県議会質問

2013年6月13日

Ⅱ.九州新幹線の経済波及効果について

(1)九州新幹線の経済波及効果について

2年前の3月、九州新幹線全線開通直後に、知事に就任されたことは、知事の活動・活躍と、九州新幹線を通しての本県の経済発展は、運命共同体と言っても過言ではありません。

会派としては、この5月に新駅を中心とした街づくりの現状視察を行いました。
久留米駅・筑後船小屋駅・新大牟田駅がある自治体は、新幹線開業を起爆剤として、新駅を中心とした新しいまちづくりに取り組んできた経緯があります。とりわけ、公園の中の駅がキャッチフレーズの筑後船小屋駅は、広大な緑地で、あちらこちらでグランドゴルフが展開されていました。

4月27日に開館した九州芸文館は、わずか一ヶ月で、3万人を超える入場者を集め、地域に密着し、観光客誘致にも熱心さが伺え、活況を感じることができました。一方で、新幹線の利用の面では、新駅の厳しい現実も目の当たりにしました。

そこで、九州新幹線の駅を通しての経済波及効果について、4点、知事にお尋ねします。

1点目は、新駅の現状についてです。
開業一年目の利用実績は、前年度に熊本・鹿児島中央間で6割増し、福岡・熊本間でも4割増しであったものが、開業2年目の利用実績は、目標である1日2万5千人、年間912万5千人を下回り、909万4千人と落ち込み、収入も前年比から減少しました。
2013年度も、観光客の大きな増加は見込みにくく、西鉄や高速バスとは競合・競争時代に突入し、経済波及効果が疑問視され始めています。

そこで、この2年間の新駅の実績をどのように評価されてあるのか、お尋ねします。
とりわけ、新大牟田駅、筑後船小屋駅は、早朝と昼に新大阪行きが1本ずつ、その他の時間帯は、全て博多駅止まりで朝夕に3本、それ以外は1時間に1本と、非常に利用勝手が悪く、利用客に対応したダイヤとなっていません。

折りしも、6月6日、熊本県の玉名・山鹿・菊池3市の市長が、JR九州本社に、新玉名駅に停車する関西との直通列車「さくら」の本数増加を要望したところです。

そこで、知事自らが、筑後船小屋駅、新大牟田駅、新玉名駅がある自治体の首長と、熊本県知事との連動した取り組みが重要と考えますが、JRに対する要望活動など、知事の考えをお尋ねします。

2点目は、新駅の筑後船小屋駅についてです。
筑後広域公園内の九州芸文館と新幹線利用者をコラボする共通のチケット販売やPRすることで、九州芸文館のさらなる利用が図れると共に、九州新幹線の利用増加にもつながると考えますが、知事の考えをお尋ねします。

3点目は、新駅を中心とした街づくりの経済波及効果についてです。
日本で唯一の公園の中の駅、筑後船小屋駅は、自然に良くマッチし、広大な公園には、圧倒され、新駅を中心とした新しいまちづくりのコンセプトが明確で、大いに期待を持ったところです。

一方、新大牟田駅は、新駅を中心とした街づくりに苦慮されている部分もあり、市長も「新幹線の魅力は速達性。だが、新大牟田駅は市の中心部から7キロ離れている弱点がある。市民の広域交流と企業誘致が、これからの課題。」と述べられました。

実際、毎月1回、活性化の協議が続けられ、大牟田駅と新大牟田駅で同時にイベントを開催するなど、努力を続けておられます。今後、さらなる経済波及効果を生み出していくには、県の関与が大切になってきます。

これまで、本県は九州新幹線づくりに、負担金として1,251億円投入していますが、経済波及効果が見えにくい状況です。開通3年目を迎え、地域活性化にどのように取り組まれるのか、お尋ねします。

4点目は、新大牟田駅への路線バスの接続問題についてです。
新大牟田駅は、新幹線とバスへの乗り継ぎが悪く、30分以上時間待ちをしなければならないことがあり、それは大牟田行きと南関行き合わせて、半数近くにものぼります。

しかも、新幹線とバスの始発と最終には乖離があり、特に、最終に至っては、新幹線よりも約4時間も早く終了し、利便性の悪いものとなっています。新大牟田駅の利用促進にあたっては、路線バスの接続を改善し、利便性を向上させることが大切だと考えますが、知事はどのように取り組まれるのか、お尋ねします。 

【知事答弁】
①新幹線開業後、2年間の新駅の実績評価と今後の要望活動について

  • JR九州によると、2年目の状況は、新駅ごとに新幹線のみの利用者数を調査していないが、1年目の利用状況では、九州新幹線新駅の3駅について、久留米駅は2700人/日と想定どおり。筑後船小屋駅は750人/日、新大牟田駅は800人/日と想定を下回っている。
  • 一層の利用拡大を図るため、知事が会長で、熊本県知事も構成員である「九州地域鉄道整備促進協議会」や地元の市町が入っている「福岡県地域交通体系整備促進協議会」において、割引キップの導入などの要望を行ってきおり、割引キップが発売されるなどの成果を上げている。新駅の利用者を増加させるため、これらの協議会を通して、停車本数の増加などの利便性の向上について、JR九州に要望をしてまいる。
  • 新駅の地元の市においては、独自に駅前の市営駐車場の拡大や料金値下げ、新幹線定期券購入補助金、転入者への新築奨励金、観光プラザの設置などの利用者の増加策を実施している。
  • 本県や地元の市などが連携しながら、九州新幹線の新駅の利用促進に努めてまいる。

②九州芸文館と九州新幹線筑後船小屋駅の利用促進について

  • 九州芸文館は、関係者によるPR、JR九州ウォーキングとの連携もあり、5月末までに合計約33,000人の方々に来館していただき、好調な滑り出し。
  • 九州芸文館と九州新幹線の連携は、お互いの利用促進に効果がある。
  • 現在、九州芸文館イベントの参加費用とランチ、JR料金をセットしたプラン、イベントのポスターに新幹線割引切符を併せてP Rすることなどを企画している。
  • 今後とも、JR九州と連携し、双方で知恵を出し合って、九州芸文館と九州新幹線の利用促進が図れるよう努める。

③新駅を活かした地域活性化について

  • 地域活性化のためには、地域の魅力のPRと、交流人口 ・定住人口の増加に向けた施策の充実が重要。
  • 交流人口の拡大のためには、訪れたくなるような魅力をつくり出すことが必要。このため、地域資源を活用した観光振興を図るとともに、新たな切りロの観光ル一卜を巡る観光夕クシ一を運行。また、体験交流型の観光プログラムをつくり、バスによるモニタ一ツアーを実施している。こうした情報は、Web上の「ちくご観光案内所」や「シティ情報ふくおか」などの情報誌を活用し広く PR。メディアからも取り上げられるとともに、J R九州ウォーキングのコースに取り入れられた。
  • 定住人口の増加させるためには、住みたくなる地域の魅力を高めることが重要。このため、企業誘致や産業振興、少子化対策のほか、市町の受入体制整備、モニタ一体験居住、情報発信サイ卜の開設、P Rイベン卜等を実施し、この地域の知名度アップに努めている。
  • 今後は、新駅を持つ筑後地域の魅力を、関西圏などにも積極的にアピールし、地域活性化に取り組んでいく 。

④新大牟田駅における路線バスの接続改善について

  • 新大牟田駅の1日当たりの利用者数約800人に対し、?駅におけるバス利用者数は20〜30人と少ないため、新大牟田駅の路線バスは赤字となっている。
  • また、駅に駐車場が増設されたこともあり、新大牟田駅は自家用車による利用が大部分を占めていると思慮。
  • 県としては、今後大牟田市と連携し、新大牟田駅利用者の動向やニーズを把握しながら、必要に応じて、国、県、閨係市町村及び閨係バス事業者で構成する福岡県バス対策協議会等において、協議を行ってまいりたい。