「ミャンマー連邦共和国」視察報告 その10

[KBZ銀行U Than Lwin副会長の説明]

  • ここ1年の動きはすさまじい速さ。ミャンマー・タイ_15.pngU Than Lwin副会長
  • ミャンマーでなぜこれほど改革開放路線が早かったかというと、
    • 国民の復讐心が薄い。英国が80年にわたって植民地支配をしていたが、それを恨んでいない。
    • 英国人は、いまでもミャンマーに親しみを感じている。
    • ミャンマー人は英国に対し、教育とある程度のインフラを与えてくれたことに感謝している。
    • 日本との関係でいえば、先の大戦中、一時期、日本に侵略されたが、恨んでいない。むしろ、ミャンマー(ビルマ)を英国の植民地から解放してくれたとおもっている。
    • ミャンマー人はインテリジェンスが高い。したがって、改革にも柔軟に対応している。
  • 2011年3月に新政権が誕生した。民主国家として、第1ステージを迎えている。
  • 政府は、政治、経済、社会の「3つの改革」に取り組んでいる。そのなかで、優先課題として政治改革、民主化が行われた。これをやらないと、経済、社会改革もできない。
  • 政治犯の釈放も次々と行われている。
  • 昨年来、少数民族との和解も進み、武装民族との和解も進められている。しかし、カチン民族との和解は終わっていない。これは、近隣に中国があり、こうした背景が関係し、出来ていない。
  • 本年4月の国会補欠選挙で、スーチーさんらの党が41議席を確保した。これは、公平な選挙が行われた結果である。国会で、スーチーさんらの健全野党が誕生したことは歓迎している。
  • 2015年までの間、一定の政治改革は進められると思う。したがって、いまからは第2ステージに移ることになる。


  • 第2ステージは、金融を含めた経済改革となる。第1ステージの最中にも、国連の開発計画、日本のJAICAなどと話を進め、第2ステージへの布石を打ってきた。
  • 経済・金融改革のコミュニティーが立ち上がった。私たちもその中に入っている。
  • 2週間前、大統領の諮問機関である評議会が設立された。したがって、私は副会長という立場に加え、その評議会の役員でもある。
  • 更に、教育、医療の分野でも国連と連携して発展に向けて動きをしている。
  • 政府として、今年からの目標で、5年内にGDPを倍増する。そのため、年率14%以上の成長が目標である。
  • GDP14%という目標は高いと思われるかもしれないが、大統領は並々ならぬ熱意を持っており、日本をはじめ、諸外国の協力を求めている。
  • 直近では、「外国投資法」の改正が図られることになり、外国の投資家の参入を期待している。のみならず、「銀行法」の見直しもしている。英国統治時代の「金融取引法」が残っているため、それを変えていきたい。
  • 更に、新しい法案、「消費者保護法」、「知的所有権法」など、4つの法改革も行う。また、「労働法」の改正も行っており、労働組合が合法となり、ストも行われている。
  • 政府として、国民の人権の向上を図っている。デモの規制も緩和し、平和的なデモは認めている。警察が、平和的なデモの指導をしている。このように、ミャンマーで自由な社会が出来ていることを知ってほしい。


  • 外国からの援助については、様々な支援方策があるが、金融面でも支援を受けている。
  • ミャンマーでは、日本企業が注目する「3つの見直し」が行われている。①改正「外国投資法」、②「経済特区法」、③ダウェー港開発である。
  • 金融改革については、外国資本とのジョイントベンチャーを検討している。KBZは、日本の「三井住友銀行」、タイ「Siam Commercial Bank」との融資支援、アドバイザー連携する覚書に調印している。
  • 現在、考えている課題として、①人材、銀行マンの養成、②テクノロジーのアップグレード、③金融の近代化である。
  • 地場の銀行が世界に出ていくためには、「バーゼルⅡ、Ⅲ」など、金融の国際ルールの獲得が必要。
  • 人材育成ということでは、「三井住友銀行」に銀行マンの養成をお願いしている。また、マレーシアの銀行には当銀行のスタッフを受け入れて頂き、研修してもらうようになっている。
  • その他、銀行の独自性の確保も重要なことである。〝プライベート・カンパニー〟から〝パブリック・カンパニー〟へ変わらなければならない。
  • 現在、ミャンマーの中央銀行は独立性が確保されていない。現在、財政歳入省の下におかれているが、法改正などにより改革が進むことになる。

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