県議会質問

2013年3月19日 福岡県予算 第6款:農林水産業費

「県産水産物の価格向上とPR対策について」

県の水産白書にもありますが、本県の北側には筑前海という優良な漁場が広がっている。そこは、対馬暖流の影響を受ける好漁場で、東は北九州市から、西は糸島市までにわたり、まき網や釣りなど大小様々な漁業が営まれており、福岡都市圏200万人のみならず、508万県民の食を支えている。

私は、昨年の6月議会で筑前海の漁業振興について質問した。その際、筑前海の資源づくりのために、県として、禁漁期間や小型魚の再放流などの資源管理、資源を積極的に増やすための稚魚の放流などに漁業者と一体となって取り組んでいるとの答弁をいただいた。

私の選挙区である福岡市中央区は、狭いながら博多湾に面している。「博多湾」は通称で、正式な名称は「福岡湾」だが、ここでは、聞きなれた「博多湾」を使わせていただく。

この博多湾は狭い海域ではあるが、小型底びき網漁業や刺網などの漁船漁業、カキやノリの養殖と、様々な漁業が行われている。

漁業は、基本的に天然の魚を漁獲する生業(なりわい)であるため、誰でも自由に魚をとるということになれば、特に博多湾のような閉鎖的な海域では、魚は獲りつくされ、資源はすぐになくなってしう。

Q1:1問目の質問

そうした無秩序な状況にならないようにするためには、公の機関が調整する必要がありますが、博多湾において、許可などの制度や資源づくりの取組に対し、県や地元の市はどのように携わっているのか、詳しくお答え願います。

A1:県水産振興課長
博多湾においても、筑前海の他の海域と同様に、小型底びき網漁業の許可や、アサリ漁業やノリ養殖、カキ養殖などの漁業権の免許といった漁業制度に基づく業務を県が実施している。

アサリやクルマエビの放流などの資源づくりについては、県と市が協力して、漁業者が行う取組を指導、支援している。

続ける。
博多湾は、地理的には政令指定都市である福岡市の中に位置しているが、漁業の許可や免許は、全て県で行われているとのことなので、県には今後ともしっかり漁業の秩序を維持していただくとともに、資源づくりの取組については、市と協力して、漁業者の指導・支援をお願いしたい。

次に、これもまた、私の地元であります中央区長浜にあります博多漁港についてだが、今年度の6月議会の時に、私は、平成23年の取扱高が日本一であったという話をした。

今年に入って、平成24年の全国主要漁港の取扱高が発表された。博多漁港の取扱高は449億円であり、全国第2位となっている。

平成24年は、残念な結果となったが、博多漁港は、毎年、3位以下を大きく引き離して、焼津港と取扱高全国1、2位を争っている全国でも有数の漁港である。

博多漁港へは、本県産の魚介類以外にも、他県で水揚げされた魚介類が陸上からも送られている。平成23年の生鮮水産物全体の取扱量は8万1千2百トンであり、このうち福岡県産は1万3千4百トンであった。つまり、福岡の街には、福岡県産だけでなく、他県から膨大な水産物が集まり、水産物の一大市場を形成している。

このように全国有数の取扱高があり、他県からも大量に魚介類が入荷するなかで、気になるのが福岡の魚の評価である。市場における評価は、価格に反映されるのではないかと思うが、卸売市場において、地元福岡の魚がどのような評価を受けているのか。

Q2:2問目の質問

福岡県の筑前海では、さまざまな漁船漁業が営まれていると思うが、その中でも、本県の主な漁船漁業で漁獲されている魚種の価格については、他県産と比べてどうなのか。

A2:水産振興課長
本県の主な漁船漁業であるまき網やごち網で漁獲される魚種の中で量が多いのは、ブリとマダイである。

しかし、福岡市中央卸売市場の平均単価は、ブリ類については、福岡県産が1キロあたり約
270円に対して他県産は約330円。マダイ類は福岡県産約620円に対して他県産約780円であり、他県産よりも低い単価となっている。


続ける。
残念ながら、福岡県産の主要な魚種の価格は他県よりも低いということである。

本県の漁場は、消費地市場である中央卸売市場が近くに位置している。したがって、漁獲した後に、他県より早く市場まで輸送することができるので、より鮮度が高い状態で魚を出荷できる優位性があるように思う。

Q3:3問目の質問

より鮮度が高い状態で魚を出荷できる優位性がありながら、本県産の水産物の価格が他県産と比較して低いのは、どのような原因であるのか。

A3:水産振興課長
他県産は、
・鮮度低下の原因となる血液を抜くなど漁獲後の処理を実施
・低い温度を保つことができる蓋付の箱に梱包
・サイズ、数などの規格も統一
このような水産物が福岡へ出荷されているために評価が高い。

福岡県産も、一部には、
・漁獲物の丁寧な取扱
・しっかりと氷をうつといった出荷までの温度管理
・出荷する箱ごとのサイズの統一など
の取組を行い、高い評価を得ている漁業者もいる。

しかし、漁協などグループ単位で見ると、
・鮮度管理や出荷規格の統一などの取組は不十分
このことが、本県産の価格が低い原因と考えられる。

続ける。
燃油の高騰などにより、漁業が非常に厳しい状況にあるなか、漁業者の収入を増やすには、本県の水産物の価格の向上が重要と考える。

Q4:4問目の質問

では、そのような他県産に比べて本県の水産物の価格が低いという課題に対して、県としてはどのような対策を行っていくのか。

A4:水産振興課長
価格向上のためには、本県産水産物は、鮮度が良く、規格も揃っているという評価を得ることが必要。

このため、県としては、鮮度管理、規格の統一といった取組を、漁協などのグループを単位として組織的に行うよう指導していく。

県の主要な大型漁業のまき網において、平成25年度から新たに、鮮度低下の原因となる血液を抜く作業を迅速にできる装置を導入する。

まき網で大量にとれるブリの鮮度保持による単価向上効果の検証を行い、漁業者へ普及するという取組を考えている。

続ける。
福岡県は、立地として、品質の良い水産物を出荷できる優位性がある。その特徴を活かす取組をぜひ推進し、「魚のおいしい福岡の街」にふさわしい県産水産物を提供できるようにしていただきたい。

しかし、真に価格向上につなげていくには、生産サイドの取組だけでは足りないと思う。

魚介類の価格が低迷しているのは、皆さんに魚が食べられていないということにも原因があるのではないでか。

Q5:5問目の質問 

そこで、尋ねるが、我が国の魚介類の摂取量の推移についてお答えいただきたい。

A5:水産振興課長
厚生労働省の「国民栄養調査」によると、我が国の魚介類の摂取量は、平成13年には1日一人当たり94g。

年々下がり続け、平成23年には、約73gとなっている。

続ける。
魚を食べる量が減っているとのことであるが、魚を沢山食べていただくことは、漁業者の収益向上だけではなく、古来より魚を食べてきた日本人の伝統的で豊かな食文化を守ることや、健康のためにも大変重要なことである。

そこで、魚介類の消費拡大を図るためには、先ほど説明いただいた、生産サイドでの鮮度管理等の取組に併せて、本県産の美味しい魚をPRする取組が是非必要である。

Q6:6問目の質問 

そこで尋ねるが、県では、品質の良い福岡県産の水産物を、消費者のみなさんにPRするために、どのような取組を行っていくのか。

A6:水産振興課長
県としては、これまで、カキやフグなど、新鮮でおいしい福岡の魚介類を知っていただくため、農林水産祭りや天神での試食イベントなどのPR活動を支援してきた。今後も引き続き、このようなPR活動を支援していく。

また、本県の漁場は大消費地の近くにあるということから、新鮮な水産物を直接県民の方々へ届けることのできる直売所の販路拡大や、飲食業などへの直接取引、観光業や飲食業との連携した取組を促進する。

このような取組を通じて、県産水産物の品質の良さをアピールして、県産水産物の認知度向上に努める。

続ける。
品質の良い福岡県産の水産物の供給体制を整えること、そして、そのPR活動により消費拡大を図ること。このような生産サイドと流通・販売サイドの取組を有機的に連携して進めることは、たいへん重要である。

こうした取組をすすめるにあたり、福岡という街に、博多漁港を中心とした水産物の一大市場が形成されていることは、本県の大きな強みであり、県産水産物の価格向上、消費拡大などにとって、非常に有力な材料になると考える。

農林水産部長への要望 

ここで農林水産部長に強く要望する。

今後とも、県産水産物の価格向上、消費拡大などの取組をとおして、本県水産業の振興を図るとともに、「魚のおいしい街福岡」の更なる発展につなげるよう強く要望し、質問を終わる。