県議会質問

2013年6月13日

Ⅲ.飯塚市内住地区の産業廃棄物最終処分場に係る環境問題

(1)飯塚市内住地区の産業廃棄物最終処分場に係る環境問題、並びに生活環境の保全について

この間、我が会派は、代表質問をはじめ、一般質問でも幾度となくこの問題を取り上げ、知事及び県の産廃行政の在り方を質してきました。

飯塚市内住産廃問題については、2001年8月、地元住民が処分場周辺で起こった異臭や、河川水の異常について、当時の嘉穂保健所に調査の依頼と対策を要望したことから発覚しました。

この間、12年間、地元の方々は処分場に係る生活環境上の支障に苦しみながらも、処分場の操業停止、埋め立てられた廃棄物の撤去を求め、裁判を闘ってこられました。本当に、長く、苦しく、つらい12年間であったと思います。

このことについて、知事は5月23日の定例記者会見で、県が措置命令を発するまでに至った経過について、「長い時間を要したことは非常に心苦しく、申し訳なく思っている」と、謝罪の意を述べられました。我が会派は、こうした知事の真摯な姿勢を評価します。

しかし、この謝罪を持って実際の問題が解決に至ったわけでなく、山積する課題解決に向け、これからが知事の腕の見せ所といえます。

そこで、知事に以下3点、質問致します。
1点目は、本県が合法的に許可した処分場での、業者の違法と、脱法的な操業についてです。

県は、先月16日に「措置命令」を発出しましたが、その理由として、この処分場が「『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』で規定する、産業廃棄物処理基準に違反して処理を行い、生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがあるから」としています。

この処分場は、いうまでもなく、県が合法的に許可した処分場です。しかしながら、業者が『廃掃法』に違反し、違法・脱法的な操業によって、処分場内に安定5品目以外のものを埋め立て、その結果、今回案件となっている事象の発生要因となっているわけです。

事象の発生以来、地元自治体はもとより、県、業者により、処分場周辺の浸透水、土壌、大気の検査が行われました。結果は、水銀やジクロロメタン、硫化水素ガス、ダイオキシン、ホウ素、水銀、鉛といった物質が環境基準を超えて検出されています。

確定判決となった2審の福岡高裁判決でも、浸透水基準を超える鉛が検出されたことについて、本件処分場においては、現在もなお、産業廃棄物処理基準に適合しない産業廃棄物が埋められた状況にあると指摘しています。

また、県が設置した「飯塚市産業廃棄物最終処分場に係る調査専門委員会」の報告書においても、処分場内の地下滞留水からは、BOD、CODが浸透水基準を超過し、また鉛が溶出量基準を超過して検出されたことが明らかにされました。

この間、地元住民は12年間にわたり、現地での業者の操業を監視し続け、違法性のある操業を指摘し、県に改善を訴えてきました。しかしながら、県は違法性を一貫して否定し、業者の操業停止、業の許可取り消しなどを行いませんでした。

こうした県の監視の甘さや、地元住民の声を真摯にとらえることができなかった、本県のこれまでの産廃行政のあり方について、どのように思われているのか、お尋ねします。

2点目は、業者の経営状況についてです。
この間、我が会派は、県に対して「措置命令」の発出を要請してきました。
そして今回、県は業者に対して「措置命令」を発出しましたが、今後は、業者が措置命令の内容を、履行期限内に措置できるかどうかが鍵です。その場合、業者が経営的理由で命令の履行が出来ないということがないよう、いわゆる業者の「捨て得」、「捨て逃げ」などを許さないために、県は、しっかりと業者へ責任追及を果たさなければなりません。

そこで、県は、業者の経営状況をどのように把握されているのかお聞きします。その上で、業者が経営上、命令の履行が困難とされることがあった場合、法的措置も含め、どのような形で責任を負わせるのか、お尋ねします。

3点目は、処分場内の廃棄物を全量撤去してほしいという、地元住民の声についてです。
地元住民は、処分場内からの放流水、場内の浸透水の調査結果に基づき、水銀やジクロロメタン、硫化水素ガス、ダイオキシン、ホウ素、水銀、鉛といった物質が環境基準を超えて検出されていることを勘案し、これら生活上支障をきたしている物質の発生原因である処分場内の廃棄物を全量撤去しなければ、生活環境の保全は確保されないとしています。

処分場内の廃棄物を全量撤去してほしいという地元住民の声に対し、知事はどのように応えようとされるのかお聞きします。

【知事答弁】
①これまでの産廃行政のあり方について

  • その時々、それぞれの事例に則した対応を行ってきたと考えている。
  • 当該処分場についても、改善命令を発出し、搬入を停止して改善に当たらせ、改善の履行確認後も重点監視施設と位置づけ、搬入時に立入調査を実施するなど対応してきた。
  • 現時点で考えてみると、住民の皆さんとの意思の陳通が十分でなかったこと、また、初期の段階での業者への指導に工夫すべき点があったことなどの課題があったと考えている。
  • 「早期発見、早期対応」が重要であると痛感し、本年度、監視指導の組織強化を図ったところであり、これまで以上に監視指導を的確に実施する。

②業者の経営状況や命令履行が困難な場合の法的措置について

  • 当該法人は、現在、産業廃棄物処理業は行っていない。また、そのほかの事業を行っているとの情報は得ていない。
  • 仮に、措置命令が履行されない場合には、一般論で言えば廃棄物処理法による罰則の対象となる。
  • 先月、命令を発出したところであり、まず、措置命令が履行されるよう業者に対し最大限の指導をする。

③廃棄物の全量撤去について

  • 県では、現地調査の実施に際し、調査専門委員会の意見や住民の皆さんのご要望をお聞きし、追加_査を含め織密な調査を行った。
  • 調査専門委員会においては、これらの調査結果を専門家の立場から多面的・多角的に審議いただき、将来にわたって生活環境保全上の支障のおそれを除去する方法について報告書をいただいた。
  • 県としては、その報告書を十分尊重し、慎重に検討した上で措置命令の内容を決定した。
  • この命令が履行されることにより、「全量撤去」を行わなくても、将来にねたって生活環境の保全が、なされるものと考えている。