県議会質問

2014年6月18日

2.県内地域間問題の解消に向けた取り組みについて

小川知事答弁

問2-①
「市町村合併の評価と評価の指標について」

  • 平成の市町村合併は、少子高齢化や地方分権への対応など、社会経済情勢の変化に伴う住民ニーズに的確に対応できる行財政基盤の確立を図るために、推進されてきた。
  • 県では、平成22年に、合併効果の検証を実施。検証は、非合併市町村との比較という手法を用い、指標は、客観的に比較可能な、職員数と議員数、標準財政規模、普通建設事業費の額、地方債や基金の残高を用いた。
  • 検証の結果、合併団体は、非合併団体に比べて、①職員数や議員数が、より減少していること、②財政規模の拡大に伴い財政運営の自由度が増していること、③合併特例債の活用により、従来できなかった投資的事業の実施や基金の積立てが可能になったことなどの効果が認められた。
  • 今後の検証は、殆どの合併市町村が、来年から再来年にかけて合併後10年を迎えることから、再度、合併効果の検証を行うことを考えている。
  • その際、指標としては、時系列で比較できるよう原則として平成22年と同じ指標を用い、必要があれば、指標の追加も検討していく。

問2-②
「合併市町村における人口の減少について」

  • 本県では、福岡都市圏を中心に人口が増加している一方、多くの地域において、合併市町村、非合併市町村を問わず、人口の減少が続いている。
  • 国力、また、この県の力を維持していくためには、一定規模の人口が維持されることが必要。
  • 市町村合併は、人口減少社会にも的確に対応できるよう行財政基盤を強化することを目的の一つとして推進されたもの。
  • 現在、合併市町村は、行財政の効率化という合併の効果を活かし、新たなまちづくりや魅力ある雇用の場の創出、結婚・出産・子育て支援といった少子化対策などに、懸命に取り組んでいるところ。県としても、このような合併市町村のまちづくりを引き続き支援。

問2-③
「県内各地域から福岡都市圏への交通アクセス向上への取り組みについて」

  • 福岡都市圏へのアクセス向上を図るためには、高速バスや路線バス、JRや地域鉄道の利便性をより一層高める必要がある。
  • 県においては、地域に密着した交通ニーズの実現を図るため、「福岡県地域交通体系整備促進協議会」を組織しているところである。
  • この協議会では、地域交通アクセス向上に関する「運行本数の増加」「快速列車の増便」「終電時間のダイヤの見直し」「パークアンドライドの推進」等、具体的な市町村からの要望を取りまとめ、事業者に対して実現を要請しているところである。

問2-④
『「甘木鉄道」「平成筑豊鉄道」「筑豊電気鉄道」に対する支援について』

  • これらの鉄道は、通勤・通学等の重要な移動手段として沿線地域の人々の暮らしを支えているが、経営基盤が脆弱であり、厳しい経営状況にある。
  • 今後、更なる人口減少により、鉄道利用者の減少が懸念されており、持続可能な地域鉄道とするためには、鉄道の魅力や利便性を高めるための、利用促進策を講じていくことが、不可欠であると考えている。
  • このため、利用促進のための方策として、現在、「平成筑豊鉄道推進協議会」では、「へいちくフェスタ」等イベントの開催やちくまるグッズの制作など、「甘木線推進協議会」では、甘木線沿線紹介パンフレットやウォーキングに合わせたフリー切符の作成を行っているところであり、県も、その協議会活動に対して、支援を行っているところである。
  • 県においては、沿線市町村ともに、信号や線路設備等の安全輸送設備に補助を行い、安全性の向上と輸送の確保を図っているところである。
  • また、筑豊電気鉄道については、その所有する車両が、40年以上経過し、安全運行上早急に更新する必要が生じているが、厳しい経営により、車両更新が難しい状況にある。このため、今年度、県として生活交通の確保の観点から、三セク並みの補助を行うことを決定し、追加の支援を行うこととしたところである。
  • 今後も、更なる利用促進を図るとともに、所要の支援を行ってまいる。

問2-⑤
「平成筑豊鉄道の横領事案に伴う、県の支援の考え方について」

  • このような事件が発生したことは、誠に遺憾である。
  • 県からは、直ちに、早急な事実の究明と、再発防止策などについて、指導を行っている。今後、会社は信頼を回復し、再発防止策の徹底に取り組んでいくことが求められる。
  • 今回このような事件が起こったが、平成筑豊鉄道は、通勤や通学等の移動手段として沿線地域の人々の暮らしを支えている重要な鉄道であるので、県としては、引き続き、生活交通の確保という観点から、支援を行ってまいる。

問2-⑥
『「定住自立圏構想」の取組状況について』

  • 「定住自立圏構想」は、中心となる市と近隣市町村が役割分担し、連携・協力することにより、圏域全体で必要な生活機能を確保しようとするもの。 
  • 本県では、久留米市、八女市、大牟田市がそれぞれ中心市となっている3つの定住自立圏が形成されており、3市において、それぞれ近隣市町と協定を締結し、「定住自立圏共生ビジョン」を策定している。
  • その他、大分県中津市が中心市となっている定住自立圏には、豊前市、築上町、上毛町が加わっている。
  • 具体的な事業としては、まず「久留米広域定住自立圏」においては、子育て支援センターの市町間での相互利用や地域資源を活かした体験型観光ツアーの共同実施、圏域内企業の取引拡大のための広域商談会の開催などに取り組んでいる。
  • 「八女市定住自立圏」は、合併により、現在八女市のみの圏域となっているが、デマンド型乗合タクシーの運行やコミュニティFM放送事業などの取組みを実施している。
  • 大牟田市を中心とする「有明圏域定住自立圏」においては、図書館の相互利用や結婚サポートセンターの共同運営などに取り組んでいる。
  • また、大分県中津市を中心とし、本県の豊前市、築上町、上毛町が加わっている「九州周防灘地域定住自立圏」では、小児救急センターの運営や、豊前市と中津市民病院を結ぶコミュニティバス運行などを実施している。

問2-⑦
「中心市となっていない市への対応について」

  • 定住自立圏の中心市になるか否かについては、要件を満たしている市とその近隣市町村が協議し、連携協定を締結して取り組む事業内容やそれを実施した場合の効果等を検討して、判断されるものと考える。
  • 県としては、定住自立圏の内容や支援措置等について、県内市町村に周知していくとともに、必要に応じ関係市町村に助言を行ってまいる。

問2-⑧
「地域における定住化の促進について」

  • 定住人口を維持するためには、魅力ある雇用の場をつくることがまず何よりも重要。併せて、それぞれの地域において、安心して住み続けられる生活環境を整備することも必要。
  • しかしながら、各市町村単位で、雇用の場の確保や、住宅、教育、福祉等の生活環境を全て整備することは、現在の社会経済状況の中、難しい場合もある。
  • このため、国では、平成21年度に定住自立圏構想推進要綱を定め、先に述べた「定住自立圏構想」を推進している。
  • 県としては、定住自立圏構想の推進に向けた取組みが進むよう、市町村に対して必要な助言等を行っている。
  • また、魅力ある雇用の場をつくるための県の取組みとしては、各地域が持つ特性や資源を活かし、技術力や生産性の向上による製造業の競争力の強化、企業の誘致、観光の振興、農林水産業の経営力の強化などの産業振興を図っているところであり、これからもしっかりと取り組んでまいる。