「ラオス人民民主共和国」視察報告 その8

Ⅸ.視察報告

4.2月1日:ビエンチャン二日目

(1)ラオス進出企業視察 「LAODI」
ビエンチャン二日目、最初の視察先は、ビエンチャン市内から車で1時間ほどの農村地にある、日系企業の「LAODI」(Lao Agro-Organic Distilley Inc.)です。

左:富田社長、右:井上副社長.png左:富田社長、右:井上副社長当日は、取締役社長の富田安亮氏、取締役副社長・醸造責任者の井上育三氏からお話しを伺いました。

この「LAODI」の事業内容は、さとうきびを使ったラム酒ならびに黒糖の製造販売です。日本人5人が共同出資(6,000万円)した、いわば私的投資で始められた会社です。

ラオスでは、外資系企業の投資は進めているものの、土地を貸して、そこで育てた農作物の加工販売というのはハードルが高かったそうです。

しかし、会社役員に地元の有力者に入って頂いた関係で、土地の借用、サトウキビ農園の開墾、労働者の雇用、製品の製造・販売がうまくいったそうです。

ラオス政府から事業認可は2007年5月8日(ライセンス番号はNo.30/FIMC.VM)、事業内容はラム酒、さとうきび焼酎および黒糖製造販売、さとうきび派生商品の製造販売となっています。取引銀行は「国営ラオス商業銀行」で、2008年12月から製造開始されています。

「なぜラム酒だったのですか?」という問いに対し、富田社長は「最初はバイオエタノールの製造計画にアンチする考えから始まった。人が食べる大切な食料を燃料に変える理不尽さに気付き、それに巨額の設備費、国策で動くエネルギー問題の複雑さに戸惑い、それじゃあ大好きな酒を造ろうということなって、ラム酒づくりを始めた。」とのことです。

そして、製造したラム酒について、富田社長は「ラム酒は決して上品なお酒ではないといわれる。しかし、私たち日本人が作ったラム酒は、人の喜びや悲しみの傍で、人に喚起や癒しをもたらすものだと自負している。」と屈託なくお話をさられましたが、相当な苦労をされたのだろうと察しました。

工場、さとうきび農場全景図(HPより).png工場、さとうきび農場全景図(HPより)現在、ラオス政府から借用している土地は22haで、そのうち現在12haでさとうきび栽培を行っており、将来的には開墾してさとうきび畑を広げるとのことでした。

土地の借用期間は15年で、借地料は2期に分けて支払うそうです(前期分は済み)。

さとうきびは全て無農薬栽培で、製造工場も石油や石炭など二酸化炭素を排出する原料を使わず、さとうきびアルコールで機械を動かしています。また、製造の過程で出るさとうきびの残渣も、すべて畑に撒いているそうです。

さとうきびは、刈ってからすぐに製造に取り掛からないと、自然発酵がはじまり、商品にならないそうです。そのため、何事にもスピードが要求されますが、富田社長が言われるには「そこがラオスの気質、万事マイペースで、生産効率を日本(人)と比べてはいけない。あまり強く言うと仕事を辞めていったり、逆に手抜きをしてしまう。彼らのペースに合わせた仕事をしていかないといけない。」と語られていました。

刈り取従業員.png刈り取従業員さとうきびを工場まで搬送.pngさとうきびを工場まで搬送製造工場.png製造工場

工場の従業員は30名ほどで、勤務時間はおおむね8:00〜14:00くらいまでで、「その日の仕事(ノルマ)が終わったら早く帰っていい」ということにしているそうです。一人あたりの賃金は約7,000円/月。従業員は、それぞれの出身の村の統率が強いそうです。

また、健康保険制度はあるそうです。郡単位の加入となっているそうです。しかし、郡によって医療の内容に差があり、加入するかしなかいは、従業員の意思に任せているそうです。

さとうきび畑.pngさとうきび畑醸造プラント.png醸造プラント富田社長.png富田社長(右)

ラム酒.pngラム酒は、現在、製品として6,000本/年ですが、採算ベースは1万本以上/年ということで、まだまだ採算ベースには乗ってないということでした。もっと、日本(国内)での販売が伸びることを願っておられました。

工場で富田社長が語られたことの一つに、とても印象に残っていることがあります。
「先の太平洋戦争の終結時、当時のラオス国王は日本に対し、戦後補償を求めることはしなかったそうです。それは、日本は敗戦国となり、日本国内では多くの都市が戦火に焼かれたり、多数の戦争犠牲者が出た。そうした国に補償を求めるのは忍びないからということことだそうです。」と教えて頂きました。

そして、富田社長は「ラオスはとても親日的な国です。戦後補償のこともありますが、日本人としてなんとかラオスの人たちの想いに応えたいという気持ちでやっている。

ラオスの人たちは、プライドを持って、国際的に打って出るものをつくりたいと願っている。自国が農業と林業の国だから、農産物の加工品、木材加工品などを主要生産品にしたいと思っている。

私たちは、そうしたラオス人の想いに応えたい。ラオスの農産物で製品を作り、事業税を納め、雇用を拡大する。そうしたことで貢献したい。」と述べられていました。

(本社/工場:ラオス国ビエンチャン首都パクグム郡ナーソン村 国道南13号線47km 
TEL.021−922−051 FAX.021−922−052   http://www.laodi.jp/index.html
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