「ラオス人民民主共和国」視察報告 その9

Ⅸ.視察報告

4.2月1日:ビエンチャン二日目

(2)「ラオス全国商工会議所」(「LNCCI」lao National Chamber of Commerce and Industry)
サナン副会長、吉村会長.pngサナン副会長、吉村会長次に、「ラオス全国商工会議所」を訪問しました。

当日は、同商工会議所より
○サナンLNCCI副会長
○ヤマザキ(Tony YAMAZAKI)シニア・アドバイザー
○センダヴァン副事務局長
○スカフォン投資推進担当 家具会アドバイザー
○サリブー手工芸品担当
テーブル左手、各協会の担当者.pngテーブル左手、各協会の担当者○ニエダラー農産物加工協会担当が参加されました。

通訳は、ヤマザキ(Tony YAMAZAKI)シニア・アドバイザー、ラオス国立大学経済学部で講師を勤められているオンパンダラさん(Phanhpakit ONPHANHDALA ,Ph.D.)に務めて頂きました。

まず、商工会議所側から、「ラオスの投資環境」と題したプレゼンテーションが行われました。

ラオス国内の経済特区の状況、各国の投資状況などが報告されました。

ラオス経済特区.pngラオス経済特区各国投資状況.png各国投資状況

その後、サナン副会長によるラオス経済の状況について報告がありました。内容は、以下のとおりです。

  • 「LNCCI」はラオス商業省の傘下にあり、1989年に設立された。現在の会員数は2,000社となっている。2001年の350社から12年間で5倍以上の伸びとなっている。この企業数の増加は、ラオス民間企業の発展を明確に示している。
  • 大きな役割として、民間企業と政府の橋渡しを行っている。
  • ここは全国商工会議所で、支部は全国に15ヶ所ある。
  • ラオス商工会議所は、ASEANN商工会のメンバーでもある。
  • JICA、JETROなどと連携している。
  • 現在、25〜26業種あり、近年は建設業の会員が増えている。それぞれの会員が産業別の部会や協会に加盟している。
  • 部会所属の企業数は大きく変遷している。

     ・手工芸品の会員企業は着実に増加している。
       54社⇒99社⇒128社 
     ・繊維・縫製企業は再編成されたと言えるかもしれない。
       57社⇒92社⇒50社
     ・コーヒー協会の会員数は縮小して横ばいとなり、成熟産業化している。
       27社⇒16社⇒16社  
     ・ホテル・レストラン企業は着実に増加しており、観光業の発展を示している。
       14社⇒53社⇒98社
     ・自動車(部品を含む)関連企業も増加し、販売は増加している。
       36社⇒57社⇒68社

  • 2008〜09年に発足した新しい部会が経済の近代化を示唆している。国際運輸、情報通信技術販売、プランテーション、宝石・宝飾品販売、女性事業家、青年起業家。
  • 森林開発許可のうち、30%は家具業。日本からの投資、技術指導を望んでいる。
  • コメの作付けを拡大し、輸出を増やしたい。
  • 農産物の加工製品をつくって、販売、輸出したいが、資金が不足している。この分野でも投資と技術を望んでいる。
  • ラオスは絹織物の技術はある。天然の絹があり、染めの技術、絹織りの技術は高い。手工芸協会では、日本と着物プロジェクト持っている。
  • ラオスへの海外からの投資を見てみると、昨年の実績では、1位ベトナム、2位タイ、3位
    • 中国、4位韓国、5位フランス、6位米国、7位日本、8位マレーシア、9位ノルウェー、10位インドとなっている。
  • 大規模投資は、電力、鉱業に多い。小中投資は観光、農業となっている。
  • 日本には、農業技術、農産物加工、農業生産率の向上を手伝ってもらいたい。
  • ラオスの昨年の発展は8.2%で、ASEANの中で一番高い。日本からは4件の投資があった。日本の投資は、ラオスの経済成長に大変効率のよい投資となっている。
  • 2011〜12年の日本からの投資は4.28億ドルで。工業、農業、物流に投資されている。
  • 昨年の統計では、ラオスから日本への輸出額は2.7億ドルで、主に木材、農作物、手工芸品となっている。対して、日本からラオスへの輸出額は1.97億ドルで、主に電子部品、自動車、医療機器となっている。
  • 2015年のASEAN共同体に加盟する。また、世界貿易機構(WTO)にも加盟する。大きなチャレンジと思っている。国内企業の発展にもつながる。
  • しかし、こうした機構に加盟してもやっていけるだけの競争力を持っている国内企業も一部にはあるが、そうでない企業も多い。ASEAN共同体の加盟などをにらみ、貿易の自由化となり国際競争にさらされても生き残れるように競争力をつけなければならない。
  • ラオスは内陸国だが、政府は国と国がつながる政策を進めている。こうしたインフラ整備によって、周辺諸国の中心地として、物流の中心拠点となる。
  • こうした開発戦略、国の考えをもって、海外からの投資家がラオスに興味を持ってもらうと有り難い。共存共栄を願っている。
  • 2012年9月、「ラオス米国商工会議所」が設立された。現在、ラオスにあるアメリカの企業は40社、ラオスへの認可された投資額は7千7百万ドル、ラオスとの二国間貿易額は8千5百万ドルに上っている。
  • 2009年10月12日には「日本人商工会議所」が設立している。現在、日系企業は48社 (2012年12月時点)。
  • こうした素晴らしい時期に、日本側の代表として福岡県議団の皆様と意見交換が出来ることを有り難く思っている。

その後、県議団側と質疑応答に入りました。質疑応答の、回答の部分を以下に記載します。サナン副会長.pngサナン副会長

  • 若い労働力は豊富だが、教育が課題。技術、専門知識も必要。
  • 投資は都市部に集中しているので、人口が都市部に集中している。
  • 国は、都市への急速な人口流入対策をしている。
  • 世界金融銀行の統計では、ラオスは180ヵ国中、63位。これまで投資に関する法整備を進め、投資環境整備を進めてきた。
  • ラオスは豊富な天然資源があり、これから開発する。水力資源、鉱物資源、観光業も力を入れている。
  • ラオスのいいところは、政治が非常に安定している。治安もいい。海外からの投資の大きな魅力といえる。
  • 630万人と人口は少ないが、国民の購買力は上がっている。主食はもち米、野菜が多く栽培されている。開発されていない農地が沢山ある。農業が発展すると農業の加工製品も多くなる。周辺には中国、ベトナム、タイ、カンボジア、ミャンマーがあり、これらの国に農産物を輸出するようになる。
  • 縫製業が盛んであり、主にEU向きに輸出している。木材や家具は、主に周辺国に輸出している。
  • 政府は、工業団地を10か所、緊急整備する計画である。外国資本を期待している。
  • 経済特区の中には、国内企業も、海外企業ともに減免措置がある。


(3)「ラオス計画投資省」(MINISTERE DU PLAN ET DEL’INVESTISSEMNT)

ラオス計画投資省.pngラオス計画投資省ラオス最後の視察先は「ラオス計画投資省」でした。日本でいう経済産業省のようなところです。

当日は、ソムディ・デゥアンディ大臣(Somdy Douangdy)が直接応対して頂きました。

ソムディ デゥアンディ大臣.pngソムディ デゥアンディ大臣ソムディ・デゥアンディ大臣(Somdy Douangdy)は、「ラオス経済投資セミナー」開催のため、2012年10月2日、来福されています。

大臣は、2007年7月から2011年7月まで財務省財務大臣を勤められるなど、政府内でも経済通の政治家です。

以下に、ソムディ・デゥアンディ大臣と吉村敏男代表との意見交換について、下記に発言要旨を記載します。

[ソムディ・デゥアンディ大臣]

  • ラオスに、そして、我が省においで頂いたことに感謝申し上げる。
  • 私は昨年、福岡を訪問した。福岡は素晴らしい街で、心温まるおもてなしに感謝したい。

[吉村敏男会長]

  • 会派として、ASEAN諸国のうち、ベトナム、タイ、カンボジア、ミャンマーを訪れた。今回、初めてラオスを訪問させて頂き、経済状況などを視察させて頂いた。

[ソムディ・デゥアンディ大臣]

  • 今回、初めての訪問ということですが、是非また来て頂きたい。これを機に、ラオスと福岡県との交流が深まれば幸いです。

[吉村敏男会長]

  • 福岡県は、世界に5ヶ所の海外事務所をもっている。ASEANではバンコクに事務所を置いているが、今後、人員を増強する。
  • 県内企業のASEAN、とりわけラオスへの進出のため、バンコク事務所長にラオス商工会議所と連絡を取らせる。

[ソムディ・デゥアンディ大臣]

  • それは有り難い。
  • 私は、福岡を訪問したとき、福岡の素晴らしさに感銘した。人々はみな、寛大な心を持っている。
  • 福岡市は、とても素晴らしい街だ。海に囲まれ、山もあり、自然と調和した街づくりとなっている。
  • 我々としては、福岡の多くの企業がラオスの投資に関心を持ったもらいたい。
  • 大川市も訪れたが、歴史もあり、木工業の伝統のある町だ。いまでもその印象を強く持っている。
  • 福岡県のバンコク事務所の増員はうれしい。ラオスへの投資の情報を福岡県でも広めて頂きたい。我が省はいつでも歓迎している。いつでも連絡してほしい、提携していきたい。
  • ラオスと日本は緊密な関係にある。今後は、福岡県との関係を増やしていきたい。皆さんは福岡県議会議員なので、地方からこうした関係をつくていきたい。
  • ラオスでの視察結果、情報収集された結果を、帰ってから活用してほしい。
  • これを機に、2度、3度と来訪してほしい。そして、ラオスの地方も見てほしい。是非、時間を取ってほしい。

[吉村敏男会長]

  • ラオスの人々は親日的であり、穏やかな人柄に感心している。今回、ラオスの内実に触れてとても良かった。
  • 3日間の身近い日程だったが、県内の企業が進出できる可能性を見て取れた。
  • バンコク事務所との窓口を開き、そこを通じてラオスの情報を県に届けるようにしたい。
  • 福岡はいいところです。食べ物も、お酒も美味しい。大臣には、是非もう一度来県してほしい。私たちが歓待致します。

[ソムディ・デゥアンディ大臣]

  • ありがとうございます。また、福岡を訪れる機会があればうれしい。私も県の料理を堪能した。
  • 5日間、福岡に居た。大川市では、市の家具業界とラオスの家具業界との提携契約に調印した。
  • ラオスには、豊富な材木と労働力がある。商工会議所からも同じような話があったかもしれないが、福岡県の資金提供があればありがたい。合弁会社でも、直接投資でもいい。ラオス国内の中小企業を奨励していきたい。

[吉村敏男会長]

  • 大川市の家具は、全盛期の2割しかない。イケアという外資系の企業などに押されている。大川家具はデザイン力もあり、製品も良いが、値段が高く、安売り店に押されている。
  • ラオスの安い賃金、豊富な労働力と、日本のデザイン力、技術力があれば成功すると思う。大川市進出の件については、県側に話をする。
  • 本日はありがとうございました。

[ソムディ・デゥアンディ大臣]

  • 有難うございました。

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