「ミャンマー連邦共和国」視察報告 その11

  • 総括として、①中央銀行のIT化、②銀行間ネットワークの構築を図ることにより、VISA、マスター、チャイナユニオンペイなどのカード決済ができるようにしたい。
  • 2015年の証券市場の確立に向け、準備を進めている。将来の展望は明るい。投資が来ることで、国際社会の一員となれる。


  • 当銀行は、ミャンマーの法人税納付の1/3のシェアを占めている。貸出比率13%、金利8〜10%の利回りで運用している。
  • しかし、2003年に一度、金融危機があった。3行が政府償還にあった。
  • 現在、ミャンマーの国全体として、現地通貨で5,000億円ある。そのうち、1/3はKBZが預金として保有している。
  • しかし、6,000万人の人口がありながら、支店数では、民間銀行で400支店、政府銀行で300支店しかない。支店数が少ないので、絶対的に預金が少ない。預金確保には支店数を伸ばしていくしかない。
  • 国民の銀行に対する信頼性はそう高くない。また、国民性として貯蓄性もあまりない。収入より多く使ってしまうというのが現状。
  • 過去半年で、KBZは「三井住友銀行」、「サンボーザ銀行」との友好関係をつくってきた。日本とも信頼関係の構築をしている。
  • まだ、米国$の投機ができない。米国大統領の経済制裁の完全解除の発令が出されていない。
  • 国内の民間銀行の19行のうち、11銀行が外国為替ができる。今年、7月2日から、マレーシアからの送金できるようになった。また、昨日からは民間銀行で外貨口座が開けるようになり、受付を開始した。今後、デビット・カード・システム、L/C(Letter of Credit)などにより、クレジットカードの決済などが出来るようになった。

[質疑応答]

(外貨口座開設の反応は?)

  • 中央銀行からの通達が出たのは金曜の夕方。したがって、通知期間が短かかったこともあり、心配されたが、件数は予想よりも多かった。今日の朝刊に出たため、今日の問い合わせは多い。

(政府の命題は?)

  • ミャンマーの近隣諸国で働いている出稼ぎ労働者の賃金を、いかにして正式なルートで本国に送金できるか、送金させるかにある。いまは、地下銀行などのネットワークを使ってしか本国に送金できない。シンガポール、タイ、一部日本などから送信されているが、実態は不明。過去にも、地下ルートを使って送信しようとしていたお金、1,000万ドルくらいが持ち逃げされたこともある。したがって、正式なルートで国内に送金できるようにしたい。「三井住友銀行」との連携は、そうした意味でも必要。

(L/C口座の開設については?)

  • 日本から、中古車が数多く輸入されている。しかし、自動車も、電化製品などの取り扱いも含め、現在はL/C口座の開設は認められていない。認められているのは政府中央銀行だけで、民間銀行はない。
  • 日本からの日本車の輸入は、これまで5万台に達している。日本とミャンマーとの経済関係は強く、早くL/C口座が開設されるようになればいい。

(日本との関係をどう見ているか?)

  • テイン・セイン大統領が訪日した際、日本製品のみならず、橋や道路など、インフラの技術の高さに驚き、敬服されていた。今後、日本からの開発参入が進むのでないかと思う。

(カチン民族と中国との関係をどう見るか?)

  • カチンと中国との関係の前に、ミャンマーと中国との関係がどうかという話をしたい。ミャンマーは2011年9月、中国と共同で建設中だった水力発電用「ミッソンダム」のプロジェクトを凍結した。政府として、今後は中国との関係を整理をしていく。中国とは、米国をはじめ、国際的な関係の中で、バランスを取りながら新たな関係をつくっていく。
  • カチンの背後に中国政府がいるかどうかは、実証は難しい。ミャンマー政府として、カチンに対して姿勢ははっきりしている。①連邦制からの独立は認めない、②要求については協議に応じる、そういう立場でカチンとは交渉に臨んでいく。
  • 古来より、「中国という眠れる獅子を起こすな」といわれてきた、しかし、その「眠れる獅子」である中国を起こしたのは米国や英国であった。いまや、中国は経済力でも、軍事力でも大きな力を持つ獅子となった。これは、起こした国の責任もある。

以上の質疑応答を行い、KBZ銀行との意見交換は終了しました。

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