この一年間の県議会報告
2012年「6月県議会」〜2013年「2月議会」 その4
2021-06-10
2013年「2月議会」報告
Ⅰ.「2月議会」本会議
1.議会の主な内容
2013年2月22日に開会した「2月定例県議会」は、国の緊急経済対策にともなう2月補正予算案や、新年度の当初予算案などを審議、可決し、3月28日に閉会しました。
今議会に提出された新年度当初予算案は、一般会計・約1兆6,300億円で、過去最大規模となりました。この当初予算は、国の緊急経済対策にともなう2月補正予算と一体的に「14ヶ月予算」を構成する予算として位置づけられています。
当初予算は、国の補正予算の成立を背景に、公共事業費が大きく伸びたことが特徴です。
公共事業費は、当初予算で補助・単独事業を合わせて前年度比2.6%増の2,048億円で、当初予算歳出全体の12.6%を占めています。また、公共事業費を2月補正予算と合わせた「14ヶ月予算」で見ると、2,176億円が盛り込まれることとなり、前年度当初予算と比べ、18.81%の大幅増となっています。
歳入面では、県税収入を前年度から微減の約5千億円の確保を見込んだものの、国の地方公務員給与費削減を前提とした地方交付税や国庫支出金の削減(228億円)と、社会保障関係費の増加(117億円)などの影響で、268億円の財源不足を生じ、財政調整基金(県の貯金)などの三基金からの繰り入れで、収支の均衡を図っています。
県債発行残高(県の借金)は、県が独自に発行する通常債の残高は減少していると説明されているものの、国による臨時財政対策債の増加があり、来年度末には今年度残高から約1千億円増加し、3兆3,266億円になることが見込まれます。
公共事業以外で、当初予算の主なものとして、
- ①「グリーンアジア国際戦略総合特区」に立地する企業に対する交付金などの企業立地促進費(9億4千万円)
- ②3月末の「金融円滑化法」期限切れを見据えた中小企業向けの制度融資(1,072億円)
- ③6次産業化の推進などによる高収益型園芸産地の育成(14億円)
- ④松くい虫対策費(1億6千万円)
- ⑤再生可能エネルギー導入促進費(4億6千万円)
- ⑥「若者しごとサポートセンター」など4つの「就職支援センター」を活用した雇用対策(4億7千万円)
- ⑦後期高齢者医療負担金(687億円)
- ⑧介護給付費負担金(506億円)
- ⑨保育所等の緊急整備費(117億円)
- ⑩防災危機管理専門監の設置(2千万円)
- ⑪警察官の増員(3億8千万円=100人分)
- ⑫春日警察署の建設(17億円)
- ⑬いじめ問題の対策強化(4千万円)などです。
これらに加え、新年度予算では、産業廃棄物行政で新規事業を盛り込み、積極的な姿勢を打ち出したことが特色としてあげられます。
これは、わが会派が代表質問や一般質問で、継続して産廃問題を取り上げてきた結果であり、会派の成果として特筆したいと思います。
産業廃棄物行政の新規事業は、「不適正処理の早期発見・改善に向けた取り組み」と、「長期化している廃棄物問題の解消に向けた取り組み」の2事業です。
前者は安定型最終処分場で違法な廃棄物の埋立てがないかを、定期的に掘削調査し、違法行為があれば、改善命令や許可取り消しなどの行政処分を行ないます。
また後者は、産廃の不適正処理で問題が長期化している現場を掘削調査するもので、実態を把握するとともに、「専門委員会」を設置し、問題解決に向けた取り組みを検討します。
小川知事は記者会見で、当初予算を説明するにあたり、「県民に寄り添い、向かい合う行政を心がけたい」と発言していますが、この2つの事業は、そのことを象徴するものとして、評価したいと思います。
2.代表質問
民主党・県政クラブ県議団の代表質問は、3月5日に岩元一儀議員が行い、第2次安倍政権の誕生で、後退が懸念される分権改革の問題や、安倍政権の経済政策に対する知事の所見、福岡空港密化対策の前提としてきた容量限界の問題、現地視察を踏まえた産業廃棄物行政などについて知事の考えを質しました。
この中で、地方公務員給与費の減による地方交付税の削減措置について、知事からは「国と地方の協議が不充分なまま、地方交付税が削減されたことは遺憾である」と答弁し、国の対応に強い不満を示しました。
民主・県政クラブの代表質問の項目と主な内容は、次のとおりでした。
- ①県政推進の基本姿勢について
- 1)北九州市制50周年
- 2)地域主権改革の推進
- ・一括交付金の廃止問題
- ・分権改革の方向性と道州制の在り方
- ・国の出先機関の改革
- ・地方交付税の削減問題
- 3)経済対策
- ・デフレ脱却のための賃上げの必要性
- ・政府の財政出動に対する評価と公共事業の着実な執行
- ②空港問題について
- ③環境問題について
- 1)PM2.5への対策
- 2)飯塚市の最終処分場問題
- 3)産廃行政に係る新規事業
- ④アジア戦略について
- ⑤世界記憶遺産の保存・活用について
- ⑥教育問題(体罰、いじめ)について
3.一般質問
今議会の、会派の一般質問(発言順)は以下のとおりです。
- ①守谷正人議員
- ②宮浦 寛議員
- ③田辺一城議員
- ④畑中茂広議員
- ⑤川崎俊丸議員
- ⑥井上博隆議員
- ⑦泉日出夫議員
- ⑧中村誠治議員
- ⑨大橋克己議員
- ⑩原中誠志議員
- ・公契約条例の制定について
- ⑪原田博史議員
4.採択された決議・意見書
- オリンピック及びパラリンピック大会の東京招致に関する決議
- 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する意見書
- 仮称「防災・減災基本法」の制定を求める意見書
- 自殺対策のさらなる推進を求める意見書(民主・県政ク提出)
- ブラッドパッチ療法の保険適用及び脳髄液減少の診断・治療の推進を求める意見書
Ⅱ.「2月議会」中に開会された「予算特別委員会」
当初予算案を審議するための「予算特別委員会」は3月12日から21日の日程で開かれました。
民主党・県政クラブ県議団は下記の議員が委員となり、福岡空港の容量限界問題、PM2.5対策、性暴力・DV被害者支援の充実、男女がともに能力を発揮できる社会づくり、基本的生活習慣習得事業、自転車通行の安全対策などについて、県の考えを質しました。
【予算特別委員会委員】
田辺一城、仁戸田元氣、堤かなめ、原中誠志、野村陽一、△原田博史、守谷正人、○原竹岩海(○は副委員長、△は理事)
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