「ミャンマー連邦共和国」視察報告 その14

3.7月11日(水)


①「NLD」本部

三日目の、最初の訪問先はNLD本部でした。

NLDは「ミャンマー国民民主連盟(National League for Democracy)」の略で、アウンサンスーチーさんの所属する政党です。現在、議長はアウンサンスーチーさんが務め、書記長も兼ねています。
12-07-11 NLD本部.jpg7/11 NLD本部前前日の7月10日にはアウンサンスーチーさんのご自宅まで行きましたが、残念ながら、アウンサンスーチーさんは国会出席中のため、面会することは出来ませんでした。

NLDは、ミャンマーの軍事政権に徹底して抵抗してきた国内最大の反政府勢力です。
1990年の総選挙では、485議席中、392議席を獲得して大勝したものの、軍事政権は国会の召集を拒否するとともに、NLDの国内での活動を抑制しました。なお、この総選挙の前年の1989年、軍事政権は総選挙の情勢が厳しいと見るや、アウンサンスーチーさんを自宅軟禁としました。以来、スーチーさんは長12-07-10 アウンサンスーチーさん宅前.jpg7/10 アウンサンスーチーさん宅前にて期軟禁と解放を繰り返すことになります。

しかし、ティン・セイン大統領就任以来、民主化が図られ、2010年11月にはスーチーさんの自宅軟禁も解かれました。これにより、スーチーさんの政治活動は再開、2012年4月に行われた「ミャンマー連邦議会」補欠選挙では、NLDは40議席(44候補者)を獲得しました。

米国の経済制裁については、ミャンマーにおける民主化が試金石といわれています。NLD が抑圧されることなく活動できるようになったとき、本当の意味での民主化が到来したと言えるのではないでしょうか。

②「国連ハビタット・ミャンマー事務所」

ミャンマー・タイ_29.png三日目の、2か所目の視察先は「国連ハビタット・ミャンマー事務所」で、ミャンマーにおけるハビタット活動の状況を聞きました。

当日は、「国連ハビタット・ミャンマー」からマイケル・スリングスビー(MICHAEL SLINGSBY)長官の他、5名の副長官(うち1名は団地課副長官)、現地国連職員が参加されました。

以下、マイケル長官の報告を記載します。

  • 「国連ハビタット・ミャンマー」の職員は300人で、ヤンゴンには50名が常駐している。
  • 本社はネピードーにあり、ヤンゴンは支店となる。
  • 2013年、ミャンマーとして国政調査する。現在、本当の人口は当局でも判らない。
  • ミャンマーでは、2008年5月にミャンマー南部のデルタ地帯を襲ったサイクロンにより、75万世帯以上の家屋が破壊され、居住者470万人のうち240万人に深刻な住被害を出しました。推定で13万8千人が死亡した。その後の対策もまだ。
  • 近年、急激な発展に伴い、都市部と農村部の格差が大きくつきつつある。国土の均衡ある発展を進めていかなければならない。
  • ミャンマーでは、ハビタットとして仕事が始まったのは2011年から。当面の目標として10カ年計画を考えている。
  • 国の社会福祉省、更には、地方自治体、NGO、国連機関とも連携して事業を進めたい。
  • 日本には、融資は勿論のこと、技術職員の派遣、人材育成、現地労働者の雇用などをお願いしたい。

残念ながら通訳とのコミュニケーションが十分でなかったのと、声が小さくて聞き取りにくかったこともあり、内容は十分なものにならなかったことは残念でした。A

「国連ハビタット」とは

世界各地で急速な都市化が進行している今日、発展途上国の都市に暮らす人々の居住問題はますます深刻化しています。「国連ハビタット」(国際連合人間居住計画)は、都市化や居住に関する様々な問題に取り組む国連機関です。

今日、世界が急速に都市化していくにつれ、都市化や居住問題はますます重要性を増しています。第1回国連人間居住会議がバンクーバーで開催された2年後の1978年、「国連ハビタット」(国際連合人間居住計画)は国連総会によってケニアのナイロビに設立されました。ハビタットは、都市化と居住の問題に取り組む国連機関です。

ハビタットの使命は、政策提言、能力開発、国際・地域・国家・地方といったレベルでのパートナーシップ構築をとおして、社会的、環境的に持続可能なまちや都市づくりを促進することです。ハビタットは、各国政府、地方自治体、NGO、民間のほか、他の国連機関とともに活動を行っています。その活動方針は、2年毎に開催される人間居住委員会によって定められます。人間居住員会は、地域毎に選ばれた58の国連加盟国で構成されています。

ハビタットには大きく分けて二つの役割があります。
①地球的規模での包括的な調査・広報活動
②各国の住宅および居住問題解決に向けた支援活動
主な活動分野として、
①住宅と社会サービス
②都市開発
③インフラ(社会資本)と環境
④監視と評価

(「国連ハビタット」ホームページより)