998年国家主席に就任)、ヌーハック前国家主席等を中心とする指導体制。
- 新指導部は、引き続き第4回党大会(1986年)の決議に沿った経済面を主とする諸改革の方針を踏襲。
- (2)2006年3月の第8回党大会において、党による指導的役割を再確認するとともに、1986年以来の「改革路線」の維持を決議。チュンマリー党書記長が就任。同6月には国家主席、首相及び主要閣僚が交代。
- (3)2010年12月第6期第10回国民議会にて、2006年6月から在任していたブアソーン首相の辞任とトンシン国民議会議長の首相就任が承認され,パーニー国民議会副議長が新議長に選出。
- (4)2011年3月の第9回党大会においても「改革路線」の維持が確認された他、2015年まで年8%以上の経済成長と1人当たりGDP1,700ドルMDGsの達成と、これら目標達成のための4つの躍進を採択。チュンマリー書記長が再任。
- (5)2011年4月に第7期国民議会総選挙が行われ、5月9日に結果発表。6月15日に初回会議が開かれ、チュンマリー党書記長が国家主席に再任された他、トンシン首相、トンルン副首相兼外相、パーニー国民議会議長が再任される。
Ⅳ.外交・国防
1.外交基本方針
平和5原則に基づく全方位外交(ベトナムとは「特別な関係」)
近隣諸国との友好関係の維持拡大(1997年7月、ASEAN加盟)
2.軍事力
(1)徴兵制であったが、現在は解除されている。
(2)現役総兵力:2.9万人
(3)国防予算:1,460万ドル(ミリタリーバランス2009年版)
- 国防の中心はラオス人民軍が担う。他には民兵組織がある。2006年の国防予算は1,330万ドル。陸軍25,600人、空軍3,500人から成る。車輌・航空機等の装備は旧ソ連製のものを多く保有している。歴史的にベトナム人民軍と関係が深いが、近年は中国人民解放軍との交流が活発化してきている。
Ⅴ.経済
1.産業
サービス業(GDPの約39%)、農業(約28%)、工業(約26%)。但し労働人口の約7割が農業に従事。(2010年、ラオス統計局)
2.GDP(名目)
約78.91億ドル(63兆4,459億キープ)(2011年推定値,IMF)
3.一人当たりGDP
1,203ドル(2011年推定値、IMF)
4.GDP成長率
8.2%(2011年推定値,IMF)
5.貿易
(1)輸出 19.77億ドル(2011年ラオス工業商業省)
(2)輸入 23.25億ドル(2011年ラオス工業商業省)
6.主要貿易品目
(1)輸出 鉱物,電力,縫製品,農産・林産物
(2)輸入 車両部品,電化製品,建設資材
7.主要な貿易相手国
タイ、中国、ベトナム、韓国、豪州他
8.通貨
キープ(Kip) 10,000キープは、約100円
9.為替レート
1ドル=8,001キープ(2012年1月,ラオス統計局)
10.経済概況
(1)1975年以来の計画経済が行き詰まり、1986年に「新経済メカニズム」とよばれる経済改革に着手。銀行制度、税制、外国投資法の制定、国営企業の民営化等幅広い分野での措置を通じ、市場経済の導入、開放経済政策を推進中。
(2)アジア経済危機の際、国内マクロ経済運営のまずさから、高率のインフレ及び為替レートの下落に直面。現在は緩やかな回復基調。
(3)第8回党大会(2006年)において2020年までのLDC脱却、2010年までの貧困の基本的な解決等を目指した長期目標を策定。
(4)外国投資の促進による社会経済開発の加速を目指し、2008年8月、日本との間の二国間投資協定が発効。日ラオス官民合同対話を通じて、投資環境の改善に取り組んでいる。
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